ろりこんくえすと!

ノω・、) ウゥ・・・

3-2 壊れた魔力回路

 
 3-2 壊れた魔力回路

 
「僕の魔力回路が壊れただって.......?」

 魔力回路。

 それはその名の通り、全身に魔力を循環させる器官だ。

 多くの生物は魔法や技能を使えるのはこの魔力回路のお陰なのだと言われる。
 血液が血管の中を流れているように、魔力回路の中には魔力が流れている。それぐらい身体にとって重要な器官なのだそうだ。

「そうよ。風遁術が使えなかった事、そして変態が身体を掻き回されていると言った症状。魔力回路が壊れたと見て間違いないわ」
「ぼ、僕はどうすれば.......」

 正直、魔力回路なんて物は傷口と同じように時間経過で治るものではないだろう。このまま一生風遁術が使えなくなると考えると僕は頭を抱えた。

「そんなに慌てることないわ。普通、魔力回路が完全に壊れたら変態はとっくのとうに爆発して死んでいるわ」
「爆発して死っ!?」
「そうよ。でも変態はまだこうして生きている。壊れたと言っても重要な部分が少し傷付いただけじゃないかしら? それなら死にはしないし治せる見込みはあるわよ」

 その言葉に僕はホッとする。

「良かったぁ.......」
「変態は早とちりね。少し待っていなさい。今から少し機材を持ってくるから」 

 エマはそう言って部屋から出ていった。

 そして数分後。

「水晶玉じゃん」

 僕の目に写っているのはステータスを測定するあの水晶玉だ。でも色が違う。冒険者ギルドで使った時の物は綺麗な透明だが、エマが持ってきたのは真珠を思わせるような白い水晶玉だった。

「これは属性測定器よ」
「ぞくせいそくていきぃ? これが魔力回路と何の関係があるんだよ?」
「いつも通り頭が悪いわね。魔力回路は個々に応じてその中に流れる魔力の属性が違ってくるわ」

 エマの解説が始まった。

「風の魔力を扱う変態なら翡翠色や緑色。炎の魔力を使うお姉ちゃんなら赤色と、こんな風にこの測定器は適正のある属性の魔力を色で示してくれるのよ」
「それは分かるけどさ」
「そしてこの測定器の便利な所は魔力の質も測ってくれるの」
「うぇ?」

 魔力の質?

「例えばお姉ちゃんは炎の魔力に高い適正と質を持っているから測定器に触れば真っ赤っかになるわ。でももし、お姉ちゃんの適正と質が低かったら」
「薄くなるのか?」
「ええ、私みたいにピンク色にね」

 エマはそう言って属性測定器に触れる。そこにはピンクというか、桃色が映し出された。

「そうか、僕の魔力の色を見てどれだけ魔力回路が壊れている当たりを付けるんだな?」
「あら? 意外と理解が早いのね。ちょっぴり見直したわ」

 エマは僕を褒めているの貶しているのか。多分貶しているのだろうけど。

 僕はエマから属性測定器を受け取ると水晶玉の部分に手を当てた。

 表示された色は、なんと黒。

 風の魔力特有の翡翠色とか緑色とか、そんな物とはかけ離れた色が表示された。

「おかしいわね.......壊れたのかしら?」

 エマが僕の手から属性測定器を奪うとバンバンと強く叩く。精密機器は叩けば直る、と耳に入れたことはあるが、あまりにも雑な扱いではないのだろうか。

「もう一度やってみなさい」

 表示された色はまたもや黒。一点の光も通さない真っ黒だ。

「..............」

 エマは口を閉じ、下を俯いて黙ってしまった。何やら考え事をしているのだろうか。

「魔力回路が壊れたならば色が薄くなるか、何も魔力を持たない白色が表示される筈。この二つ以外あれえないわ。ましてや全くの別物の黒だなんて」
「いや待てよ? もしかしたら、こうゆうことなんじゃないか?」
「何か分かったの変態?」
「ああ、ウラノスのせいで僕の風の魔力が別物に置き換わったんじゃないかなって」

 ウラノスは自分自身を神だと言った。僕を乗っ取った時も全然別物の属性を持つ技能を使っていたし、神であれば人間如きの魔力の属性を変えることなんて造作もないことなのかもしれない。

「それはないわ」
「ええっ!?」

 僕の説は一蹴される。

「いいこと、魔力の属性は言い換えるならば人間の血液型みたいなものよ。いきなり変態の血を全部抜いて、違う血液型の血で全身の血液を入れ替えたら変態は死ぬに決まっているじゃない」
「そんなものなのか?」
「そんなものよ」

