能無し刻印使いの最強魔術〜とある魔術師は来世の世界を哀れみ生きる〜
EP.14 魔術師は王都へ行く
それから2年の歳月がたった。何も変わらない、といえば嘘になる。俺は、身長が20センチも増え、現在160センチ後半に差し掛かっている。前世でも俺の成長速度はこんなものだった。
確か17歳で180センチになっていたのは覚えている。そしてアリスも同じようなものだ。まぁ相変わらず俺より少し小さいくらいに納まっている。レオはと言うと特にかわりなど無く、22歳になっても男気がないのを領主にバカにされたことがあったか。泣きながら切りつけようとするレオを俺が抑えたのは今でも新しい。
そんな今日、思いもよらぬ提案が来た。
「学園?」
「そう、学園よ」
俺は今朝のモーニングタイムで珈琲をすすっている。そんな時、いつもの様にアリスが家に入ってきて、この話をし始めた。別に悪くは無いが、あの詠唱をいつも聞くとなると頭が痛くなる.........。
「別に強制ではないんだろ?」
「ん?いいじゃ無いか。行ってくると良い、クルシュ」
「レオ、お前まで何を言って.........」
「なら君はこのまま一生私のヒモで生きていくつもりか?、私でも学園は出ていたぞ?」
言い回しがクズのそれにしか聞こえないだろう。若き頃から天才と呼ばれた俺が今更また学園で学び直せと?冗談だろう?
「なら旅でもする。冒険者はどうも気が乗らないからな」
「ダメだ、君は学園で刺激を味わってくるべきだ。幸い君は勉学も魔法の才も星宝の刻印なのに存在する。君ならアリスが受験する学園の試験でも余裕で通るだろう」
「ちょっと、仮にも一流なのにそれは酷いわよレオさん!」
「あはは、すまないすまない。でもクルシュならば本当に余裕だろう」
待て、なんの話をしている?既にアリスは学園に通うことが決まっているのか?それに今一流の学園と言ったよな?
「待ってくれ、その学園はどこだ?」
「国立ゼルノワール学園よ?」
嗚呼............なるほど、貴族や王族、優秀な人材達が通うエリート学園か。まぁ確かに悪い話ではない。特にこの世界の魔法の低レベルさをあらためて実感するという点、星宝の刻印が一番優れていると知らしめる点ではな。だが正直それ以外に長所が見つからない。そもそも学園に拘束されてまた1から勉学などそんなもの俺は耐えられない。
「そうか、悪いが俺は............」
「決まりだな。クルシュ、行ってこい」
「は?ちょ、おまえら待て..........」
「そう言うと思って既にパパから学園の方に推薦状書いてもらってたの!」
この女、既に手を回していたのか!............クソ、俺が心理戦でこいつに負けるなんて..........屈辱的だ!
「..........いいだろう、お前達がそこまで言うなら俺も腹を括ろうじゃないか」
「やった!クルシュ君!じゃあ...........」
「ただし、試験前日までの残り2週間、覚悟しろよ?」
「へ..........?、それはどう言う............」
「安心しろ、今までと同じだ。魔法で合格点を超えても勉学ながなければ意味が無いだろう?............だから、俺が徹底的にしてやると言ったんだよ」
「な、そ、それは大丈夫だから...........」
「ふむ、心配か、そうかそうか。じゃあ早速2階の書斎で1から勉強するぞ」
「いやぁぁぁぁぁ!!、レオさぁぁぁぉぁぁん!!!」
「ああなったクルシュはもう何も聞こえないからなー!頑張ってくれー」
このあとめちゃくちゃ勉強した。
◇
そして時が過ぎるのは早い。俺がその日が試験前日だと気づいたのは、朝だった。
「なんだ、もうこんな時間経ってたのか」
「ほ、ほえぇ..........も、もうむりぃ.........」
魂が抜けた表情で2階から降りてきたアリスを無視して俺はいつも通りコーヒーを片手に朝の朝刊を読む。ほう、今年は王国の姫と王子が、ねぇ。
「おはよう、2人とも。昨夜は頑張ったみたいだな」
「そんなのじゃないわよ!もうこの所ずっとよ!?クルシュ君鬼よ!鬼!」
「何言ってるんだ。俺の隣を歩けるようふさわしくしてやっただけだ」
「自分どれだけ過大評価してるの!?」
叫ぶアリスにホットミルクが渡された。それを飲みながらほっこりした表情を浮かべるアリスを見て、俺は思う、こいつは犬みたいだな、と。
いや、もう犬の生まれ変わりではないだろうか。頭に犬耳をつけて、尻尾もつけて.........うん、完全に犬だな。
「クルシュ君?」
「..........お手」
差し出した手にアリスが手を置いた。うん、これは本当に犬だな。
「何してるの?」
「お前、本当に犬だな」
「〜〜〜!ク、クルシュ君のばかぁぁぁぁぁぁ!!」
ここで張り手を受けるのがお決まりなのだろうが俺にそんなものは通用しない。ひらりと避けてまた朝刊に視線を戻す。
「朝からテンションが高いな、2人とも。馬車の手配はしてある、私が王都まで送ろう」
「すまないな、頼む」
朝からこんなやり取りをして、支度をし、荷物をまとめて馬車に乗り込む。そこから数時間、俺は、窓の外を見て暇を潰し、アリスは疲れからか寝ていた。ヨダレが垂れていたがさすがにこれは紳士である俺だ、言うまい。検問はレオの顔パスで問題なく、俺達は王都についた。
確か17歳で180センチになっていたのは覚えている。そしてアリスも同じようなものだ。まぁ相変わらず俺より少し小さいくらいに納まっている。レオはと言うと特にかわりなど無く、22歳になっても男気がないのを領主にバカにされたことがあったか。泣きながら切りつけようとするレオを俺が抑えたのは今でも新しい。
そんな今日、思いもよらぬ提案が来た。
「学園?」
「そう、学園よ」
俺は今朝のモーニングタイムで珈琲をすすっている。そんな時、いつもの様にアリスが家に入ってきて、この話をし始めた。別に悪くは無いが、あの詠唱をいつも聞くとなると頭が痛くなる.........。
「別に強制ではないんだろ?」
「ん?いいじゃ無いか。行ってくると良い、クルシュ」
「レオ、お前まで何を言って.........」
「なら君はこのまま一生私のヒモで生きていくつもりか?、私でも学園は出ていたぞ?」
言い回しがクズのそれにしか聞こえないだろう。若き頃から天才と呼ばれた俺が今更また学園で学び直せと?冗談だろう?
