ろりこんくえすと!

ノω・、) ウゥ・・・

2-7 乗り切れ!

 


     2-7    乗り切れ!

 
「なにこれ」
 
 ちょっとちょっと。なにこの俺のステータス。桁が足りないよ。桁が一桁足りないよ。筋力とか俊敏とかのステータスの横に0がひとつ足りないんですけど。
 
 つーか、鑑定と氷魔法と水魔法は分かるよ。けれど職業が生魚戦士って何よ。
 あれかな、初期のファ〇ナルファン〇ジーにもたま〇ぎ剣士とかあったよね。それじゃないかな。初期職でも最終的には強くなるやつ。

 そうだね、きっとそうに違いない。
 
「なんだこのFランク冒険者に毛の生えたゴミみたいなステータスは.......」
 
 オークキングが俺のステータスを見たら、目を丸くして贅肉を震わせた。
 
 Fランク冒険者とか言われてもよく分からねぇ。けれど、オークキングの発言で俺のステータスが素人より少し強いぐらいの力量なのか。

 あとゴミみたいなステータスの一言は余計だ豚野郎。
 
「こいつは一体何者だ.......勇者召喚は本来勇者、賢者、聖女の三人を召喚する術式なのだ。何故四人も現れるか不思議だったのだ! はっ! .......もしやこやつは敵国のスパイなのか!?」
「父さん、とりあえず処刑しておきましょうか?    このステータスでは勇者の仲間もおこがましい。殺しても何の支障も無いはず」
 
 オークリーダーとオークJrが口々に俺に疑いの目を向けて、物騒な台詞を吐き出してきた。
 
 まじかよ。異世界に来ていきなりのピンチだ。

 どうする?    どうしたらいいんだ俺?    どうればこの危機的状況を乗り切れる?

 まて、落ち着け、まずは落ち着くんだ。こんな時こそ冷静になるんだ。
 俺の表示されたステータスに書いてあった所持スキルはなんだった?

 生魚術と氷魔法と水魔法と鑑定.......。

 そうだ!    鑑定だ!

 でも鑑定ってどうやって使うんだ?
 念じるのか?    『鑑定発動!』とか言わなければいけないのか?

 分からん、けどやるしかねぇ。
 ええい、ままよ。鑑定さん頼む!   
 
 -鑑定-
 目にした者のステータスや、自身のステータスを確認できる。
 尚、自身より上位存在を鑑定した場合は鑑定が失敗する事がある。
 
 鑑定を鑑定できた。やったぁ!
 一見無駄な行為見えるが『自身より上位存在に対しては鑑定が失敗する事がある』という情報をゲットした。
 決して無駄じゃない。けど、今の現状では無駄だ。はい次。
 
 -氷魔法-
 氷属性の魔法を扱える。
 
 -水魔法-
 水属性の魔法を扱える。
 
 氷魔法と水魔法は、字面から想像出来た通り、当たり前の事しか書かれていなかった。
 
 デスヨネー。

 しかし、俺にはまだ生魚術というスキルがある。もしかしたら生魚術はチートスキルという可能性が残っているのかもしれない。

 そうだよ、よく分からないスキルが実はチートスキルでした!    みたいな事ってよくあるじゃん?

 俺はそれに賭ける。頼むぞ生魚術。
 開け!    俺の秘められし才能よぉ!!!
 
 -生魚術-
 生魚を召喚できる。
 
 とても分かりやすい説明ありがとう!    知ってた。知ってたわ! 

 そもそも生魚を召喚する能力をどう転ばせればチートスキルになるんだよ。ならねぇだろ。俺の馬鹿。

 というか生魚を召喚する能力とか、数多くの作品が投稿されているなろう系でも稀有な能力ではないのだろうか。
 
 詰んだ。これ詰んだんじゃね?
 今の俺は魔法が少し使えて生魚を召喚できるスバル君状態だ。

 いや、違うか。スバル君は死に戻り持ってるからね。俺は一回でもミスるとゲームオーバーの雑魚野郎だ。

 ああっ、くそっ。オークキングにサンマとヒラメとカジキ献上してお抱えの魚の卸屋になったりできないかなぁ。
 
 .......!
 適当に考えた案だけど行けるかもしれない。もしかしたら異世界ではサンマ等の生魚はとても貴重で、生魚を召喚できる俺の価値がとても高いとう可能性もあるかもしれない。

 よ、よし。この線で行こう。
 なんだか、行けそうな気がする!
 
