能無し刻印使いの最強魔術〜とある魔術師は来世の世界を哀れみ生きる〜
EP.27 魔術師は場所が変わる
周りでグループが作られる中、やはり俺は孤立した。まぁ予定通りだ、ここの連中が俺と仲良くしたいとも思わないからな。と、その時扉が空いた。
「よし、皆ちゃんと着席しているな?」
ん?その声にどこか聞き覚えがある。........いやいや、まさかな。さすがにそれはないだろう、俺ともあろう者が何を思ったか。
「初めまして、今日からこのSクラスを担当することになった。新米教師のレオ・ヴォルフォードだ」
.........待て。レオ、何故お前がここにいる。お前は騎士団長だろう、何故こんな低度の魔法学園に教師として転入してきている。まずどうやった。
「なぁ、ヴァルフォードって.........」
「レオって、あの王国騎士団長の?」
「『孤高の獅子』だよな?」
まわりはそんな風にざわついている。一方のレオは装い新たにゴツゴツした装備からスーツにメガネ、ロングヘアーをポニーテールに纏めていた。
「なお、私は騎士団長との兼任となるのでな、たまに私がいない時はそっちの仕事だと思ってくれ」
「はい先生」
「どうした?エリク?」
なるほど、レオはもう既に名前を覚えているのか。まぁ教師としては当然か、そんな素振り1階も見せなかったが。
「先生はどうしてこちらへ?」
「今の時代、"何故か"誰でも教師としての資格があるらしくてな。弟の監督も兼ねてここに帰任した。ちなみに1番後列で寝息を立てながら器用に聞き耳を立てている少年、あれは私の弟だ。起きているんだろう?クルシュ」
..........やれやれ、全く面倒くさいことをしてくれる。そもそも問いただしたいことは色々あるが、ここは素直に従ってやろう。
「起きてます」
「そんな言葉を改める必要も無い。いつもどうりでな。皆も私に喋りかける時は普通に接してくれていいぞ、私は笑顔が好きだからな。ではこれから1年間よろしく頼むぞ」
その言葉で拍手が起こり、その後事務的な伝言が続けられた。そしてチャイムが鳴ると同時にレオは退室して行った。その後の教室には静寂が降る。特にこの後教室に残らなければならない訳では無いため教室を出た。
やれやれ、まさかレオが担任になるとはな。この2年間で1番驚いたぞ。少しアリスの教室を覗いてみるか、場所は魔力反応でわかるからな。
「ふむ、Aクラスか」
窓際から様子を見るが、ふむ、見慣れたやつが1人。まさかリアがこんな所にいるとはな、相性は最悪と言ったところか?.........それと王族のもう1人、名前は知らないが男の方がいるな。
「クルシュ、そこで何をしている?」
「俺は朝から不思議だ。なんでお前がいる?」
「まぁ裏のコネを使ったまでさ。あとの理由はあそこで言った通りだ」
「..........過保護か」
「過保護で何が悪い。私にとって最愛の弟だからな」
「はぁ、まぁとやかくは言わんがまだか?あのクラス遅いぞ?」
「あぁ、Aクラスの担任は話が長くてな。見ろ、ともううんざりしているだろう?」
確かによく見てみると疲れた表情をしているな。まぁいい、ちょうど今終わったみたいだからな。
「あ、クルシュ君!」
「さっきぶりだな」
「うん。.........ってレオさん!?」
「アリス、しっかりと学業に励むんだぞ?」
「い、いや..........なんで?なんでここにいるのよ!?」
「まぁ色々とな。一応私は騎士団長との兼任だ、時々ここを留守にするからな」
「大変ね.............」
「まぁこれからよろしく頼むぞ、2人とも」
2人の肩を叩いたレオはそのまま職員室の方向へ向かっていった。
「さ、帰るか」
「あそこまで帰らなきゃならないのね..........」
「問題ない。俺の魔法で直ぐに帰れるからな」
「でも人目のつかない場所じゃないと.........」
「別にここで使うとは言ってないだろ。帰るぞ」
俺はそのまま学園内から出て人気のない場所へ行く。幸いにもこの敷地には森があるためそこで転移魔術を使えばバレることがない。
「たーだいまー!」
「いや、ここお前の家じゃないだろ」
「住んでるようなものじゃない?」
「まぁ否定はしないが........」
やれやれ、家に帰り始めたのが最近だと言うのにまたここで暮らすつもりか。別に今更気にしたことではないが、噂でも立ったら面倒だ。
「ねぇクルシュ君、これ見て」
「ん?.........なるほど」
