能無し刻印使いの最強魔術〜とある魔術師は来世の世界を哀れみ生きる〜
EP.22 魔術師は見学する
さて、あの試験から1日経った今日、合否発表の日だ。噂らしいが採点した教師達は徹夜のようだ。まぁ俺にはどうだっていいが。
と言っても俺は今、借りている宿のテーブルでコーヒーを飲んでいる。ちなみに俺一人で、アリスとレオが合否を見に行っている。もちろん俺は受からなかったなどというクズになる気は無い、しかし心配もしていない。
「ただいま、帰ったぞクルシュ」
「あらあら〜おかえりなさい〜レオさん」
「あぁ。さてクルシュ、お前の結果だが..........」
「クルシュ君、私受かってたわよ!」
と、アリスが自分が受かっている事が示してある紙切れを見せつけてくる。紙切れには合格と何位で受かったか、が記述されていた。
ふむ、5位か。アリスにしてはやった方だな。
「..........で、俺は受かってるんだろ?アリスが受かって俺が落ちるはずがないからな」
「ちょ、それは酷いわよ!」
「.........まぁ、クルシュの言う通りだ。おめでとう、クルシュ、合格だ」
俺に手渡された紙切れに、俺の名前と合格と順位を示す文字が刻まれていた。
.........首席か、まぁ当然といえば当然だな。
「クルシュ君、首席じゃない!」
「らしいな、まぁ当然か」
「さすが私の弟だな。首席おめでとう、クルシュ」
「まぁ〜クルシュ君首席なの〜?これはお祝いねぇ〜」
「すまないな、宿を借りている上に私情を挟むなど........」
「気にしないで〜。恩は返すタチなのよ〜」
おい待て、なんであんたまで入ってくるんだ。..........まぁ別に悪い気はしないからいいが。
その日は何故かほかの宿泊客も混じり、俺達の小さな祝賀会が行われた。途中からレオが酔いつぶれ暴走しかけたのは記憶に新しい。
そして翌日、入学式までは1週間あるのだが、今日はレオに強引に王城内にある騎士団の見学に連れていかれた。
筋骨隆々な男達がそれぞれ訓練を積んでいる。剣を振るものもいれば、頭が痛い詠唱を唱えながら魔法を鍛錬する者もいる。ちなみに後者は見ているだけでその場にはいたくないと思わせるような長ったらしい詠唱だった。
「ここが騎士団なのね...........」
「むさくるしくてすまないな、体の鍛錬はいつも怠ってはいけないから仕方ないんだ」
「別に気にしてないけど、レオさんはやらなくていいの?」
「私はまぁ..........」
「騎士団長!」
レオが話そうとした瞬間、前方から声が掛かる。すると、前方から俺と同じくらいの身長の鎧を着た女が駆け寄ってきた。ブロンドのミディアムヘアを揺らしながら、そのアメジストに似た瞳はレオを見ている。
「セリルか、どうかしたか?」
「いえ、そちらに連れている方は..........」
「私の弟と領主の娘君だ」
「と、言うことは.............」
見上げる顔がこちらに向く。俺の顔をその目が捉えた瞬間、瞳が星のように輝いた。
「貴方が団長の弟さんのクルシュさんですか!!」
「あ、ああ..........」
「話はいつも団長から聞いてます!。その歳ですでに熊型の魔獣を1人で倒せるとか!星宝の刻印であるのに様々な魔法を使えるとか!!」
俺の手を両手で握りぶんふんと上下に振りながら顔を近づけてくる。
な、なんなんだこいつ.........。初対面にして何だこの対応。
「こら、セリル。まずはちゃんと自己紹介しないか」
「あ、す、すいません!。私、王国騎士団副団長を務めてます、セリル・フローラムと申します!刻印は蒼藍の刻印です!」
「クルシュ・ヴォルフォード、星宝の刻印です」
「アリス・ベルフレート、刻印は金色の刻印です」
「アリスさんもよろしくお願いしますね!!」