「サンマソード!」 
 
 俺の腕に青白い光が発生し、手の平に複雑な魔法陣が展開されてその中心サンマが召喚された。
 
 うおおおおおおお、すっげぇ!
 サンマだ。しかもまだ生きている新鮮なサンマだ。

 ピチピチとサンマは俺の手の中で暴れているが、職業が生魚戦士だからなのか、謎補正により滑らずにサンマを手に掴めることができている。

 地味に凄い。俺には嬉しい能力だ。
 この能力を『生魚を容易く掴める手ゴットハンド』と名付けよう。
 
「王よ!    こやつ、武器を取り出しましたぞ!    直ちに抹殺すべきですぞ!」
 
 サンマを召喚したと同時に、オークリーダーが俺の手に握られているサンマを見て大声で叫んだ。
 
 武器?    サンマが武器だと?
 俺が握っているのはナイフ等の刃物の類の凶器じゃない。 

 サンマだよ。サンマは武器じゃないよ。サンマは美味しいお魚だよ。
 
「父さん!    早くクラウディオを呼んで!    こんな時こそエルクセム騎士団を呼ぶんだ!    こいつ父さんを殺そうとしているよ!」
 
 サンマで?    サンマで人を殺すの?
 いや無理でしょ。どう考えても無理でしょ。

 サンマという漢字の中には刀という漢字が確かに入っているけどさ、サンマで人を斬ったって、ペチンという音が鳴って弾かれるだけだよ。

 あと食べ物は粗末にしてはいけません。
 
「おのれ暗殺者め!    勇者召喚に紛れて余を殺そうとしていたのか!?」
 
 勘違いが激しいよ。そもそも敵国が暗殺者を送り込むならさ、俺みたいな貧弱なステータスの人間よりもっと強い人間を送り込むでしょうが。

 だって俺のステータスはFランク冒険者に毛が生えた程度じゃん。

 無理じゃん。無理ゲーじゃん。

 ゴミみたいなステータスの俺にオークの王様暗殺してこいとか頭おかしいだろ。
 
「こ、怖い!    誰か助けて!」
 
 聖女の.......サヤカちゃんだっけ。
 サヤカちゃんがサンマを握る俺を見て身体を縮ませて震えている。
 
 いやいやいや。おかしいだろ。
 サンマを握っている高校生のどこが怖いんだよ!

 どこに怖がる要素があるんだよ!
 むしろ俺が教えて欲しいぐらいだわ!
 
 サヤカちゃんが怖がり、キョウタとリオがおろおろとしてたその時、ブーブーとウ〇トラマンや戦隊モノの特撮番組で流れるようなサイレン音がこの部屋中に鳴り響いた。 
 
 これあれだね。
 早く逃げないとやばいやつだ。
 
「エルクセム王都第一騎士団長であるクラウディオを呼んだ!    いきなりで悪いが勇者達よ!    クラウディオが来るまでこの暗殺者を殺して敵国の魔の手から余を守ってくれ!」
 
 急展開すぎんだろ。
 
 まあ、それはともかくキョウタ達三人が俺を殺すことはないと思う。
 戦争が無い平和ボケした日本人ならいきなり人を殺せやら戦えやら言われても動けるはずがないしな。
 
 .......そう、動けるはずがないんだ。動けるはずがないんだよ。

 俺に向けて手の平を向けて何してるんですか? ねぇ、リオさん。
 
「ファイアーボール!」
 
 リオが俺に手の平を向けて魔法名を詠唱し、突如何も無い空中に火の玉が形成され俺に向かって撃ち出された。

 火の玉はサッカーボールぐらい。轟々とキャンプファイアーでよく聞く音を出しながら高温の炎の塊が俺の目の前に迫ってきた。
 
 こんのばっか野郎!    小学校か両親から、人を殺してはいけませんって習わなかったのかよ!
 
「ぬおおおおっ!?」
 
 俺は咄嗟に手に握っていたサンマでファイアーボールをガードした。

 サンマは炎に焼かれて炎上し、その青銀の身を黒く焦がされた。
 
 熱い!    熱いって!    あちちちちちちちちちちちちちち!!! 

 焼ける!    サンマと一緒に手が焼ける!    焼けちゃうよ!

 おおい、焼きすぎだよ。これじゃあもう食べれないよ。つーか、熱い。サンマが熱い。
もうサンマ握るの無理だわ。
 
「あちちっ!?」
 
 俺は炎に包まれたサンマを勢いよく空中に放り投げた。

 サンマは後方へと俺の手から離れて吹っ飛んでいき、
 
 すぐ後ろにいたオークJrの顔面に直撃した。
 
「目がァァァァァ!     目がァァァァァッッ!?!?!?」
 
 オークJrは水晶玉を落として両手で目を押さえながら絶叫した。

 どうやらサンマの焼かれた身が目の中に入ったらしい。いくらオークとはいえ可哀想だ。

 リオ、お前はなんことをするんだ。
 
「余の息子が!?    おのれぇ!    この暗殺者め!」
「次代のエルクセム王都を担う王子をも殺すのか!?    なんて手練だ!」
 
 どこがだよ。焦げたサンマをただぶつけただけじゃねえか。
 
 というか、そろそろ不味い。
 もうクラウディオとかいう奴が呼ばれているんだ。

 早くここのオーク城から脱出しないと冗談抜きで殺されてしまう。
 
「ウォーターカッター!」
 
 まずは目の前の障害物を排除する!
 
 俺はリオに向けてウォーターカッターを放った。

 よくも俺にファイアーボールをぶつけてくれたな。俺は根に持つタイプなんだよ。覚悟しろ、目には目を歯には歯を、魔法には魔法だ。

 しかし、俺の手から放たれたのは皮膚を切り裂く水の刃ではなく、ピューッと百均の水鉄砲から放たれる威力の水圧の放水だった。
 
 よぇぇ.......。

 何がウォーターカッターだよ。こんなん飲み水目的にしか使えねえじゃねえか。
 
 だが、俺のクソザコナメクジウォーターカッターでもリオはしっかりと怯んでくれた。
 
 そうだよね。いきなり水ぶっ掛けられたらそりゃあ怯むよな。

 リオは女子だし、服が濡れて透けると恥ずかしいもんね。

 ということで障害物も無力化したことだし逃げるんだぜ。
 
「暗殺者が逃げるぞー!」
 
 オークキングが贅肉を震わせて大声をあげた。俺はその声を無視してこの部屋から扉を開けて、脱出に向けて走り出したのだった。
 
 
 
 

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