ろりこんくえすと!

ノω・、) ウゥ・・・

2-1 招待状


 
 2-1    招待状
 
 
 
 雲が無数に広がる青空を、太陽が優しく照らす空の下。

 窓の外から木漏れ日がキラキラと輝きながら注ぐベットの上で、僕はリフィアに甘やかされていた。
 
「お兄ちゃん、あーん」
「あーん」 
「お兄ちゃん、リフィアの作ったご飯は美味しい?」
「美味しいよリフィア」 
 
 僕と貪食の食人鬼との戦いから既に一週間が過ぎていた。

 激しい死闘の末、貪食の食人鬼を倒した僕だが、全身筋肉痛になり今はこうしてリフィアに甘やかされながら休養をしていた。

 リフィアのお陰でもう体は充分に動かせるが、未だに毎日リフィアに甘やかされている日々を送っている。
 
 ちなみに、今日リフィアが作ってくれたご飯はゆで卵で和えたジャガイモとレタスのサラダと、パンをこんがり焼いてトマトと挽肉のスープに浸したものだった。
 
 料理はとても美味しい。リフィアは成長すれば立派でいいお嫁さんに僕はなれると思う。
 
 くっ。まだ九歳なのが勿体ない。
 
「えへへ.......お兄ちゃんの為に明日も作ってきてあげるの。楽しみに待ってるの」
「ありがとう、リフィア」
「いや、ちょっと待ってくれ」
 
 そんな僕達の幸せでのどかに流れる時間に待った掛け、遮る者が現れた。
 
「もぐもぐ.......どうしたアシュレイ?」
「お前らいつの間にこんなに仲良くなったのだ?    私がいない間に一体なにがあった?」  
「『男子三日会わざれば刮目してみよ』という言葉が僕の村にあるんだ。つまりだ、アシュレイが寝ている間に僕とリフィアは仲良くなった」
「なんで!?    リフィアはウェルトのことを汚物を見るような目でいつも見ていただろ!?     おかしい、おかしすぎる!」
 
 アシュレイは納得いかないようで、すぐ側にあったテーブルをバンと叩き立ち上がり、大声をあげた。
 
 そんな取り乱すアシュレイにリフィアは冷たく言い放つ。
 
「うるさいなぁお姉ちゃん。リフィアはお兄ちゃんとラブラブなの。お姉ちゃんのちぎれた腕と脚はちゃんとくっついたんだからさっさと回れ右して家に帰るの」
「あるぇ?    リフィアって私にこんなに冷たかったっけ?」
「ふっ、アシュレイ。細かいことは気にするな」
 
 僕はリフィアの作ってくれたご飯を飲み込んだ。

 トマトの酸味と挽肉の旨味がよく効いている。ほどよく焼かれたパンがスープをまんべくなく吸い、絶妙な食感を生み出している。

 ああ.......とても美味しい。そして幸せだ。
 
「.......まあ、ウェルトが正真正銘の完全なるロリコンと化したのは別にいい。それよりもこれだ」
 
 アシュレイはそう言って、胸ポケット中から煌びやかに輝く黄金のマークが入った手紙をベットの上にいる僕に渡してきた。
 
「なにこれ?    エルクセム王都騎士団からの強制招待状?」
 
 封筒の包みにはエルクセム騎士団よりと前書きが書かれ、強制招待状と銘が打たれていた。
 
「そうだ。ウェルトは貪食の食人鬼を倒して街を救っただろ」
「おお!    もしかして報酬金を貰えるのか!」
 
 素晴らしい。

 街を救った事で直々に騎士団から報酬金を貰えるというのか。

 僕への報酬金を渋ったこの街のギルドマスターより話が分かる。

 流石エルクセム王都騎士団だ。僕が頑張った甲斐があるというものだ。
 
「いや違うぞ」
「なんだって?」
「貪食の食人鬼の件について王都騎士団が詳しい話を聞きたいとのことだ。いわゆる事情聴取だな」
 
 そ、そんな馬鹿な.......!?
  
 僕は血涙を流し、奥歯を噛み締めて世の中に嘆いた。
 
 なんて世知辛い世の中なのだろう。
 貪食の食人鬼なんて超危険な魔物を僕は討伐したんだ。素直に報酬金ぐらい寄越して欲しい。
 
「しけてんなぁ.......報酬金貰えないなら別にいいや。断れないの?」
「断れん。あとばっくれたら打首もんだぞ。行け」
「ひっでぇ」  
 
 酷すぎる。

 こんなの街を救った英雄に対する仕打ちじゃない。
 
「気持ちは分かるが文句を言うな。私だって報酬金が欲しいぞ。入院代が払えなくてエマから借金もしたしな」
「あ、それで思い出した。そういえばエマはどうしたんだ?」
 
 一週間振りに思い出した。

 僕はアシュレイを無理矢理引き連れて貪食の食人鬼の戦いに巻き込んだんだ。
 
 その際、アシュレイの右腕と左脚を貪食の食人鬼に食いちぎられて危険な目に遭わせた事から僕を恨んでいるに違いない。

 エマはアシュレイの事が大好きなシスコンだし。
 
「エマはリフィアがいない間に、寝込んでいた時のウェルトのことを看病しててくれたぞ」
 
 えっ?
 
 ど、どうゆうことだ.......?
 