「は、はい...........」
「じゃあ私はこれで!新兵の指導がありますので!」
と、セリルは踵を返し去って行った。だが少し俺は引っかかることがあった。
「レオ、俺は明らかに同年代だと思うんだが」
「私もそれ思ったわ」
「あれでも我が騎士団では最年少の18歳だぞ?そう言ってやるな」
まぁ人は見かけによらないとも言うからな。まさにその通りだろということか。というより、レオの役職がだな。
「にしてもレオ、お前団長だったのか」
「レオさんすごいわね!なんで隠してたのよー!」
「別に誇ることでもないだろう。さ、見て回ろう」
その後様々なところを見学した。宮廷魔道士の練習風景、騎士達の模擬戦、まぁ様々だ。そして少し休憩がてら王城内のベンチに座っているときだった。
「お、団長じゃないっすか!」
「ドルフか、どうした?」
「そっちのが弟と、確か領主の娘でしたっけ?」
「そうだが。何か?」
「いえ、日々鍛錬を積む騎士がそんな子供を連れ添って大丈夫なのか気になりましてね」
「.........何が言いたい?」
「別に弟が可愛いのはいいっすけど能無しともあれば我が騎士団の株も下がるってもんですよ」
へぇ、なかなか言うじゃないかこの筋肉ダルマ。この時代の奴らはどれも空気が読めず言いたいことを言い、蔑んだ目を送る。自分よりも実力が格段に下だと思うやつや星宝の刻印には特に。全く、愚かなことだ。
「ほう?よく言ってくれるじゃないか、私程度にも勝てない格下が」
「ならもう一度ここでやりますか?」
「その挑戦はまた受けよう。しかしここで戦うのはお前と私の弟だ」
「ちょ、レオさん!」
「.........何を言うかと思えば、正気ですか?」
「正気だ。悪いが私程度に勝てないお前にクルシュは倒せないぞ?」
「上等ですよ、やってやろうじゃないですか」
これはもう俺が何を言っても無駄な感じがするな。.........この時代の人間どもは他者の意見の尊重をしてくれないのが少し残念だ。
こうして俺とドルフという筋肉ダルマの決闘が取り付けられた。
と言っても俺は今、借りている宿のテーブルでコーヒーを飲んでいる。ちなみに俺一人で、アリスとレオが合否を見に行っている。もちろん俺は受からなかったなどというクズになる気は無い、しかし心配もしていない。
「ただいま、帰ったぞクルシュ」
「あらあら〜おかえりなさい〜レオさん」
「あぁ。さてクルシュ、お前の結果だが..........」
「クルシュ君、私受かってたわよ!」
と、アリスが自分が受かっている事が示してある紙切れを見せつけてくる。紙切れには合格と何位で受かったか、が記述されていた。
ふむ、5位か。アリスにしてはやった方だな。
「..........で、俺は受かってるんだろ?アリスが受かって俺が落ちるはずがないからな」
「ちょ、それは酷いわよ!」
「.........まぁ、クルシュの言う通りだ。おめでとう、クルシュ、合格だ」
俺に手渡された紙切れに、俺の名前と合格と順位を示す文字が刻まれていた。
.........首席か、まぁ当然といえば当然だな。
「クルシュ君、首席じゃない!」
「らしいな、まぁ当然か」
「さすが私の弟だな。首席おめでとう、クルシュ」
「まぁ〜クルシュ君首席なの〜?これはお祝いねぇ〜」
「すまないな、宿を借りている上に私情を挟むなど........」
「気にしないで〜。恩は返すタチなのよ〜」
おい待て、なんであんたまで入ってくるんだ。..........まぁ別に悪い気はしないからいいが。
その日は何故かほかの宿泊客も混じり、俺達の小さな祝賀会が行われた。途中からレオが酔いつぶれ暴走しかけたのは記憶に新しい。
そして翌日、入学式までは1週間あるのだが、今日はレオに強引に王城内にある騎士団の見学に連れていかれた。
