能無し刻印使いの最強魔術〜とある魔術師は来世の世界を哀れみ生きる〜
EP.75 神狼はデートする
時刻を同じくして、エリルとミナ。2人は連合国内の街を観光がてら歩いていた。もちろんミナとエリルは腕を組み。
「やっぱり人が多いですね」
「連合国だからね、仕方ないよ」
少し不安げにぎゅっとエリルの腕を抱きしめるミナに対して、エリルは何のことは無いと肩を竦めた。
「........嘘みたいです。男の人とお付き合いして、こうやって1番好きな人の隣を歩けるなんて」
「あれ?君、ずっと僕の横歩いてたよね?」
「っ!.........もうっ!エリルさん!」
ミナがぷくっと可愛くふくらませた頬に「ごめんごめん」と爽やかに笑いながらエリルが返す。傍から見ても、明らかにイチャイチャしている2人に、もちろん視線は集まり放題である。
「それにしても、どうしてなんでしょうか」
「何がだい?」
「今まで、ゼルノワール学園が他の国の学園との交流なんてしたことがなかったんです。でもなんで今回は..........」
「うーん、深くは考えなくていいと思うよ」
「何でそう思うんですか?」
「だって、今が僕は1番楽しいし幸せだからさ」
「っ〜〜!!」
補足しておくがエリルはファンクラブができるほどの顔立ちだ。もちろんその顔からの微笑みは、もはや凶器と言っても過言ではない。故にミナは顔を真っ赤にしながら俯いて「は、はいぃ.........」と答えることしか出来なかった。
「そう言えばクルシュとルイを知らないかい?」
「あのお二人でしたら、私達より少し早く宿舎を出てましたよ?」
「何も無いといいんだけどなぁ.......」
遠い目で半ば諦めかけのエリルだが、もちろんその心配は裏切られる。しかしまだこの時のエリルは知らないのである。それにミナも苦笑で賛同し。
「クルシュさんにトラブルなんて、あってないようなものですよね」
「まぁそうだけどね」
エリルは肩を竦めた。そんな調子で街を歩くこと数分、だんだんと人気が無くなっていき、ついにはその場に誰もいなくなってしまった。それは人気のない場所に来たとか、そういう問題ではない。歩く事に人が消えているのだ。
「.........ミナさん、僕から離れないで」
「えっ?あ、は、はい!」
思わず聞き返したが、剣呑な表情を浮かべるエリルの表情を見て察したミナは背中へと隠れた。その直後、コツ、コツと足音が聞こえ、黒いローブを被った人物が現れる。
「人払いの魔法なんて、随分と手の込んだ事をするね」
「いえいえそんな。朝飯前ですよ」
ローブ越しで見えないが、その先ではどこか見透かされているような、そんな気がした。エリルは腰の鉄剣を抜刀し、正眼に構える。
「何が目的だい?」
「忠告しに来ただけですよ。六日後にお気をつけを、とね」
「六日後........ですか?」
恐る恐る聞くミナに黒ローブの人物はコクりと頷いた。
「君は誰だ?」
「見た通りの黒ローブですよ。それ以上でも、以下でもありません」
「人払いの魔法なんて、そうそう使えるものじゃない。それに、今の時代にその魔法を知る人は少ない」
「よく知ってるじゃないですか。では、私がその"少ない"部類に入るとは思いませんか?」
「思わないね」
疑問に対して即答したエリルは続ける。
「君が僕達に忠告しに来た、つまり君は予言ができるわけだ。予言者が只者であるはずがないだろう?」
「ふむ、そう考えますか。ではヒントをあげましょう。私は、"天より上"です」
「"天より上"だって?」
「では伝えるべきことは伝えましたよ。さようなら」
コツ、コツとまた足音を立て、その黒ローブの人物は消えていった。それと同時に世界が壊れたように空間が裂け、何事も無く先程まで歩いていた道へと戻っていた。
「六日後と言うと............学院交流の日ですね」
「そうだね。その日に何かあると言いたいらしい」
「あと........私の眼で、先程のあの人を見たんです」
「君の眼にはどう映ったんだい?」
「.........何か抜け落ちているようで、少なくとも、人ではありませんでした」
