ろりこんくえすと!

ノω・、) ウゥ・・・

第2章プロローグ 不穏な影


 
 第2章プロローグ    不穏な影
 
 
 
 清々しく晴れ渡る太陽。
 雲ひとつない蒼き大空。
 憎たらしい程美しい青空が、この世界の上に広がっていた。
 
 そんな晴天のそなか、ひとつの不穏な影が大地に映し出され、王都に向かって飛ぶ一匹の魔獣の姿があった。
 
 魔獣は大空を飛行する。蒼色の翼を羽ばたかせて。
 ただ、もう一つ付け加えるならば、魔獣の背の上には一人の男が立っていた。
 
 「くだらない。全くもってくだらない」
 
 その魔獣の上で一人の男が呟いた。そして、その男の手には一冊の絵本が握られていた。
 その絵本はこの世界の誰もが知っている有名な御伽噺であり語り草。
 
 ――――光の勇者と魔物の王様の物語である。
 
「昔、昔.......」
 
 魔獣の背中の上で、一人の男が唐突に絵本を開きながら光の勇者と魔物の王様の物語を紡ぎだした。
 
 ――昔、昔.......
 
 それはとてもとても悪い魔物の王様がいました。

 魔物の王様はとても強欲で傲慢で、世界の全てを自らの手で支配したいと企みました。
 魔物の王様は手下を率いて世界に住む全ての人族に戦争を仕掛けました。

 普人族、植人族ドリアード、獣人族、魔人族、森人族エルフ、翼人族、魚人族、蟲人族。全ての人族が魔物の王様との戦争に挑みました。

 けれども、魔物の王様は強すぎました。
 人族は容易く戦争によって散り、街や村が滅ぼされました。
 魔物の王様率いる軍勢はとても強く、瞬く間に大陸全土を支配していきました。 

 人々を何万、何億人も殺して殺し尽くして魔物の王様は世界を手に入れる寸前でした。
 しかし、魔物の王様が世界を支配する直前、世界を救う者が神の手により現れました。

 それが光の勇者なのです。
 光の勇者は聖女と賢者を引き連れて、たった三人で魔物の王様に挑みました。
 光の勇者率いる三人はそれぞれ一騎当千の力を持っていました。
 脅威度Sに匹敵する魔物を何体も倒して魔物の軍勢を倒していきました。

 魔物の軍勢を倒していくと同時に、戦況が変わり始めました。
 全ての人族が一致団結して魔物の王様に戦いを挑んだのです。

 そして、三日三晩の死闘の末、光の勇者達三人は魔物の王様を倒しました。
 光の勇者が魔王を倒したことで、世界は平和になりました。
 こうして、私達は光の勇者達のお陰で笑って暮らせているのです。
 
 めでたしめでたし―――
 
「めでたしめでたし.......か。ふん、くだらないな」
 
 男は忌々しげに吐き捨てて、腕に力を込めて絵本を両手で引き裂いた。
 引き裂いたと同時に薄氷に紙が一枚一枚残らず凍り尽くし、粉々に砕けていく。
 パラパラとガラスが割れるように絵本は青空の下に落ちていった。
 
「まあ、今のくだらない歴史は終わりを告げるが。この私が作った史上最高の傑作が」
 
 男が乗っているその魔獣は異質だった。
 
                    ・・
 体がまるで統一されていなかった。

 
 その魔獣には、猛々しく靡くなび赤いたてがみを携えていた。
 ありとあらゆる物を容易く噛み砕く獰猛な牙と、獄炎を吐き出す口内機関を持つ焦土火山の絶対王者。

 脅威度A。
 ブレイズレオの顔体。
 
 
 その魔獣には、巨大で鋭く尖った爪を持っていった。
 岩山を溶けたバターのように引き裂く凶暴な巨大熊。

 脅威度A。
 タイラントグリズリーの豪爪。
 
 
 その魔獣には、蒼色に輝く美しい翼が生えていた。
 羽ばたくだけで竜巻を巻き起こす、天災の化身の象徴。

 脅威度A。
 ヒポグリフの天翼。
 
 
 その魔獣には、頑丈な茶色の肉体を有していた。
 どんな剣も通さず、魔法も弾く最高強度の肉体を持った猿型の牙獣種。

 脅威度A。
 仙山の猿王の胸筋体。
 
 
 その魔獣には、大地を砕き、疾風と迅雷で地を制した脚を持っていった。 
 遮る者を全て抜き去る雷雲草原の覇者の証明。

 脅威度A。
 神速の雷豹の迅雷脚。
 
 
 その魔獣には、人類の天敵にして人の肉を食べることを生きがいにした者の心臓が使われていた。
 どんな傷を受けても高速で再生する脅威の人類の天敵者。

 脅威度A。否、脅威度S。
 貪食の食人鬼の脈動心。
 
 
 そして、その魔獣の背中の上に銀色のコートをなびかせる銀髪の男が立っていた。
  
 
 氷の錬金術師。

 ユリウス=ナサニエルが。
 
 
「欲をかいたなエルクセム王よ。そして今に待っていろエルクセム王都。勇者召喚なぞ愚かな行いをする者には、私じきじきに滅ぼしてやる」
 
 銀髪の男、ユリウス=ナサニエルは顔に暗い笑みを浮かべる。
 
 「全ては、魔王様の為に」
 
 ユリウスは一人呟き、魔獣は悠々と翼を羽ばたかせながら飛んでいく。
 
 個体名    キメラ合成獣
 Lv86
 HP1850/1850
 MP873/873
 筋力2645
 耐久1971
 魔力1945
 精神2012
 俊敏1780
 
 所持スキル

 ブレイズレオ固有スキル
 炎王Lv5
 『ノヴァブラスト』『メギドブレイズ』
 『灼熱焦土しゃくねつしょうど
 『ヒートチャリオット・ロア』
 『失大罪スキル【虚飾きょしょく】』
 
 タイラントグリズリー固有スキル
 凶君主Lv3
 『地穿じうがき』『ブラッドサック』
 『豪爪裂破』
 
 ヒポグリフ固有スキル
 天災獣Lv4
 『神嵐激じんせんげき』『紫電翼しでんよく
 『クラウ・ソラス』『ゲイルトルネード』
 
 仙山の猿王固有スキル
 王猿術Lv3
 『気功法きこうほう』『八叉連衝ほっされんしょう
 『響震きょうしん
 
 神速の雷豹固有スキル
 雷神Lv3
 『迅雷照脚じんらいしょうきゃく
 『ブリッツボルト』
 『ジオ・ライトニング』
 
 貪食の食人鬼固有スキル
 人類の天敵Lv4 
 『超高速再生』『鬼化』
 『人類の天敵者』
 『失大罪スキル【過食かしょく】』
 
 キメラ固有スキル
 人造生物Lv3
 『基礎力向上』
 『七大罪スキル【■■?】』
 『七大罪スキル【■食】?』


 
 魔獣は空を飛びながら雄叫びを上げ、空を飛び続ける。
 
 魔獣が向かうその遥か前方には緑豊かな自然に囲まれた、大きな街が見えていく。
 
 エルクセム王都。
 
 魔獣はエルクセム王都に向けて飛翔していく。魔獣の背の上でユリウスは笑っていた。
  
 少年はまだ知らない。 
 
 貪食の食人鬼を遥かに越える絶望が襲いかかることを。
 
 
 
 

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