机の上には紙切れと鍵があった。紙切れには「お前達が暮らすのはここじゃないぞ」と書かれその横に住所が書かれている。
「..........これ何?」
「さぁな。でも言って見ればわかる」
結局二度手間で王都に戻り、民間街を歩く。適当に闊歩していたらそこは見つかった。あの村にあった家に負けずとも劣らない木造二階建ての一軒家がそこにはあった。
「すごい!ここ!?」
「らしいな。鍵も渡されてある」
俺が鍵を開けるとそこに広がったのはあの家と変わらない光景。家具の配置も、家の雰囲気もまるで同じだ。
「..........なにこれ」
「なるほど、まるであの家をこちらに移して来たような造りだな」
「なんでこんな所に?」
「それは入って確かめるといい」
後ろに現れていたのはレオだった。いつもの外出用の装備を着て、横を通り過ぎる。
「ここが、お前達の新しい家だ」
「ねぇレオさん、なんで?」
「お前達もこちらの方が通いやすいだろう?」
「それもそうだけど、あの家は?」
「ああ、あれは私の家だ。ここにはお前達で住め」
「ええっ!?」
ふむ、俺も初耳だな。ここにアリスと住むか、それは色々とまずいと思うのだがな。
「安心しろ、ちゃんと領主には話を付けてある」
「.......ちなみに、なんて?」 
「「クルシュ君なら任せられる」だそうだ」
「パパぁ!!」
その言葉を聞いたアリスがガクンっと膝から崩れ落ちる。
「何だ?嫌か?」
「そ、そういう訳じゃなくて..........」
「まぁそういう事だ。私はいつも慣れているから帰れるが、お前達を私の帰宅時間に合わさせるのもどうかと思ってな」
「でも、お金とかは..........」
「ああ、心配するな。こうなることを見越して貯めてきたからな!」
自信ありげにフフンと上を向いたレオにアリスが白けた目線を送る。
「じゃあ私は帰るからな、あとは二人でやってくれ。ちなみに、しっかりと日用品は置いてある。あと料理は作りに来てやるからな」
「それはいいけど2人って...........」
「じゃあそういう事でな。今日の分は作り置きしてあるから温めて食べるんだぞ」
「あっ.......ちょっと..............行っちゃった」
ふむ、何故か色々と見透かされた気がするが気の所為だろう。しかしアリスと2人で生活か、まぁレオがアリスに変わったと思えば別に大して問題は無い。
「よし、皆ちゃんと着席しているな?」
ん?その声にどこか聞き覚えがある。........いやいや、まさかな。さすがにそれはないだろう、俺ともあろう者が何を思ったか。
「初めまして、今日からこのSクラスを担当することになった。新米教師のレオ・ヴォルフォードだ」
.........待て。レオ、何故お前がここにいる。お前は騎士団長だろう、何故こんな低度の魔法学園に教師として転入してきている。まずどうやった。
「なぁ、ヴァルフォードって.........」
「レオって、あの王国騎士団長の?」
「『孤高の獅子』だよな?」
まわりはそんな風にざわついている。一方のレオは装い新たにゴツゴツした装備からスーツにメガネ、ロングヘアーをポニーテールに纏めていた。
「なお、私は騎士団長との兼任となるのでな、たまに私がいない時はそっちの仕事だと思ってくれ」
「はい先生」
「どうした?エリク?」
なるほど、レオはもう既に名前を覚えているのか。まぁ教師としては当然か、そんな素振り1階も見せなかったが。
「先生はどうしてこちらへ?」
「今の時代、"何故か"誰でも教師としての資格があるらしくてな。弟の監督も兼ねてここに帰任した。ちなみに1番後列で寝息を立てながら器用に聞き耳を立てている少年、あれは私の弟だ。起きているんだろう?クルシュ」
..........やれやれ、全く面倒くさいことをしてくれる。そもそも問いただしたいことは色々あるが、ここは素直に従ってやろう。
「起きてます」
「そんな言葉を改める必要も無い。いつもどうりでな。皆も私に喋りかける時は普通に接してくれていいぞ、私は笑顔が好きだからな。ではこれから1年間よろしく頼むぞ」
その言葉で拍手が起こり、その後事務的な伝言が続けられた。そしてチャイムが鳴ると同時にレオは退室して行った。その後の教室には静寂が降る。特にこの後教室に残らなければならない訳では無いため教室を出た。
やれやれ、まさかレオが担任になるとはな。この2年間で1番驚いたぞ。少しアリスの教室を覗いてみるか、場所は魔力反応でわかるからな。