「い、意味が分からないぞ」
 
 僕は聞き間違いと疑って、アシュレイに聞き返した。
 
 だって僕を変態呼ばわりするあのちびっ子だぞ? 

 いやいや。ありえないだろ。
 
「エマは『お姉ちゃんを巻き込んだことは絶対に許さないわ。けど、貪食の食人鬼を倒して街を守ったことは素直に褒めてあげるわ。変態だけど、変態だけど』とぶつぶつ呟いていたぞ」
 
 その言葉を聞いて僕はほくそ笑んだ。
 
 ツンデレ?

 もしかしてツンデレなんですか?

 あのちびっ子にそんな属性があったんですか?

 これは僕のモテ期が到来したのかもしれない。
 
 ふっ、ふふ.......ふはははははははははははははは!!!

    僕は心の中で哄笑を上げる。
 
 来たぞ来たぞ!    僕の時代が!
 
「なんだそのニヤけた顔は。見ていて気持ち悪い」
「むー。お兄ちゃんが他の女の事を考えて笑っているの。お兄ちゃんはリフィアだけのものなの」
 
 リフィアは頬を膨らませながら僕の頭をぽかぽか叩き始めた。
 かわいい。
 
「僕はあんなちびっ子よりもリフィアの事が大好きだよ」
「お、お兄ちゃん.......」
「リフィアもちびっ子だと私は思うのだが」
「お姉ちゃんうるさいの。それはそれ。これはこれなの」
 
 リフィアはぽかぽかと僕の頭を叩いている手を止めて、顔を赤くしてモジモジし始めた。
 
「お、お兄ちゃん.......リフィアもお兄ちゃんの事が大好きなの」
「ほんとにかわいいなぁ.......。リフィアは」
 
 もうあれだね。

 ロリコンとか蔑まれている僕だけどもうロリコンでいいや。

 だってリフィアかわいいし。

 小さい子に甘やかされるとか最初はかなりの抵抗感があったけど、もう慣れて逆に安心感というか心が安らいでくる。

 そうだ。僕のメインヒロインはここにいたんだ.......。
 
「お前らがイチャイチャしているところを見ていると、なんかこう、締め上げたくなるな。見ていて無性に腹が立ってくる」
 
 それは嫉妬ですね、アシュレイさん。
 
「とりあえず一度話を戻して、と。アシュレイ、いつまでに王都へいけばいい?」
「できるだけ早くだそうだ」
「え、お兄ちゃんがエルクセム王都に行くならリフィアも行くの!」
 
 突然リフィアが話に割り込み、僕のお腹の上に身を乗り出してきた。
 
「え、ええ?    リフィアはまだ負傷者の治療の仕事があるんじゃ.......?」
「え、えーと。そう!     そうなの!     負傷者用の薬草や包帯や薬が品薄状態なの!     エルクセム王都に行けばそれらが購入できるし、なによりお兄ちゃん達は心強い冒険者だから護衛を頼むの」
 
 結構真っ当な理由だった。
 
「いや、負傷者の医療用具はつい先日にこの手紙と一緒にエルクセム騎士団から届けられたし、エルクセム王都までの道のりは人の手で整備されてて魔物が全くでないから護衛はいらな」
「口を慎むのお姉ちゃん」
 
 アシュレイに向けるリフィアの目が冷たい。
 怖い。怖いよ。
 
 もしかしてリフィアは独占欲が強いのかもしれない。
 
「ま、まあ、準備してからエルクセム王都に行くか」
 
 僕はリフィアの頭を撫でながらそう言った。リフィアは嬉しそうに僕の手の平に頭を押し付ける。
 
  「よし、明日は準備日にして二日後に出発しよう。行くぞアシュレイ」
 
「そうだな.......って、え?     私も一緒に来るのか?」
「来るに決まってるだろう。僕がド田舎の出身だと知らないのか?    エルクセム王都の場所なんて分かるか」
 
 リフィアと二人切りでは心もとない。
 アシュレイも巻き込んでやる。
 
「まあ.......いいだろう」 
 
 僕の誘いに、アシュレイは何か含みのある返事をして承諾した。
 
「ちっ」
 
 リフィアが僕の腕を抱きしめながら舌打ちをした。
 アシュレイを見る目が更に冷たくなっている。
 
 訂正だ、どうやらリフィアは独占欲が強いらしい。 

 いや.......でも裏を返せば僕はそれだけ愛されているってことだろう。 

 そうだ、そうに違いない。
 
「お兄ちゃん、旅先でリフィアの目があるとはいえ、リフィア以外の女に手を出しちゃダメなの。そこにいるいき遅れたおばさんなんかにはもってのほかなの。リフィア以外の女に手を出したら、リフィアがお兄ちゃんを力ずくで連れ戻し、リフィアのものにするの」
「おい、今私のことをなんて言った?」
「僕がいき遅れたアシュレイなんかに手はださないから安心しろ」
「おい、ウェルトも何を言っている?    私はまだ二十代だぞ」
「そうと決まれば二日後は王都への出発なの!    馬車リフィアが冒険者ギルドを揺すって手に入れるからお兄ちゃんはゆっくり待っているの」
「おい、何故無視をする」
「ああ、王都へ出発だ」
 
 こうして二日後。
 
 僕は馬車の中でもリフィアに膝枕をされて、拗ねたアシュレイと共に王都へ向かって出発した。
 
 
 

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