ろりこんくえすと!

ノω・、) ウゥ・・・

2-18 俺の命はツナ缶より安い


 2-18 俺の命はツナ缶より安い


「ミナトをこの世界に召喚した漁業の神様よ!」

 ノアと名乗る子どもはそう名乗り、俺に指を突き立てた。

 そして俺は反応に凄く困った。

 どうしよう。俺の目の前に自分が神だと宣言した頭の痛い子がいる。

 やばい、こんなシチュエーションは生まれた初めてだ。

 俺は元いた世界で中二病の奴らには何度かエンカウントをしたことがあるがけど。

 俺は記憶をまさぐってみる。

「我は漆黒の翼。凡俗共よ、我に跪くがよい」
「俺の右眼が疼く封印されし邪眼が解放される.......!」
「深淵より蘇りし暗黒龍がこの世界を滅ぼさん!」

 だめだ、まともな奴はいなかった。この子どもも同じだろう。

 この自称神の子には、なんて答えればいいのだろうか? ここは、先人達に習って「凄いね!」とでも言ってみるか?

「なんでそんな微妙な顔をしているのよー! あたしの何がおかしかったのよー!」

 目の前の子ども、もといノアがパタパタと手を振り回しながら飛び跳ねた。

 .......。自分が神だと豪語する人間を直に見て、微妙な顔以外にどんな顔をすればいいんだよ。むしろこっちが教え欲しい。

 とはいえ、だ。こいつは俺を異世界元の世界から召喚したと言っていた。その事に関しては詳しく聞かなくてならないだろう。

「なあ、気になっていたんだが、どうやって俺をこの世界に召喚したんだ?」
「それはポン太に頼んだからだよ」

 ノアが足元の猫を撫でながら言った。

 ポン太? ああ、足元にいるこの猫か。

「ポン太にね、『ツナ缶あげるから適当な人間殺してこいって』、そうお願いしたらミナトを殺してきてくれたの!」

 おいまて。

「今なんと?」
「だから、ポン太に 『ツナ缶あげるから適当な人間殺してこいって』お願いしたの! 」

 嘘だろ? 俺はこんな軽いノリで殺されたのか? しかもこんなガキンチョ(ポンコツ)の無計画すぎる陰謀に? 

 ふざけてやがる。野良猫にまんまと殺された間抜けな自分自身にも腹が立ってくるが、一番腹が立つのが俺の命はツナ缶で買える値段だと猫如きに判断された事だ。

「にゃーん」

 ポン太が憤る俺の顔を見て一声鳴いた。

 俺を見つめるポン太の顔には、『こいつマヌケだなぁ』と、しっかりと書いてあった。

「キョエエエwww」

 黙れ糞鳥。ケハブにすっぞ。

「で、ミナトを殺したあとは適当な召喚術式に勝手に介入して呼び出したのよ!」

 それがオークキングが行った勇者召喚か。

確か『本来勇者召喚は勇者、賢者、聖女の三人しか召喚しない』と喚いていたな。俺はどうやら本当の意味でイレギュラーだったらしい。

 なんていい迷惑なんだ。こちとらいきなり召喚された挙句、殺されそうになったんだぞ。

「はぁ.......。一つ聞いてもいいか?」

 俺は溜め息を吐いて、少し気になっていた事をノアに尋ねてみた。

「ん? なあに?」
「この猫.......まあポン太なんだけどさ、こいつも俺がいた世界にいたんだろ?」

 俺は足元にいる猫に指をさして言った。

 この猫の毛並みといい、表情といい、目の前にいるポン太は俺のサンマを奪った憎き相手だ。

「うん!」
「ポン太はどうやってこの世界に連れてきたんだ?」

 そう、俺が気になっていたのはポン太だ。

 『人間を異世界召喚する為には、召喚する人間を殺す事をトリガーに召喚する』、という事には納得できる。なろうのテンプレみたいなもんだしな。

  が、ポン太は違うだろう。殺されて召喚されて俺とは違い、どうやってこの世界に召喚、いや連れてきたのだろうか。

「それは普通に異界の門を使っ..............あっ」

 ノアは途中で言葉を飲み込み、無言となった。

「..............」
「..............」
「い、異界の門は哺乳類にしか使えないから.......」
「人間も立派な哺乳類だわ! お前ふざけんなよ! 殺され損じゃねーか!」

 何が悲しくて野良猫にまんまと誘導されて殺されたの挙句、殺し損でしたなんてオチなんかに俺が遭わなければいけないのだろう。

 俺はノアの首根っこを掴んで、片手でアイアンクローをした。

 元の世界では幼女虐待やら幼女暴行だとニュースになるだろうが、ここは異世界だから知ったこっちゃない。こいつは一度ここで締めておこないといけない気がする。

「だってだってー! 初対面の人に話しかけるの怖いんだもん!」
「どこがだよ! 橋の上でフレンドリーに俺に話しかけてきたじゃねーか!」

 完全に切れた俺はノアの首をブンブン振りながら、事の端末を全て吐かせた。

 話が長くなるので割愛するが、ノアの話を纏めるとこうだった。

 漁業の神であるノアは、最近は信者がいなさすぎて神の力の源である信仰心が全く足りず、大幅に弱体化を食らっている。

 そのため、異世界から自分の信者を増やすべく、適当な召喚術式に勝手に介入し、元の世界から自分の名声を上げるべくこの俺を召喚したらしい。

 その勝手に介入した召喚術式がオークキングのものだったんだと。

「もしかして、俺のステータスが低いのはお前のせいだったりするの?」
「えへへ.......。勇者召喚で召喚された人間ならば強い神様から相当強力な加護を貰ってるから.......」

 お前のせいかよ。

 俺が生魚戦士の職業を得たのも、水魔法と氷魔法も使えるのも、漁業の神様に召喚されたのなら納得はできる。召喚過程も動機も全て納得行かないが。

「ともかく、ミナトはあたしの名声を上げるべく、なんか強そうな魔物倒したり、強そうな魔物倒したり、強そうな魔物倒したりするのよ!」
「名声を上げる過程が全て強そうな魔物倒すのは考えが足りなさすぎんだろ.......」

 もっと他にあるだろ。内政チートとか現代知識無双とか。俺にはできないけども。 

 それにしても、ノアの思考回路は見た目と完全に一致している。悲しい。

「ええー! 何でよー!?」
「何でって.......。そんなこと言われても俺のステータスはお前のお陰で貧弱そのものだぞ? 強そうな魔物倒せとか言われても無理だろ」

 見ろ、俺のゴミみたいなステータスを見ろ。足元にいる糞鳥にすら勝てるか怪しいんだぞ。

 正直、異世界定番の雑魚モンスターであるゴブリンやスライムですら勝てる気すらしない。

「大丈夫よ! ミナトには頼りになる仲間を連れて行かせる予定だから!」
「仲間ぁ?」

 不思議そうな顔をする俺に、ノアがポケットから黄ばんだ紙を取り出し、俺の顔に押し付けてきた。

「安心しなさい! めっちゃ強くて頼りになる『覚醒者』の目星をあたしは付けているんだからね!」

 そう言ってノアが押し付けてきた紙に描かれていのは、青白い髪と、茶色い肌が特徴的な一人の男だった。


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