能無し刻印使いの最強魔術〜とある魔術師は来世の世界を哀れみ生きる〜

大島 こうのすけ

EP.7 魔術師は豚を締める

気がつけばそこにいた。知らぬ間に服が無くなり裸体を晒し、首輪と腕枷で拘束されていた。その少女の名はアリス・ベルフレート、領主の娘だ。


「やぁっ!..........あっ!...........や、めっ!.............誰かぁ!」


眼前では見知った顔が誰かによって犯されていた。それは領地の住民だ。彼女の秘部に異物が挿入され、出入している。なんともうひとつの異物が口を出入している。


「へへっ、こいつぁさっきの女よりも上物だぜ..........」
「まだまだ楽しめそうだよなぁ!」


彼女の眼前でそんな会話をするのは、オークという魔獣。先程からその小太りした顔に下劣な笑みを浮かべながら性交に及んでいる。

彼女は領主である父から耳にたこができるほどしつこく言われていたことがあった。

――決してカルマの森には入るな。
――もし入ってしまってもオークを見たら即座に逃げろ。

この2つは言語が理解できる頃から永遠と言われ続けた言葉だ。彼女自体もオークがどれだけ女体に悪影響を及ぼすかは本で読みある程度の知識を得ている。

だが想像以上だった。実際に惨劇を目の当たりにして、彼女の目には何が映るだろうか。羞恥?、恍惚?、憧れ?、全く違う。彼女の目には絶望と恐怖、その言葉を体現した惨状以外映っていない。


「まぁでも..............」
「ホンモノは..........」
「「なぁ?」」


その2匹の顔がこちらを見た。その下劣な笑みが、年相応にも合わない発育のいい自身の体に突き刺さる。身体がピクリと震えた、足が動かない、全身に力が入らない。


「さぁて、じゃあ次はそこのだな」
「おうよ、さぁこっちだぜ嬢ちゃん........」
「いやぁ!やだぁぁぁ!!」


直後、先程まで楽しんでいた女性が地面に放り投げられ、新たに彼女の隣にいた自分よりも歳が少し低い少女が連れていかれる。よくわからない体勢となり、直後異物が挿入された。


「いやぁ!、やぁぁ!」
「おいおい、キツキツだなぁ!」


彼女の絶望はより一層増した。誰かに懇願したくて、夢なら早く冷めて欲しくて。


(誰か.............誰でもいいから...............助けてよ!)


果たして少女の懇願が届いたのか、それとも天の気まぐれか、彼女の体を覆うようにして防御魔法らしきものが展開された。



「おいテメェら!何楽しんでやがる!上見てみろや!」
「あぁん!?今そんなことして何が............」
「おいどうした?腰が止まってんじゃ.............」


直後何かが地面に着弾した。そして立て続けに雨のように地面へと降り注いだよくわからない攻撃の爆風で吹き飛ばされ、少女の思考はパニックになる。

一体何が起きたのか、天変地異でも起きたのか、それとも大災害でも起きたのか、その後もひたすらに地面を抉るように放たれた謎の攻撃が収まる頃には、集落は跡形も無く消え去っていた。


「え?.............な、に?...........何が起きたの?」


あれだけの爆風を受けても全く無傷でいたことはもちろんだが、状況が上手く掴めていない。


「やれやれ、やはり1000発はやりすぎたか。次があるなら200発にしておこう」


少女には、その少年がどのように見えただろう。天からゆっくりと降下してくるその少年の姿は。



少しやり過ぎたな。そう言えば俺が『火炎球ファイアボール』を使えば山一つは軽く吹き飛ばす威力なのを忘れていた。全盛期でないだけマシだとは思うが。


「あなた...........誰?」
「名前聞くより服着たらどうだ?ほら」


俺の上着を羽織った見知らぬ女を差し置いてあたりを確認する。先程までの集落はどこにも存在していないが、数々のクレーターと意識がない裸体の女性達がそこには残った。


「助けて、くれたの?」
「まぁな。あと、村に続く道はここをまっすぐ行けばいい」
「え、あ..........うん」
「じゃあな。もう少しで他の奴らも意識が戻る」


俺はそのままゆっくりと家に帰るようにした。...........にしてもあの女、どこかで見た気がするんだよな。まぁ、今となってはどうでもいいか。


「なんなの........?あの人は」


残った少女の疑問はさることながら、そんなことを考える暇もなく起き上がってくる他の人々の対応に追われるのであった。


「おかえり、随分と早くなかったか?」
「そうか?まぁレオの顔が恋しかったんだろう」
「フフ、口だけはほんとに達者なやつだ」


俺はそのままレオの抱擁を受けいれる。強調された胸が当たって柔らかい感触に襲われる。

何事にも対価は必要だ、もちろん今回みたいに。

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