 どうやら僕の説は間違いだったようだ。

「だとしても困ったわね。もうこれ以上は私の家でやれることはないわ。これは一度冒険者ギルドに行かないといけないわね」
「冒険者ギルドに?」
「そうよ。あそこならばもっと詳しく調べられるかもしれないわ」 



 ◆◇◆



 冒険者ギルド。


 と木の看板がぶら下げられているものの、見た目は完全に廃屋同然だった。

 貪食の食人鬼が襲来してからまだ二週間ちょっと。未だにネメッサの街は復興中だ。

「こんにちは! あら、ロリ.......コホン、失礼。ウェルトさんとエマちゃんじゃないですか」

 扉を開けた僕達に受付嬢は挨拶をしてきてくれた。受付嬢は相変わらず僕の事をロリコン呼ばわりしてくる。いつかちゃんと僕の名前を読んでくれる日は来るのだろうか。いや、きっとこないのだろう。

「ねぇ、今から少し調べたい事があるからギルドの保管庫に入れるかしら?」

 エマがトコトコと受付カウンターまで歩いていき、受付嬢へ話し掛けた。

「そうですねぇ.......一度ギルマスに聞いてみないと分からないですね。それでは今から官能小説読んでサボってるギルマス呼んできますね!」
「その必要はない」

 受付嬢の言葉に被せて、カウンターの奥の扉から小柄で少し太りぎみな男が姿を現した。他でもない、ネメッサの街のギルドマスターだ。

「あ、ギルマス! お仕事お疲れ様です!」
「私の陰口を言ってたのに何事も無かったよう挨拶をしてくるね。上司に対するその態度。君の今月の給料は20パーセントカットだ」

 ギルマスのクズさは何も変わっていないようだ。隙あらば給料を減らしたり報酬を無くしたりと金にがめつい。

 しかし、ここで僕はギルマスのポケットの外から見える物に目が付いた。恐らく本なのだろうか。四角い紙の束からはしおりが見えている。

「窃盗」

 盗賊術の窃盗を発動。魔力を使わない技能ならば使えるようだ。これなら一部だが体術と短剣術、暗殺術も問題なく使えるだろう。

「ウェルト君、一体何をやっているのかね? 早く返したまえ」

 本を盗まれたギルマスはこめかみをピクピクと動かして本を返すように手を差し出してきてきた。

 当然のように無視した僕は、しおりが挟んであったページを開き、台詞の一文を音読する。

「なになに? 『だめぇ! そこ私の一番敏感な所なの! 執拗にいじめたらだめなのぉぉ! イクゥ! イクイクイク! イッちゃうのお! エッチな子になっちゃうよぉ!』.......なんだ、やっぱ官能小説じゃ」
「うおおおおおおおおおおっ!」

 朗読を終えた僕に向かって、いきなりギルマスが掴みかかってきた!

「うわわっ!? いきなり何するんだよ!?」
「よくもやってくれたな! お前の冒険者ランクをFに戻してやるううぅ!!!」
「あ、テメー! 思い出したぞ! よくも試験を受けさせずに僕をDランクの冒険者にしやがったな! これじゃ不正扱いのギルドカードで使い物にならねえじゃねえか! このボケナスがぁぁぁ!!!」

 人の目を全く気にせずに醜い争いを繰り広げる僕とギルマス。その様を横で観戦していたエマと受付嬢は勝手に話を進めていた。

「保管庫の中の物、少し使わせて貰うわよ」
「そうですね。はい、これが鍵ですよ」

 僕の後ろをエマが通り過ぎていった。そんな中で、胸倉を掴もうとしたギルマスの攻撃を華麗に回避した僕はギルマスの首を締めて上下にシェイクする。

「ふはははは! 残念だったな! これまでの戦いで僕のLvは結構上がっているんだよ! 今更中年太りのおっさん一人に遅れを取るわけないだろ!」
「あががががががががががががががががががががががががががが!!!」

 ギルマスは口から蟹みたいに泡を吹いているが僕は止めない。このまま絞め殺してくれよう。

 僕がギルマスに蛮行をしているそなか、受付嬢が僕の肩をトントンと叩いて言った。

「ロリコンさん」
「遂に言い直すことを止めたな、お前」
「エマさんが言ってました。リフィアちゃんのおっぱいぺろぺろしたって本当なんですか?」
「ちっくしょぉぉぉ! 約束破ったなあのちびっ子めぇぇ!」

 僕は泡を吹いて痙攣を起こしているギルマスを放り捨てて、エマの後ろ姿を追って保管庫の中に入っていった。



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