ろりこんくえすと!

ノω・、) ウゥ・・・

2-58 最高傑作


 2-58 最高傑作


 剣戟が暗い部屋で鳴り響いた。

 一切の躊躇いも遠慮もせず、ロイドは幼女を助ける為に同僚に向かって石の大剣を振り下ろした。

 完全に殺す気だった。ロイドにとって銀髪のむさ苦しいおっさんよりも幼女の方が数億倍大切だ。いや、全人類の財産である幼女と、道端の石ころ同然のおっさんと比べるだけおこがましい事だろう。

 ギリギリとユリウスの手に握られているメスが軋みをあげる。ユリウス咄嗟にすぐ側に置いてあったメスでロイドの大剣を受けてめていた。が、明らかに戦闘目的に作られた構造をしていないメスで、身の丈程の大きさもあるロイドの大剣を受け止めるのは無理があった。

 加えてユリウスは先程のロイドの不意打ちにより片手を負傷している。そんじょそこらの矢を遥かに凌ぐ石棘が、手の甲から中指まで貫通しているのだ。ハンデとしてはあまりにも大きいと言えた。

「石火連刃ンンン!」

 ダメ押しとばかりのロイドは技能を発動する。摩擦熱で石の大剣の刃が着火し、交差していたメスを粉砕したのみならず、床まで叩き割る。

 ユリウスはかろうじてメスを手放し、身を翻してロイドの一撃を躱していたが、残った片腕にも赤い線が走り流血を起こす。

 両腕からボタボタと大量の血液を落とすユリウスは見ていて痛ましかった。

「おじさんの制裁いいい!」

 ロイドは石の大剣を放り投げ魔法陣を展開した。虚空から、床から、天井から、何十何百と魔法陣は展開された。

 魔法陣の中から出てきたのは石棘。だがそれは、ロイドが先程放った石棘の範疇を超えていた。出現したのは即ち石の柱だった。

 轟音に続く轟音。魔物の標本が潰れ、薬液が割れて弾け飛ぶ。部屋『そのもの』が内部から串刺しにされるという、なんとも奇怪な現象が巻き起こる。

 ユリウスからして見ればたまったものではなかった。自身の両腕を傷付けたのみならず、大事な研究資料が詰まったこの部屋が破壊されるのは我慢が出来なかった。

「コキュートス!」

 ユリウスは極大の冷気を両手に集め、部屋全体を凍結させる。氷結系統の上位技能だ。 

 バチバチと冷気の導火線が迸り、一瞬にしてロイドの魔法陣を食い止めることに成功した。

「うぬっ!?」
「貴様.......許さんぞ.......!」

 ユリウスは自らの手に刺さっていた石棘を乱暴に引き抜き激昂する。冷気を過剰に手に集めると、傷口を凍てつかせ止血を行い、更に並行して冷気を凝縮させ氷の剣を作りあげる。

 さながら水晶の塊のような美しい剣。

 ユリウスは壁を蹴って跳躍すると、ロイドに向かって一直線に全力の突きを放つ。

 ガギン、とまるで石を切ったかのような音が響いた。否、ユリウスが切ったのは石そのものであった。

 ロイドは再び魔法陣を上に展開し、ユリウスの攻撃を石の柱で防いでいたのであった。

「初めに言っておこう。おじさんはな、お前のような子どもを傷付ける奴に対してだけは.......強いぞ」

 台詞を言い終えた時、ロイドの姿がユリウスの目からふっと消えた。

 次の瞬間、ユリウスは背後から無防備な背中に重たい一撃を加えられ、為す術もなく横向けに吹き飛んだ。

 机に乱雑に置いてあった研究資料をぶちまけながら壁に激突、そのまま上に跳ねて天井に衝突、そして力無く床の上にどさりと落ちた。

 なんだ、今の速度は.......!?

