ろりこんくえすと!

ノω・、) ウゥ・・・

1-14 解毒草の採取



    1-14    解毒草の採取


 満点な青空。 

 美しく輝く太陽。

 そして清々しい空気。

 なんと素早らしい。なんて今日は絶好の採取日和なんだろうか。

「ウェルトー! こっちにも解毒草があったぞ!」
「おー! 今行くー!どんどん採っていこうなー!」

 僕はアシュレイと共に、街から西へ進んだ湿地帯の中で解毒草と呼ばれる植物を採取していた。

 解毒草はその名の通り、魔物や毒草の毒を中和する植物で、解毒薬の原料ともなるものだ。

 人々からの需要はそこそこ高い。

 「ふぅ.......。魔物の討伐もいいけど、こういったのんびりとした採取クエストもたまにはいいな」

 僕は解毒草をプチプチと採取しながら、独りごちに呟いた。

 村で畑を耕していたことを思い出す。魔物のせいでまともな農作物が取れなかったあの村。それに比べれば、解毒草の採取は雲泥の差だ。

「そうだな。魔物を倒す事だけをするのが冒険者ではない。こういった採取クエストもこなしてこそ、冒険者なのだろうな」

 後ろで採取をするアシュレイも、嬉しそうに笑いながら僕の言葉に頷く。

    何故、僕達が解毒草なんかの採取をしているか。 

 それは数時間前に遡る。



    ◆◇◆



    数時間前。

「ロリ.......ウェルトさんとアシュレイさん、本日はどのようなご要件ですか?」

    目の前の受付嬢は、床の上に伸びたゴンザレスを呆れながら見下して僕に尋ねてきた。

 冒険者が受付嬢にある要件はクエストぐらいしかないだろ……。

「何か手頃なクエストはないだろうか?   パパッと終わってたっぷり儲かるやつ」

    アシュレイはカウンターをトントンと指先で叩き、受付嬢を催促する。

「そうですねー.......こちらの解毒草の採取クエストなんかがお勧めですよ!」

 受付嬢はカウンターの中からクエストの依頼書を出して僕達に見せた。

「なんでも最近、解毒草の群生地である湿地帯から冒険者や村人が行方不明になっているようで人気がないんですよー.......。 そのせいか、解毒草の価値が上がっていて報酬も弾んでいますよ!」

 依頼書を見るとこのクエストの報酬は解毒草一つに付き5ゴールド。ヒュージスライムの時と同じように、解毒草が採れれば採れるほど、報酬金が上がっていくクエストだ。

 解毒草が値上がりしているのはどうやら本当らしい。それにしてもなんだ、この美味しいクエストは。

 魔物討伐でもない、ただ草をちぎって納品するだけで5ゴールド。

 とてもいいクエストじゃないか!

「アシュレイ、このクエストは絶対受けるよ」
「やけにやる気だな。私もいいと思うぞ。では受理を頼む」
「はい。受注しておきますね。それではお気を付けて~」
 


    ◆◇◆



 回想終わり。

「いやぁ、大漁大漁。見ろよアシュレイ、これだけ解毒草があれば、500ゴールドは軽く稼げたんじゃないか?」

 僕は籠の中にある、溢れんばかりの解毒草をアシュレイに見せた。

 「私も沢山採れたぞ。ふむ、ウェルトの分と合わせて1000ゴールドはいくと思うな」 

 アシュレイも僕に籠を見せる。籠の中は僕と同じように解毒草が敷き詰められていた。

「街に帰ったら楽しみだ。そうだアシュレイ、ここの辺りはこれぐらいにしておこう。解毒草はあまり取りすぎると他の冒険者の迷惑になるし、また解毒草が生えてくる時間を短くしないと」 
「ウェルトにしては気が利く発言だ。それもそうだ、採りすぎるのもよくないな」
「なんだよ、ウェルトにしてはって」

 僕達がいる場所に群生している解毒草はあらかた取り尽くした。

 ここから一旦離れて、解毒草が群生している違う場所でもう少し採取をしよう。

 僕がそう考えて足を踏み出した時、ブニュッと何か柔らかい物を踏み潰して、僕は頭からすっ転んだ。

「あだっ!?」
「ぷぷぷっ! 何やってるんだウェルト! ぷはははははっ!」

 顔を土に埋めながら、僕は草木に隠れていた緑色の物体を見つけた。

「キュニュ!」

  後ろから可愛い声が聞こえてきた。 .......なーんか聞き覚えのある音と触感だ。

 僕はおそるおそる足元を見ると、そこには緑色のぶよぶよ、もといヒュージスライムが僕の足のつま先で踏んづけられていた。

「こんなところにもヒュージスライムが生息していたのか!.......ってあれ?」
 
 僕はヒュージスライムが勢いよく飛びかかってくるかとすかさず身構えたが、ヒュージスライムは全く僕に興味を示さずに、のろのろと去っていく。

「あれ? どうして襲ってこないんだ」
「ウェルト、いきなりダガーを出してどうしたんだ?」

 笑いが収まったアシュレイが僕に聞いてくる。

「いや、さっきヒュージスライムを思いっきり踏んじゃったんだけどさ、何もしてこないんだよ」

 アシュレイはのろのろと進んでいるヒュージスライムを見つけると、木の枝とちょんちょんと突っつき始めた。

 「これが本来のヒュージスライムだな。地下水路にいた好戦的な性格ではなく、本当は穏やかな性格で何もしてこない。改めて普通のヒュージスライムを見ると、地下水路の奴らがどれほど異質な存在だったかが分かるな」

    アシュレイは緑色の粘液の中に、木の枝を入れては抜き、入れては抜きと繰り返して遊んでいる。

「キュニュ。キュニュ。キュニュ」

    ヒュージスライムはされるがままにキュニュキュニュと声をだしながらアシュレイにつつかれる。

「なんだか本当に人畜無害な魔物だ。地下水路の奴らが嘘のように思えてきたよ」

 アシュレイに遊ばれているヒュージスライムは、何の反撃も威嚇もしてこない。  
 それどころか、すぐ側に生えている解毒草をつつかれながら呑気に食べ始めた。 

「そうだウェルト、実はヒュージスライムの好物は解毒草らしい。なんでもお偉い学会発表されたことによると、ヒュージスライムの緑色の粘液は解毒草によって着色されているらしい」 

 へー、そんな話があったのか。だが、地下水路には解毒草なんて群生しないからその考えは間違いかもしれないな。

「それもエマから聞いた話だろ?」
「ばれてしまったか。その通りだ」

 アシュレイは笑いながら僕に答えた。

「さて、ヒュージスライムと遊んだしろそろ帰るか」
「そうだね。もう少し採取しようとしたけど、もう充分かな」

 僕達は籠を背負い直して、違う場所に移ろうとした時、ガサコソと草むらが揺れて何かが飛び出してきた。

 ヒュージスライム? いいや、こいつは違う魔物――!

「ガルルルルルルルゥゥゥ!」

 目の前に灰色の毛皮を持つ狼型の魔物。

 以前の村ではよく見た魔物、フォレストウルフが茂みの中から僕達の前に姿を現した。




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