「ふむ、Aクラスか」
窓際から様子を見るが、ふむ、見慣れたやつが1人。まさかリアがこんな所にいるとはな、相性は最悪と言ったところか?.........それと王族のもう1人、名前は知らないが男の方がいるな。
「クルシュ、そこで何をしている?」
「俺は朝から不思議だ。なんでお前がいる?」
「まぁ裏のコネを使ったまでさ。あとの理由はあそこで言った通りだ」
「..........過保護か」
「過保護で何が悪い。私にとって最愛の弟だからな」
「はぁ、まぁとやかくは言わんがまだか?あのクラス遅いぞ?」
「あぁ、Aクラスの担任は話が長くてな。見ろ、ともううんざりしているだろう?」
確かによく見てみると疲れた表情をしているな。まぁいい、ちょうど今終わったみたいだからな。
「あ、クルシュ君!」
「さっきぶりだな」
「うん。.........ってレオさん!?」
「アリス、しっかりと学業に励むんだぞ?」
「い、いや..........なんで?なんでここにいるのよ!?」
「まぁ色々とな。一応私は騎士団長との兼任だ、時々ここを留守にするからな」
「大変ね.............」
「まぁこれからよろしく頼むぞ、2人とも」
2人の肩を叩いたレオはそのまま職員室の方向へ向かっていった。
「さ、帰るか」
「あそこまで帰らなきゃならないのね..........」
「問題ない。俺の魔法で直ぐに帰れるからな」
「でも人目のつかない場所じゃないと.........」
「別にここで使うとは言ってないだろ。帰るぞ」
俺はそのまま学園内から出て人気のない場所へ行く。幸いにもこの敷地には森があるためそこで転移魔術を使えばバレることがない。
「たーだいまー!」
「いや、ここお前の家じゃないだろ」
「住んでるようなものじゃない?」
「まぁ否定はしないが........」
やれやれ、家に帰り始めたのが最近だと言うのにまたここで暮らすつもりか。別に今更気にしたことではないが、噂でも立ったら面倒だ。
「ねぇクルシュ君、これ見て」
「ん?.........なるほど」
机の上には紙切れと鍵があった。紙切れには「お前達が暮らすのはここじゃないぞ」と書かれその横に住所が書かれている。
「..........これ何?」
「さぁな。でも言って見ればわかる」
結局二度手間で王都に戻り、民間街を歩く。適当に闊歩していたらそこは見つかった。あの村にあった家に負けずとも劣らない木造二階建ての一軒家がそこにはあった。
「すごい!ここ!?」
「らしいな。鍵も渡されてある」
俺が鍵を開けるとそこに広がったのはあの家と変わらない光景。家具の配置も、家の雰囲気もまるで同じだ。
「..........なにこれ」
「なるほど、まるであの家をこちらに移して来たような造りだな」
「なんでこんな所に?」
「それは入って確かめるといい」
後ろに現れていたのはレオだった。いつもの外出用の装備を着て、横を通り過ぎる。
「ここが、お前達の新しい家だ」
「ねぇレオさん、なんで?」
「お前達もこちらの方が通いやすいだろう?」
「それもそうだけど、あの家は?」
「ああ、あれは私の家だ。ここにはお前達で住め」
「ええっ!?」
ふむ、俺も初耳だな。ここにアリスと住むか、それは色々とまずいと思うのだがな。
「安心しろ、ちゃんと領主には話を付けてある」
「.......ちなみに、なんて?」 
「「クルシュ君なら任せられる」だそうだ」
「パパぁ!!」
その言葉を聞いたアリスがガクンっと膝から崩れ落ちる。
「何だ?嫌か?」
「そ、そういう訳じゃなくて..........」
「まぁそういう事だ。私はいつも慣れているから帰れるが、お前達を私の帰宅時間に合わさせるのもどうかと思ってな」
「でも、お金とかは..........」
「ああ、心配するな。こうなることを見越して貯めてきたからな!」
自信ありげにフフンと上を向いたレオにアリスが白けた目線を送る。
「じゃあ私は帰るからな、あとは二人でやってくれ。ちなみに、しっかりと日用品は置いてある。あと料理は作りに来てやるからな」
「それはいいけど2人って...........」
「じゃあそういう事でな。今日の分は作り置きしてあるから温めて食べるんだぞ」
「あっ.......ちょっと..............行っちゃった」
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