筋骨隆々な男達がそれぞれ訓練を積んでいる。剣を振るものもいれば、頭が痛い詠唱を唱えながら魔法を鍛錬する者もいる。ちなみに後者は見ているだけでその場にはいたくないと思わせるような長ったらしい詠唱だった。
「ここが騎士団なのね...........」
「むさくるしくてすまないな、体の鍛錬はいつも怠ってはいけないから仕方ないんだ」
「別に気にしてないけど、レオさんはやらなくていいの?」
「私はまぁ..........」
「騎士団長!」
レオが話そうとした瞬間、前方から声が掛かる。すると、前方から俺と同じくらいの身長の鎧を着た女が駆け寄ってきた。ブロンドのミディアムヘアを揺らしながら、そのアメジストに似た瞳はレオを見ている。
「セリルか、どうかしたか?」
「いえ、そちらに連れている方は..........」
「私の弟と領主の娘君だ」
「と、言うことは.............」
見上げる顔がこちらに向く。俺の顔をその目が捉えた瞬間、瞳が星のように輝いた。
「貴方が団長の弟さんのクルシュさんですか!!」
「あ、ああ..........」
「話はいつも団長から聞いてます!。その歳ですでに熊型の魔獣を1人で倒せるとか!星宝の刻印であるのに様々な魔法を使えるとか!!」
俺の手を両手で握りぶんふんと上下に振りながら顔を近づけてくる。
な、なんなんだこいつ.........。初対面にして何だこの対応。
「こら、セリル。まずはちゃんと自己紹介しないか」
「あ、す、すいません!。私、王国騎士団副団長を務めてます、セリル・フローラムと申します!刻印は蒼藍の刻印です!」
「クルシュ・ヴォルフォード、星宝の刻印です」
「アリス・ベルフレート、刻印は金色の刻印です」
「アリスさんもよろしくお願いしますね!!」
「は、はい...........」
「じゃあ私はこれで!新兵の指導がありますので!」
と、セリルは踵を返し去って行った。だが少し俺は引っかかることがあった。
「レオ、俺は明らかに同年代だと思うんだが」
「私もそれ思ったわ」
「あれでも我が騎士団では最年少の18歳だぞ?そう言ってやるな」
まぁ人は見かけによらないとも言うからな。まさにその通りだろということか。というより、レオの役職がだな。
「にしてもレオ、お前団長だったのか」
「レオさんすごいわね!なんで隠してたのよー!」
「別に誇ることでもないだろう。さ、見て回ろう」
その後様々なところを見学した。宮廷魔道士の練習風景、騎士達の模擬戦、まぁ様々だ。そして少し休憩がてら王城内のベンチに座っているときだった。
「お、団長じゃないっすか!」
「ドルフか、どうした?」
「そっちのが弟と、確か領主の娘でしたっけ?」
「そうだが。何か?」
「いえ、日々鍛錬を積む騎士がそんな子供を連れ添って大丈夫なのか気になりましてね」
「.........何が言いたい?」
「別に弟が可愛いのはいいっすけど能無しともあれば我が騎士団の株も下がるってもんですよ」
へぇ、なかなか言うじゃないかこの筋肉ダルマ。この時代の奴らはどれも空気が読めず言いたいことを言い、蔑んだ目を送る。自分よりも実力が格段に下だと思うやつや星宝の刻印には特に。全く、愚かなことだ。
「ほう?よく言ってくれるじゃないか、私程度にも勝てない格下が」
「ならもう一度ここでやりますか?」
「その挑戦はまた受けよう。しかしここで戦うのはお前と私の弟だ」
「ちょ、レオさん!」
「.........何を言うかと思えば、正気ですか?」
「正気だ。悪いが私程度に勝てないお前にクルシュは倒せないぞ?」
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