甘え上手な彼女2
第22話
*
夕方の18時過ぎ、学校の校門前には高志のクラスの生徒全員が集まっていた。
あまりの出席率の良さに、高志は驚きながらもみんなノリが良いなと思いながら、久しぶりに会ったクラスメイトと話しをしていた。
「久しぶりだな、夏休み何してた?」
「俺はずっとゲーム」
「俺はずっと部活」
「俺はずっとバイト」
「まぁ、現実なんてそんなもんだよな……」
クラスメイトの夏休みの過ごし方を聞き、高志は苦笑いをする。
「そういうお前はどんな夏休みを過ごしてんだよ」
「え、俺は……」
高志は夏休み中の自分の一日の過ごし方を考える。
午前中は紗弥と宿題をし、午後は基本紗弥と遊ぶ。
高志自身も充実した夏休みの過ごし方だと感じていたが、他と比べると本当に充実している事がわかり、言うに言えない。
「ま、まぁお前らと同じようなもんだよ……」
「そうなのか? 俺はてっきり宮岡と毎日イチャイチャしてるのかと思ったが……」
「ま、まぁ……お互いにプライベートもあるしな……」
嘘は言っていない、毎日イチャイチャはしていないと高志は自分に言い聞かせ、クラスメイトの話しを聞く。
「毎日会ってるなんて聞いたら、俺は高志をそこのプールに沈めてたかもしれない」
「俺は撲殺して、校庭に埋めていたかもしれん」
「お前ら……怖いよ……」
高志がクラスメイトからの殺気を感じていると、優一がマイクを持ってみんなに話し始める。
「全員集まったなー、じゃあ二年三組の諸君、こんばんわ」
「「「こんばんわー」」」
「いきなりの招集にも関わらず、全員出席というノリの良さに感謝するぞ、独り身の諸君」
「「「余計なお世話だボケ!!」」」
「まぁ、余計な話しは放っておいて、肝試しのルールを始めるぞ~」
優一はマイクを握り、肝試しのルールを説明し始める。
ルールは学校の校門から入って、屋上のゴールまで決められたルートをたどって男女一組で行って帰ってくるというものだ。
最初に脅かし役と脅かされる側に別れ準備をし、準備が出来たらスタートする。
最初の脅かされる側が全員帰って来たら、役を交代しまたスタートという流れだ。
「屋上には屋上に行った証明のための黄色い紙が置いてあるから、それをちゃんと取ってくるんだぞ~、じゃあ最初の脅かし役をクジで決めるぞ」
優一はクラスの全員にクジを引かせ、最初の脅かし役を決める。
「あ、高志と宮岡はちょっと待て」
「え? なんでだよ」
高志と紗弥がクジを引こうとしたところを優一が止める。
「お前らカップルのために、俺が気をつかってやってんだ、おまえらは最初は脅かし役をやれ」
「ゆ、優一……」
「まったく、お前らバカップルには手を妬くぜ」
「ありがとう! 親友!」
「あぁ、気にするな………フフ」
「ん? なんか笑ったか?」
「いや、なんでもないさ。よし! 最初の脅かし役は集まれ!!」
「?」
優一のかけ声によって、クラスは綺麗に二つに別れた。
*
「で……俺と紗弥はここで話しをしてれば良いのか?」
「そんなのでみんな驚くかしら?」
校舎内に入った脅かし組は、各ポイントに散らばり脅かしかたの打ち合わせをしていた。
ここでも高志と紗弥はセットで脅かし役をする事になり、優一から脅かす内容を聞いていた。
「暗くてしずかな教室から、急に話し声が聞こえてきたら怖いだろ?」
「まぁ、そうだが……」
「だろ? じゃあよろしくな」
「あ、おい!」
優一は簡単に説明をすると、直ぐに行ってしまった。
高志と紗弥は、二人きりになった暗い教室の中で、向き合って座っていた。
「はぁ……本当にこんなんでいいのかな?」
「でも、こう言う雰囲気だと、風の音でも怖くなっちゃうからね、結構効果あるかもよ」
「それもそうだな、じゃあ気長に誰かが来るのを待つか」
「そうだね」
高志と紗弥は椅子に座り、話しをしながら人が来るのを待った。
「二人っきりで教室にいると、あの日を思い出すね」
「あの日?」
「私が高志に告白した日」
「あぁ、そうだな……あの時は本当にビックリしたよ」
「私もあの日はかなり積極的だったと思うよ。必死だったし」
「いきなり抱きつかれた時はビックリしたよ」
「だって……高志がうんって言わないから」
二人は昔話に華を咲かせながら、人が通るのを待つ。
しかし、一向に人が来る気配が無い。
