甘え上手な彼女2
第35話
*
高志はファミレスから家に帰って来ていた。
夕方からは夏祭りがあるので、日中はあまり動かないでおこうと、部屋でチャコと遊んでいた。
「にゃー」
「お前もデカくなったなぁ……」
膝の上にチャコを乗せ、頭を撫でながら呟く高志。
夏休みももうすぐ終わってしまうなと考えながら、高志は今年の夏休みを思い出していた。
「なんだか今年はあっという間だったな……」
「んにゃー」
毎年グダグダして終わる夏休みだったが、今年は毎日のように紗弥と一緒だったおかげで充実した夏休みがおくれたと思っていた。
しかし……。
「ん? 電話か……」
チャコと遊んでいると、急にスマホが鳴りだした。
高志はスマホを手に取ると、スマホを画面を見る。
そこには、高志にとってあまり出たくない人物の名前があった。
しかし、出ないのも悪いと思い高志は電話に出る。
「も、もしもし……」
『あ、もしもし? 高志君?』
「な、何か用かな……村上さん……」
電話の相手は村上夢だった。
夏休みに入って直ぐに知り合ったのだが、紗弥が不安になるので、自分からはあまり連絡を取らないでいた。
『今日って暇かな?』
「ご、ごめん今日は用事があって……」
『そっか……お祭り誘うつもりだったんだけど、それなら仕方ないね』
「ご、ごめんね」
『大丈夫だよ、また次の機会に遊ぼ』
そう言って夢からの電話は切れた。
意外とあっさり諦めたなと思いながら、高志はスマホを机の上に置く。
ハッキリと彼女が居ると言ったはずなのに、事あるごとにアピールしてくる彼女に高志は悩んでいた。
「はぁ……なんでこんな……」
自分なんかのどこが良いのだろうと思いながら、高志は再びチャコで遊び始める。
時間を確認し紗弥と祭りに行く時間まで、まだ時間があると思った高志は、チャコを置きベッドに横になる。
「少し寝るか……」
高志は夜に備えて仮眠を取ろうと、目を瞑って眠り始める。
横になってすぐに眠りにつくことが出来た高志。
結構深い眠りについた高志。
そんな高志を見て、かまってもらえないと察したチャコは、ドアの隙間から一回に下りて行く。
「あらチャコちゃん、お散歩?」
「ニャー」
高志の母親に返事をし、チャコはそのまま一回に下りて行く。
リビングにやってきたチャコは、ソファーに座る高志の父親である勲の膝の上に座る。
「ん? なんだチャコちゃんか、どうした? 高志にかまってもらえなくなったのかい?」
「んにゃ~」
チャコは勲に甘えながら、膝の上で丸くなって眠る。
「あら? チャコちゃんこっちに来たの?」
「あぁ、高志からかまってもらえなくなったらしい」
「そうなの……ところで貴方……この名刺は何かしら?」
「え?! い、いや……そ、それは……」
満面の笑みで洗濯物のジャケットから、ピンク色の名刺を取り出す高志の母親の美華子。 それは勲がこの前行ったキャバクラのキャバ嬢からの名刺だった。
その日は気分が良く、相当酔っていたので隠しておくのを忘れていた。
身の危険を感じたチャコは目を開け、勲の膝から下りる。
「まってくれ美華子! ご、誤解なんだ!」
「へぇ……じゃあこの口紅は何?」
「そ、それは……」
「良いからこっちに来なさい、怒らないから……」
「じゃあ、その右手のフライパンはなんなんだい!? 宮岡さんに影響されたの?!」
「うるさいわよ、早く来なさい」
「ご、ごめんなさぁぁぁぁい!!」
チャコは鼻をフンと鳴らすと、外に出て裏の宮岡宅へ向かう。
「あら? チャコちゃんじゃない、どうしたの?」
「にゃー」
宮岡宅に向かうと、紗弥の母親である由梨がチャコを見つけ抱っこし始めた。
チャコは大人しく由梨の腕の中に収まる。
「どうしたの? ご飯?」
「んにゃー」
「はいはい、何か食べるものあげるからねぇ……」
そう言って由梨は立ち上がり、家の中に入る。
「紗弥! なんであんな奴とお祭りに!! なんでパパと一緒に行かないんだ!」
「もう! しつこいなぁ!! それと着替えを覗かないで!」