「人じゃない........か」
顎に手を当て思案するが、いくら考えてもやはり情報が少なすぎるため特定には至らない。故に。
「ま、何とかするさ。さ、行こっか」
「え?あ、はい!」
歩き出したエリルの腕に慌てて抱きつき、再び2人は観光へと戻った。
今回はかなり短いんです...........ごめんなさい .........。
「やっぱり人が多いですね」
「連合国だからね、仕方ないよ」
少し不安げにぎゅっとエリルの腕を抱きしめるミナに対して、エリルは何のことは無いと肩を竦めた。
「........嘘みたいです。男の人とお付き合いして、こうやって1番好きな人の隣を歩けるなんて」
「あれ?君、ずっと僕の横歩いてたよね?」
「っ!.........もうっ!エリルさん!」
ミナがぷくっと可愛くふくらませた頬に「ごめんごめん」と爽やかに笑いながらエリルが返す。傍から見ても、明らかにイチャイチャしている2人に、もちろん視線は集まり放題である。
「それにしても、どうしてなんでしょうか」
「何がだい?」
「今まで、ゼルノワール学園が他の国の学園との交流なんてしたことがなかったんです。でもなんで今回は..........」
「うーん、深くは考えなくていいと思うよ」
「何でそう思うんですか?」
「だって、今が僕は1番楽しいし幸せだからさ」
「っ〜〜!!」
補足しておくがエリルはファンクラブができるほどの顔立ちだ。もちろんその顔からの微笑みは、もはや凶器と言っても過言ではない。故にミナは顔を真っ赤にしながら俯いて「は、はいぃ.........」と答えることしか出来なかった。
「そう言えばクルシュとルイを知らないかい?」
「あのお二人でしたら、私達より少し早く宿舎を出てましたよ?」
「何も無いといいんだけどなぁ.......」
遠い目で半ば諦めかけのエリルだが、もちろんその心配は裏切られる。しかしまだこの時のエリルは知らないのである。それにミナも苦笑で賛同し。
「クルシュさんにトラブルなんて、あってないようなものですよね」
「まぁそうだけどね」
エリルは肩を竦めた。そんな調子で街を歩くこと数分、だんだんと人気が無くなっていき、ついにはその場に誰もいなくなってしまった。それは人気のない場所に来たとか、そういう問題ではない。歩く事に人が消えているのだ。
「.........ミナさん、僕から離れないで」
「えっ?あ、は、はい!」
思わず聞き返したが、剣呑な表情を浮かべるエリルの表情を見て察したミナは背中へと隠れた。その直後、コツ、コツと足音が聞こえ、黒いローブを被った人物が現れる。
「人払いの魔法なんて、随分と手の込んだ事をするね」
「いえいえそんな。朝飯前ですよ」
ローブ越しで見えないが、その先ではどこか見透かされているような、そんな気がした。エリルは腰の鉄剣を抜刀し、正眼に構える。
「何が目的だい?」
「忠告しに来ただけですよ。六日後にお気をつけを、とね」
「六日後........ですか?」
恐る恐る聞くミナに黒ローブの人物はコクりと頷いた。
「君は誰だ?」
「見た通りの黒ローブですよ。それ以上でも、以下でもありません」
「人払いの魔法なんて、そうそう使えるものじゃない。それに、今の時代にその魔法を知る人は少ない」
「よく知ってるじゃないですか。では、私がその"少ない"部類に入るとは思いませんか?」
「思わないね」
疑問に対して即答したエリルは続ける。
「君が僕達に忠告しに来た、つまり君は予言ができるわけだ。予言者が只者であるはずがないだろう?」
「ふむ、そう考えますか。ではヒントをあげましょう。私は、"天より上"です」
「"天より上"だって?」
「では伝えるべきことは伝えましたよ。さようなら」
コツ、コツとまた足音を立て、その黒ローブの人物は消えていった。それと同時に世界が壊れたように空間が裂け、何事も無く先程まで歩いていた道へと戻っていた。
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