「なら旅でもする。冒険者はどうも気が乗らないからな」
「ダメだ、君は学園で刺激を味わってくるべきだ。幸い君は勉学も魔法の才も星宝の刻印なのに存在する。君ならアリスが受験する学園の試験でも余裕で通るだろう」
「ちょっと、仮にも一流なのにそれは酷いわよレオさん!」
「あはは、すまないすまない。でもクルシュならば本当に余裕だろう」
待て、なんの話をしている?既にアリスは学園に通うことが決まっているのか?それに今一流の学園と言ったよな?
「待ってくれ、その学園はどこだ?」
「国立ゼルノワール学園よ?」
嗚呼............なるほど、貴族や王族、優秀な人材達が通うエリート学園か。まぁ確かに悪い話ではない。特にこの世界の魔法の低レベルさをあらためて実感するという点、星宝の刻印が一番優れていると知らしめる点ではな。だが正直それ以外に長所が見つからない。そもそも学園に拘束されてまた1から勉学などそんなもの俺は耐えられない。
「そうか、悪いが俺は............」
「決まりだな。クルシュ、行ってこい」
「は?ちょ、おまえら待て..........」
「そう言うと思って既にパパから学園の方に推薦状書いてもらってたの!」
この女、既に手を回していたのか!............クソ、俺が心理戦でこいつに負けるなんて..........屈辱的だ!
「..........いいだろう、お前達がそこまで言うなら俺も腹を括ろうじゃないか」
「やった!クルシュ君!じゃあ...........」
「ただし、試験前日までの残り2週間、覚悟しろよ?」
「へ..........?、それはどう言う............」
「安心しろ、今までと同じだ。魔法で合格点を超えても勉学ながなければ意味が無いだろう?............だから、俺が徹底的にしてやると言ったんだよ」
「な、そ、それは大丈夫だから...........」
「ふむ、心配か、そうかそうか。じゃあ早速2階の書斎で1から勉強するぞ」
「いやぁぁぁぁぁ!!、レオさぁぁぁぉぁぁん!!!」
「ああなったクルシュはもう何も聞こえないからなー!頑張ってくれー」
このあとめちゃくちゃ勉強した。
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そして時が過ぎるのは早い。俺がその日が試験前日だと気づいたのは、朝だった。
「なんだ、もうこんな時間経ってたのか」
「ほ、ほえぇ..........も、もうむりぃ.........」
魂が抜けた表情で2階から降りてきたアリスを無視して俺はいつも通りコーヒーを片手に朝の朝刊を読む。ほう、今年は王国の姫と王子が、ねぇ。
「おはよう、2人とも。昨夜は頑張ったみたいだな」
「そんなのじゃないわよ!もうこの所ずっとよ!?クルシュ君鬼よ!鬼!」
「何言ってるんだ。俺の隣を歩けるようふさわしくしてやっただけだ」
「自分どれだけ過大評価してるの!?」
叫ぶアリスにホットミルクが渡された。それを飲みながらほっこりした表情を浮かべるアリスを見て、俺は思う、こいつは犬みたいだな、と。
いや、もう犬の生まれ変わりではないだろうか。頭に犬耳をつけて、尻尾もつけて.........うん、完全に犬だな。
「クルシュ君?」
「..........お手」
差し出した手にアリスが手を置いた。うん、これは本当に犬だな。
「何してるの?」
「お前、本当に犬だな」
「〜〜〜!ク、クルシュ君のばかぁぁぁぁぁぁ!!」
ここで張り手を受けるのがお決まりなのだろうが俺にそんなものは通用しない。ひらりと避けてまた朝刊に視線を戻す。
「朝からテンションが高いな、2人とも。馬車の手配はしてある、私が王都まで送ろう」
「すまないな、頼む」
朝からこんなやり取りをして、支度をし、荷物をまとめて馬車に乗り込む。そこから数時間、俺は、窓の外を見て暇を潰し、アリスは疲れからか寝ていた。ヨダレが垂れていたがさすがにこれは紳士である俺だ、言うまい。検問はレオの顔パスで問題なく、俺達は王都についた。
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