リビングでは紗弥と父親の光一が揉めていた。
話しの内容から、今回も光一の親馬鹿が原因だとわかった由梨はチャコを下ろす。
「チャコちゃん、ちょっとごめんね~」
由梨はそう言うと、キッチンからフライパンを持ち出し、光一の方に向かう。
「あなた、今回は何をしたのかしら?」
「その前に、なぜすでに武器を持っているんだ……」
「どうせ今回もあなたが悪いんでしょ?」
「どうせとはなんだ! そんなことは無いぞ!!」
「じゃあ何があったんですか?」
「紗弥がパパよりも裏の家の彼氏と祭りに行くって言うんだ!! 酷いだろ!?」
「いえ、高校生なら普通のことですよ」
「待ってくれ! あんな奴よりもパパの方が財力も社会的地位も上なんだぞ!! 絶対パパと行った方が楽しいのに!!」
「分かりました、なら久しぶりに私とデートしましょうか」
頬に手を当てながら由梨は光一にそう言う。
しかし、光一は……。
「いい年して何を言ってるんだ?」
「あらあら……」
光一の答えに対し、由梨はフライパンを振り上げ、光一に迫る。
「ゆ、由梨! まってくれ!! なんでそこで怒る!!」
「怒ってませんよ~……これは制裁です」
「ま、待て! 由梨!! あ、あぁぁぁぁ!!」
チャコは再び身の危険を感じ、リビングを出て紗弥の部屋に向かった。
どこの家も同じだな、なんてことを考えながら、チャコは紗弥の部屋の前にたどりつき、ドアの前で鳴き声を上げる。
「んニャー」
鳴き声を上げて直ぐに、紗弥がドアを開ける。
その瞬間、直ぐさまチャコは紗弥の部屋に入り、紗弥に体を擦り付ける。
「あらチャコちゃん、どうしたの? 高志にかまってもらえなくて、こっち来たの?」
「にゃ!」
紗弥はチャコを抱っこしベッドに座って、チャコと遊び始める。
「ウフフ、相変わらず可愛いわねぇ~よしよし」
「ゴロゴロ……」
紗弥に撫でられ、嬉しそうに喉を鳴らすチャコ。
やっぱり紗弥が一番だと思いながら、チャコは紗弥の膝の上で目を閉じる。
高志はファミレスから家に帰って来ていた。
夕方からは夏祭りがあるので、日中はあまり動かないでおこうと、部屋でチャコと遊んでいた。
「にゃー」
「お前もデカくなったなぁ……」
膝の上にチャコを乗せ、頭を撫でながら呟く高志。
夏休みももうすぐ終わってしまうなと考えながら、高志は今年の夏休みを思い出していた。
「なんだか今年はあっという間だったな……」
「んにゃー」
毎年グダグダして終わる夏休みだったが、今年は毎日のように紗弥と一緒だったおかげで充実した夏休みがおくれたと思っていた。
しかし……。
「ん? 電話か……」
チャコと遊んでいると、急にスマホが鳴りだした。
高志はスマホを手に取ると、スマホを画面を見る。
そこには、高志にとってあまり出たくない人物の名前があった。
しかし、出ないのも悪いと思い高志は電話に出る。
「も、もしもし……」
『あ、もしもし? 高志君?』
「な、何か用かな……村上さん……」
電話の相手は村上夢だった。
夏休みに入って直ぐに知り合ったのだが、紗弥が不安になるので、自分からはあまり連絡を取らないでいた。
『今日って暇かな?』
「ご、ごめん今日は用事があって……」
『そっか……お祭り誘うつもりだったんだけど、それなら仕方ないね』
「ご、ごめんね」
『大丈夫だよ、また次の機会に遊ぼ』
そう言って夢からの電話は切れた。
意外とあっさり諦めたなと思いながら、高志はスマホを机の上に置く。
ハッキリと彼女が居ると言ったはずなのに、事あるごとにアピールしてくる彼女に高志は悩んでいた。
「はぁ……なんでこんな……」
自分なんかのどこが良いのだろうと思いながら、高志は再びチャコで遊び始める。
時間を確認し紗弥と祭りに行く時間まで、まだ時間があると思った高志は、チャコを置きベッドに横になる。
「少し寝るか……」
高志は夜に備えて仮眠を取ろうと、目を瞑って眠り始める。
横になってすぐに眠りにつくことが出来た高志。