「来ないな」
「そうだね……ねぇ……」
「ん? どうした?」
「二人っきりだね……」
「まぁ、最近はほぼ毎日じゃないか?」
「そ、そうだけど……こういうシチュエーションでは始めてというか……」
「ん? まぁ確かにそうだな」
「じゃあさ……あの……その……キスしても良い?」
「え!?」
紗弥の言葉に高志は驚く。
最近の紗弥は海で言ったとおりに、積極的になっていた。
頻繁に高志にくっつき、甘えることも前より多くなっていた。
それもこれも、高志が紗弥を不安にさせてしまったからなのだが、高志自身はこれで良いものかと悩んでいた。
「さ、紗弥……俺もしたいが……誰か来たら……」
「ダメ……?」
「い、いや……ダメとかじゃなくて……」
「じゃぁ……ん……」
「え……あ、いや……紗弥、ちょっと!」
顔を近づけてくる紗弥に、高志は顔を赤くして戸惑う。
「嫌?」
「い、嫌とかじゃなくて……だ、誰か来たら……」
「いや、とっくに来てるわよ……」
「え?」
高志が教室のドアの方に視線を向けると、懐中電灯を手に持ったクラスメイトの男子と女子が、顔を赤くしてドアの前で立っていた。
「「あ……」」
「あ……じゃねーよ!! ちゃんと脅かせよ! イチャついてんじゃねー!!」
「そうよ! そして早く続きをしなさい!!」
「出来るか!! さっさと行けよ!!」
まさかの出来事に高志も紗弥も顔を赤らめる。
最初のペアが行った後、高志と紗弥は俯き、互いに顔を伏せる。
「こ、こういう事があるから……」
「う、うん……ごめん……」
気まずい雰囲気の中、高志は紗弥に言う。
「か、帰ったらな?」
「え……」
「だ、だから……帰ったら部屋で……な」
「あ……うん……」
お互いに顔を上げ、再び見つめ合う二人。
高志からの言葉がうれしかった紗弥は、頬を緩ませ微笑む。
そんな紗弥の手を取り、高志はやさしく握る。
「紗弥……」
「高志……」
見つめ合う二人。
そんな二人元に再び……。
「イチャついてないで脅かしなさいよ!!」
「見てるこっちが恥ずかしいわ!!」
二組目のペアがやってきてしまった。
夕方の18時過ぎ、学校の校門前には高志のクラスの生徒全員が集まっていた。
あまりの出席率の良さに、高志は驚きながらもみんなノリが良いなと思いながら、久しぶりに会ったクラスメイトと話しをしていた。
「久しぶりだな、夏休み何してた?」
「俺はずっとゲーム」
「俺はずっと部活」
「俺はずっとバイト」
「まぁ、現実なんてそんなもんだよな……」
クラスメイトの夏休みの過ごし方を聞き、高志は苦笑いをする。
「そういうお前はどんな夏休みを過ごしてんだよ」
「え、俺は……」
高志は夏休み中の自分の一日の過ごし方を考える。
午前中は紗弥と宿題をし、午後は基本紗弥と遊ぶ。
高志自身も充実した夏休みの過ごし方だと感じていたが、他と比べると本当に充実している事がわかり、言うに言えない。
「ま、まぁお前らと同じようなもんだよ……」
「そうなのか? 俺はてっきり宮岡と毎日イチャイチャしてるのかと思ったが……」
「ま、まぁ……お互いにプライベートもあるしな……」
嘘は言っていない、毎日イチャイチャはしていないと高志は自分に言い聞かせ、クラスメイトの話しを聞く。
「毎日会ってるなんて聞いたら、俺は高志をそこのプールに沈めてたかもしれない」
「俺は撲殺して、校庭に埋めていたかもしれん」
「お前ら……怖いよ……」
高志がクラスメイトからの殺気を感じていると、優一がマイクを持ってみんなに話し始める。
「全員集まったなー、じゃあ二年三組の諸君、こんばんわ」
「「「こんばんわー」」」
「いきなりの招集にも関わらず、全員出席というノリの良さに感謝するぞ、独り身の諸君」
「「「余計なお世話だボケ!!」」」
「まぁ、余計な話しは放っておいて、肝試しのルールを始めるぞ~」
優一はマイクを握り、肝試しのルールを説明し始める。
ルールは学校の校門から入って、屋上のゴールまで決められたルートをたどって男女一組で行って帰ってくるというものだ。
最初に脅かし役と脅かされる側に別れ準備をし、準備が出来たらスタートする。
最初の脅かされる側が全員帰って来たら、役を交代しまたスタートという流れだ。