 ユリウスが立ち上がってロイドを見ると思わず目を見開いた。

 さっきまでユリウスがいた場所には、ロイドが三本の石の柱を伝うように展開していた。その上、ロイドの手には鈍器としか形容できない石の塊が握られていた。

 なんとロイドは自身の下に魔法陣を展開し、石の柱によって押し出される勢いを利用してユリウスの背後を取っていたのだ。

 無論、ユリウスとロイドは真正面から対峙していた。つまり、ロイドはユリウスの背後を取るために一回のみならず、計三回の石の柱を足場にしていたのだ。さらにさらに、高速で、かつ短時間で移動していた中で、ロイドは即席だが魔法陣から武器を作り上げていたのだ。

 なんという精密さ。なんという精確さ。そして、なんという集中力。

 魔法に精通しているユリウスでさえ考えつかないやり方だった。否、考え付いたとしても誰がそのような奇天烈な発想を試すというのか。

「覚悟しろ、性犯罪者ああああ!!!」

 ロイドが叫びをあげると、ガゴン、ガゴンと石の柱が展開される。

 極低温の冷気を暴走させ、ユリウスは自身に向かってきた柱を爆発させて攻撃を防ぐ。

 しかし、ロイドはその隙を付き、足元から極太の石の柱を生やした。

 胸に走る鈍痛と衝撃。そのまま天井まで突き抜け、石の柱と天井に挟まれるが、なんとか冷気を纏った渾身の蹴りを繰り出し石の柱を破壊して脱出する。

 だが、脱出の先に待っていたのはロイドの鈍器による殴打だった。氷の剣で受け止めるが、馬鹿力の一撃にユリウスはゴロゴロと床に転がった。

 追撃は止まらない。転がったユリウスを押し潰さんと天井に魔法陣が展開され、石の柱が落ちてくる。

「ぐっ、この男.......!」

 ユリウスはロイドと戦う中、ある違和感を感じていた。

 このロリコン、ここまで戦闘能力が高かったのかと。
 
 エルクセム騎士団に置ける第三騎士団の役割は主に見回りといった王都全体の巡回だ。王城護衛の第一騎士団と第二騎士団、戦闘能力に特化した第四騎士団、そして王都防衛を担う第五騎士団。考えるまでもない、この中で一番弱いとされるのが明確に第三騎士団であった。

 だがしかし、目の前でロイドと戦っているユリウスにはそうとは思えなかった。よくてBランク冒険者程度の、取るに足らない存在だと認識していたが、ユリウスは認識を改める。

 この男、クラウディオと同等、あるいはそれ以上なのではないのか、と。

 ロイドの戦い方は広い外等で行う白兵戦の反対に近かった。広々とした地形を利用した、石を使って質量で押し潰す単純だが、強力な戦法だ。

 問題はロイドがこの戦法を狭い室内で行っているのにも関わらず、何の苦もなくに立ち回れていることだった。

 ユリウスからして見れば、巨大な石の柱が自分を狙撃ちしてくる上、ロイドが近接戦闘を仕掛けてくるのだ。

 しかも厄介な事に、ロイド自身は展開した魔法陣を起動する場所、瞬間を全て完璧なタイミングで行ってくる。

 事実、ユリウスを狙ってロイドのすぐ右隣には石の柱が生えてくるが、肝心のロイドは袈裟斬りを放ちながら左にステップを繰り出して躱していた。

 時間差による攻撃、直接詠唱による突出的な攻撃、様々な方法でロイドは魔法陣を起動する。

 一歩でも間違えれば自分自身に石の柱が突き刺さることだろう。そのリスクを背負いながら尚、この男は躊躇いもせずに使ってくる。それも凄まじい精度と命中率を誇りながら。

 この男、命が惜しくないのか。ユリウスは顔を顰めさせながら、劣勢を強いられていた。

 これだけでもロイドは舌を巻く程の空間把握能力と、戦闘センスを有しているが、驚くのはまだ早い。

 まず魔術師タイプの人間ならば遠くから戦況を把握しながら魔法陣を展開する。

 相手が何処にいるのか、どのような場所で魔法を使うのが適切なのか、戦況を見極め、安全に、かつ確実に魔法を使う為に、敵から一定以上の距離を離して使うのが一般的、というか常識であった。

