ろりこんくえすと!

ノω・、) ウゥ・・・

2-68 【暴食】再び、最悪の組み合わせ


 
 2-68 【暴食】再び、最悪の組み合わせ

 
 エキューデはキメラの背中から這い出した触手に何とも言えない戦慄感を身に覚える。

 赤黒い蛸の触手はうねる。背中から飛び出してた五本の内の一本が、嫌悪感を顕にしてしまうような動きをしながら屍海の中へと突き刺さった。

 その瞬間、屍海全体を揺らす振動が起きた。

「ぬおおおっ!?」

 エキューデは思わず立っていられなくなり膝を崩す。無理もない、あまりにも大きな揺れだった。大陸が変動している揺れが起こり、王都全体に激震が襲う強さだった。

「ぐっ!? この内部からの揺れ! あの触手、我の屍海の中で暴れているのか!?」

 屍海の感覚を探れば、件の触手は屍海の中で縦横無尽に振り回され、中に棲うアンデッド達を蹂躙していた。

 否、蹂躙などと言う生易しいものではなかった。それはただの一方的な食事だった。

 触手に触れたアンデッドは何も出来ないまま食べられてしまう。中で触手が暴れアンデッドを食べれば食べる程、触手は肥大化していき丸太のような太さとなっていく。

 屍海の味をしめたのか、触手がもう一本突き刺さる。屍海の中で計二本の触手は竜巻のように暴れ周り、その大きさと激しさを増していく。
 触手が大きくなれば、それに比例してキメラの纏う魔力が色濃く強さを増していく。触手から魔力がキメラへと流れているようだ。

 赤黒い魔力が渦巻く。溢れかえった魔力の圧力はキメラを見るもの全てを畏怖させた。

「この能力は七大罪の【暴食】!」

 物を食べ、成長する触手の能力に当たりを付けたエキューデは触手の正体を見破った。

 エキューデが七大罪の中で実際に目の当たりにした事があるのは【傲慢】と【嫉妬】の二つ。そしてキメラの【暴食】をまじかで見たことで、これにより三つも彼は七大罪と対面した事になる。

 七大罪の能力は全て耳には入れている。【傲慢】も群を抜いて強力だが【暴食】も使い方を誤れば大陸ひとつぐらいなら平気で滅ぼせてしまう。

 何より、個々に特化している【傲慢】よりも、大軍に特化している【暴食】の方が大量のアンデッドを従えるエキューデにとって脅威だった。

 屍海で暴虐を尽くすキメラへ、背後からドラゴンゾンビが爪撃を飛ばして攻撃する。

 しかし今度は無傷。【暴食】には触手から供給される魔力により、自己強化する機能が備わっている。大量のアンデッドを触手が食べたことでキメラのLvは大幅に上昇し、ドラゴンゾンビのLvを上回ってしまっていたのだ。

 Lvを下げて攻撃を無効化する【傲慢】と自身のLvを上げて強化する【暴食】。考えられる七大罪同士の中でも最悪の組み合わせだった。

「これではもう手の打ちようがない。ドラゴンゾンビの攻撃を無効化したという事は奴のLvは200以上! そんな化け物を倒せる人間など.......!」
「Geaあアアアアアアッ!!!」

 無闇矢鱈に触手が薙ぎ払われる。打ち付けられただけで地面は硝煙をあげてクレーターが出来上がり、無数のアンデッド達と砂埃が巻き上げられる。

 キメラは既に理性を失っていた。力に溺れ、意識を呑まれた中で大罪系スキルを使うのは自殺行為に等しい。普通ならば力の制御が出来ず、自爆するのが関の山だ。

 だがそれでもキメラが七大罪を維持したままだった。その理由が【暴食】の影響。屍海の中から絶えず魔力を供給し、【傲慢】も【虚飾】も無理矢理に身体と精神の限界を越えて維持していた。

 筋肉の膨張と魔力の圧力に耐えられずキメラの全身からは絶えず血が吹き出した。それでも常識外れの再生能力で活動は停止しない。

「ゲガガガガガアアアアアアア!!!」

 完全に暴走した。目が血走り、まるで狂犬病を患ったみたいに動き出す。自身の認知した存在全てを殺す為に。

 口の中に燦然たる光が煌めき、熱波が収束していく。生み出されるのは太陽。しかし、今回の物は以前使ったノヴァブラストを遥かに上回る大きさだった。

 火の最上位技能。ヒートチャリオット・ロア。

 気温が急上昇しアンデッドが光に照らされただけで蒸発していく。キメラが立っている屍海の四方八方はマグマが煮え滾る。後ろにいたドラゴンゾンビもボロボロと崩れ去って行った。

「なんだあの高密度のエネルギー体は.......!?」

 ノヴァブラストでも直撃すれば王都の半分は消し飛んでしまう。それなればヒートチャリオット・ロアならばどうなるか。王都が完全に消滅するのは確定だとして、良くてこの大陸がバラバラに断裂、下手すれば地図から消え去ってしまうだろう。

 エキューデは屍海を広げた。天幕のように自分と一緒にキメラを包み込んだ。そのまま次は屍海をしぼめていく。小さく、小さく、風船の中に閉じ込める感覚で屍海は球体となった。中にいたアンデッドも一匹残らず殺し尽くされ、中にいるのはエキューデとキメラの二人。

 キメラの攻撃を最小限に留めるつもりだった。自分は不死身だ。ここで爆発に巻き込まれても死にはしない。どうせアンデッドは全員死んだ。屍海の中で引き起こせば少しは威力を抑えられるだろう。

 彼は覚悟を決めて目を閉じた。

 太陽が爆ぜる。

 放たれた業火の螺旋は屍海の奥まで穿ち、地下深くから大爆発を引き起こした。

 そのまま光の中に呑み込まれていった。
 





七大罪スキル【暴食】
効果・触手を生やす。触手には以下の三つの効果が付与される。
・破壊不可
触手は特別な攻撃でない限り『ダメージを与えること、及び破壊することが絶対に出来ない』
・吸収
触手に触れたものは魔法による攻撃、瓦礫や空気等、なんであろうと『食べられる』
これは攻撃も例外ではなく、物理攻撃も魔法ですら吸収してしまう。
・成長
触手は食べたものの質や量によって『成長する』
制限はなく、時間経過による成長と併せて『いくらでも巨大化でき、いくらでも増殖する』
触手が成長すればする程、触手の成長具合に応じて『本スキル所持者のLvが上昇する』
Lv上昇の際には赤黒く禍々しい魔力を纏い、纏ってる時には『本スキル所持者による攻撃力の上昇』及び『受けるダメージが半分となる』



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