「屋上には屋上に行った証明のための黄色い紙が置いてあるから、それをちゃんと取ってくるんだぞ~、じゃあ最初の脅かし役をクジで決めるぞ」
優一はクラスの全員にクジを引かせ、最初の脅かし役を決める。
「あ、高志と宮岡はちょっと待て」
「え? なんでだよ」
高志と紗弥がクジを引こうとしたところを優一が止める。
「お前らカップルのために、俺が気をつかってやってんだ、おまえらは最初は脅かし役をやれ」
「ゆ、優一……」
「まったく、お前らバカップルには手を妬くぜ」
「ありがとう! 親友!」
「あぁ、気にするな………フフ」
「ん? なんか笑ったか?」
「いや、なんでもないさ。よし! 最初の脅かし役は集まれ!!」
「?」
優一のかけ声によって、クラスは綺麗に二つに別れた。
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「で……俺と紗弥はここで話しをしてれば良いのか?」
「そんなのでみんな驚くかしら?」
校舎内に入った脅かし組は、各ポイントに散らばり脅かしかたの打ち合わせをしていた。
ここでも高志と紗弥はセットで脅かし役をする事になり、優一から脅かす内容を聞いていた。
「暗くてしずかな教室から、急に話し声が聞こえてきたら怖いだろ?」
「まぁ、そうだが……」
「だろ? じゃあよろしくな」
「あ、おい!」
優一は簡単に説明をすると、直ぐに行ってしまった。
高志と紗弥は、二人きりになった暗い教室の中で、向き合って座っていた。
「はぁ……本当にこんなんでいいのかな?」
「でも、こう言う雰囲気だと、風の音でも怖くなっちゃうからね、結構効果あるかもよ」
「それもそうだな、じゃあ気長に誰かが来るのを待つか」
「そうだね」
高志と紗弥は椅子に座り、話しをしながら人が来るのを待った。
「二人っきりで教室にいると、あの日を思い出すね」
「あの日?」
「私が高志に告白した日」
「あぁ、そうだな……あの時は本当にビックリしたよ」
「私もあの日はかなり積極的だったと思うよ。必死だったし」
「いきなり抱きつかれた時はビックリしたよ」
「だって……高志がうんって言わないから」
二人は昔話に華を咲かせながら、人が通るのを待つ。
しかし、一向に人が来る気配が無い。
「来ないな」
「そうだね……ねぇ……」
「ん? どうした?」
「二人っきりだね……」
「まぁ、最近はほぼ毎日じゃないか?」
「そ、そうだけど……こういうシチュエーションでは始めてというか……」
「ん? まぁ確かにそうだな」
「じゃあさ……あの……その……キスしても良い?」
「え!?」
紗弥の言葉に高志は驚く。
最近の紗弥は海で言ったとおりに、積極的になっていた。
頻繁に高志にくっつき、甘えることも前より多くなっていた。
それもこれも、高志が紗弥を不安にさせてしまったからなのだが、高志自身はこれで良いものかと悩んでいた。
「さ、紗弥……俺もしたいが……誰か来たら……」
「ダメ……?」
「い、いや……ダメとかじゃなくて……」
「じゃぁ……ん……」
「え……あ、いや……紗弥、ちょっと!」
顔を近づけてくる紗弥に、高志は顔を赤くして戸惑う。
「嫌?」
「い、嫌とかじゃなくて……だ、誰か来たら……」
「いや、とっくに来てるわよ……」
「え?」
高志が教室のドアの方に視線を向けると、懐中電灯を手に持ったクラスメイトの男子と女子が、顔を赤くしてドアの前で立っていた。
「「あ……」」
「あ……じゃねーよ!! ちゃんと脅かせよ! イチャついてんじゃねー!!」
「そうよ! そして早く続きをしなさい!!」
「出来るか!! さっさと行けよ!!」
まさかの出来事に高志も紗弥も顔を赤らめる。
最初のペアが行った後、高志と紗弥は俯き、互いに顔を伏せる。
「こ、こういう事があるから……」
「う、うん……ごめん……」
気まずい雰囲気の中、高志は紗弥に言う。
「か、帰ったらな?」
「え……」
「だ、だから……帰ったら部屋で……な」
「あ……うん……」
お互いに顔を上げ、再び見つめ合う二人。
高志からの言葉がうれしかった紗弥は、頬を緩ませ微笑む。
そんな紗弥の手を取り、高志はやさしく握る。
「紗弥……」
「高志……」
見つめ合う二人。
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