結構深い眠りについた高志。
そんな高志を見て、かまってもらえないと察したチャコは、ドアの隙間から一回に下りて行く。
「あらチャコちゃん、お散歩?」
「ニャー」
高志の母親に返事をし、チャコはそのまま一回に下りて行く。
リビングにやってきたチャコは、ソファーに座る高志の父親である勲の膝の上に座る。
「ん? なんだチャコちゃんか、どうした? 高志にかまってもらえなくなったのかい?」
「んにゃ~」
チャコは勲に甘えながら、膝の上で丸くなって眠る。
「あら? チャコちゃんこっちに来たの?」
「あぁ、高志からかまってもらえなくなったらしい」
「そうなの……ところで貴方……この名刺は何かしら?」
「え?! い、いや……そ、それは……」
満面の笑みで洗濯物のジャケットから、ピンク色の名刺を取り出す高志の母親の美華子。 それは勲がこの前行ったキャバクラのキャバ嬢からの名刺だった。
その日は気分が良く、相当酔っていたので隠しておくのを忘れていた。
身の危険を感じたチャコは目を開け、勲の膝から下りる。
「まってくれ美華子! ご、誤解なんだ!」
「へぇ……じゃあこの口紅は何?」
「そ、それは……」
「良いからこっちに来なさい、怒らないから……」
「じゃあ、その右手のフライパンはなんなんだい!? 宮岡さんに影響されたの?!」
「うるさいわよ、早く来なさい」
「ご、ごめんなさぁぁぁぁい!!」
チャコは鼻をフンと鳴らすと、外に出て裏の宮岡宅へ向かう。
「あら? チャコちゃんじゃない、どうしたの?」
「にゃー」
宮岡宅に向かうと、紗弥の母親である由梨がチャコを見つけ抱っこし始めた。
チャコは大人しく由梨の腕の中に収まる。
「どうしたの? ご飯?」
「んにゃー」
「はいはい、何か食べるものあげるからねぇ……」
そう言って由梨は立ち上がり、家の中に入る。
「紗弥! なんであんな奴とお祭りに!! なんでパパと一緒に行かないんだ!」
「もう! しつこいなぁ!! それと着替えを覗かないで!」
リビングでは紗弥と父親の光一が揉めていた。
話しの内容から、今回も光一の親馬鹿が原因だとわかった由梨はチャコを下ろす。
「チャコちゃん、ちょっとごめんね~」
由梨はそう言うと、キッチンからフライパンを持ち出し、光一の方に向かう。
「あなた、今回は何をしたのかしら?」
「その前に、なぜすでに武器を持っているんだ……」
「どうせ今回もあなたが悪いんでしょ?」
「どうせとはなんだ! そんなことは無いぞ!!」
「じゃあ何があったんですか?」
「紗弥がパパよりも裏の家の彼氏と祭りに行くって言うんだ!! 酷いだろ!?」
「いえ、高校生なら普通のことですよ」
「待ってくれ! あんな奴よりもパパの方が財力も社会的地位も上なんだぞ!! 絶対パパと行った方が楽しいのに!!」
「分かりました、なら久しぶりに私とデートしましょうか」
頬に手を当てながら由梨は光一にそう言う。
しかし、光一は……。
「いい年して何を言ってるんだ?」
「あらあら……」
光一の答えに対し、由梨はフライパンを振り上げ、光一に迫る。
「ゆ、由梨! まってくれ!! なんでそこで怒る!!」
「怒ってませんよ~……これは制裁です」
「ま、待て! 由梨!! あ、あぁぁぁぁ!!」
チャコは再び身の危険を感じ、リビングを出て紗弥の部屋に向かった。
どこの家も同じだな、なんてことを考えながら、チャコは紗弥の部屋の前にたどりつき、ドアの前で鳴き声を上げる。
「んニャー」
鳴き声を上げて直ぐに、紗弥がドアを開ける。
その瞬間、直ぐさまチャコは紗弥の部屋に入り、紗弥に体を擦り付ける。
「あらチャコちゃん、どうしたの? 高志にかまってもらえなくて、こっち来たの?」
「にゃ!」
紗弥はチャコを抱っこしベッドに座って、チャコと遊び始める。
「ウフフ、相変わらず可愛いわねぇ~よしよし」
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