 だがロイドは、高度の剣術を取り入れながら近接戦を仕掛け、魔法陣を展開していく。加えて、ロイドは壁や天井すらも利用し立体的な戦い方も行ってくる。

 それは熟練の魔術師ですら到底真似が出来ない戦い方だった。

 まるで後ろに目が付いてある、はたまた目が天井にでも付いているのか。
 不気味で不自然なぐらいに、ロイドは最適かつ洗練された動きをしていた。
 
「おじさんは、お前みたいな性犯罪者には容赦しない!」

 戦いの中、ロイドの剣を受け止めたユリウスの腕が軋みをあげる。

 事実、この時のロイドは今までにないぐらい強かった。それはもう人生の中で一番輝いている程に。

 ロイドが強いのには理由がある。
 
 それは、ロイドはベッドに横たわる幼女の姿を見て興奮していたからだ。息子がピクピクと疼き、股間に熱を帯びる。上半身だけとはいえ裸なのだ。あどけない未成熟の身体が丸出しなのだ。どんな金銀財宝よりも幼女の方に価値を見出すロイドにとって何よりも大事なものだ。すなわちユリウスとの戦いは絶対に負けられなかった。

 気付けばロイドは既に三十二の齢。周りの部下達は結婚して子どもを持ち、幸せな家庭を築いている中、ロイドだけは未だに独身であった。第三騎士団の中で独身の身である部下は、行き遅れた副団長のドレムと、禿げてたり太っていたり、見た目に問題がある部下だけであった。

 結婚したい.......ロイドは何時になくそう思う。かわいくてちっちゃい女の子と。

 読者の方はこう思うだろう。いや無理だろ、と。

 だが残念ながら、ここ異世界では両者の合意があれば結婚出来てしまう。例えまだ花咲く蕾のような九歳の幼女と、しおれて枯れる以前に消費期限切れの三十二歳のおっさんでも結婚出来てしまう。

 だからこれはチャンスなのだ。間一髪の所で悪者ユリウスから助けに入り、あのかわいい幼女と仲良くなる、またとない千載一遇のチャンスなのだ。

 幼女の裸を見る度にロイドの身体は漲り血が滾る。そう、純粋な下心のみで動く今のロイドは尋常ではない強さだった。

 あの真っ平らな胸に顔を埋めてhshsしたい。おへそところをprprしたい。男性の本能にあるがままに従うロイドは、邪な妄想が頭の中膨らんでいく。

「はああああああああ!!!」

 全力を込めた掛け声と共に、受けてめていた氷の剣が石塊で折れ、ユリウスはロイドに吹き飛ばされた。

 そのまま背中で壁をぶち破り、ロイドとユリウスは別の部屋に転がっていく。ロイドの石棘で串刺しにされ、ユリウスの樹氷でズタボロにされた部屋が壊れるのは、さも当然のことであった。

 別の部屋は先程までの研究資料が乱雑に散らばっていた部屋とは違い、何も無い殺風景な部屋だった。

 ある一点を除いては。

 ロイドは目の前に鎮座していた『もの』を見て、恐ろしさを身に覚えた。幾本もの厳重に鎖に繋がれいてたそれは、異様な雰囲気を纏いながらロイドをじっと見据えていた。

「はは、見つかってしまったか」

 鎖で繋げられていた魔物は『異形』そのものであった。おおよそ進化の過程を辿り生まれた種ではない。生態としても破綻していた生き物だった。

 ユリウスはゆっくりと立ち上がると、嘲笑うかのようにロイドに言った。

「なんでもない、ただの私の最高傑作だよ」

 


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