甘え上手な彼女2

Joker0808

第16話




 高志と紗弥は海からホテルの自分たちの部屋に戻ってきた。
 しかし、戻ってきた高志と紗弥を待っていたのは……。

「はぁ……はぁ……優一さ~ん」

「んん!! ん~!」

 高志達男子部屋にて拘束される優一と、そんな優一を押し倒す芹那の姿だった。

「えっと……」

「お邪魔しました……」

「んー!! ん! ん~!!」

 一瞬思考が停止した高志と紗弥。
 部屋のドアを閉めようとしたが、優一の必死の訴えにとりあえず芹那を優一から引きはがす。

「さ、紗弥さん! 離して下さい、もうちょっとで優一さんを!」

「無理矢理はダメだよ」

「う~」

 紗弥は芹那にそう言い聞かせるが、それは紗弥が言えるのだろうかと高志は内心疑問だった。
 優一の口の縄をほどき、高志は優一の拘束を次々と解き始める。

「た、高志!! よ、よく帰って来てくれた!! お前が帰ってこなかったら、俺は今頃……」

「いや、人の趣味をどうこう言うつもりはないんだが……みんなで旅行に来てそういうのはちょっと……」

「違うわ!! 俺があいつに襲われたの!!」

「なら、尚更悪い事したな……これを逃したら、お前一生……いや何でも無い」

「おい! なんて言おうとした!! 一生なんだ言ってみろ!」

「怖いから、このままで良いか」

「馬鹿ほどけ!!」

 吠える優一に、高志の縄をほどく手は止まる。
 しかし、いつまでもこうという訳にもいかないので、高志は渋々縄をほどく。

「あぁ……酷い目にあった……」

「お前の言う、男の妄想みたいなイベントだったのにか?」

「実際はそんなあ甘くねーよ……きっとラブコメ漫画の主人公もそう思ってる……」

「現時点で一番ラブコメ漫画の主人公みたいな奴に言われても」

 紗弥と芹那は先に部屋に戻り、今は高志と優一だけが部屋に居た。

「それにしても、お前らは何をしてたんだ?」

「ま、まぁ……その……アレだ、散歩だ!」

「顔赤くして言う事がそれかよ……わかりやすい奴……」

 高志の反応に優一は呆れつつ、立ち上がって風呂に行く準備を始める。

「ホテルの大浴場って広いのか?」

「なかなかの大きさみたいだけぞ、風呂の種類も結構あるらしい」

 高志と優一は一階の大浴場に向かっていた。
 先ほどの出来事で汗を掻いてしまい、高志と優一は早く風呂に入りたかった。

「そう言えば、夏休み明けて直ぐに修学旅行あったよな?」

「あぁ、確か俺たちの行き先は京都と大阪だろ?」

「夏休みでカップルがメチャクチャ出来た後に、修学旅行でもカップルが量産される訳か……くそ、リア充なんて爆発しろ!」

「芹那ちゃんは同学年じゃないからな~」

「そういう意味じゃねーよ!」





 高志と優一が風呂に入っている頃、紗弥と由美華、そして芹那も大浴場に来ていた。

「む、紗弥さんって……結構……」

「えっと……そんな見られると恥ずかしいんだけど……」

 芹那は紗弥の胸をガン見し、由美華は鼻血を流して倒れている。
 紗弥が下着姿になった辺りで由美華は既に倒れていた。

「由美華さん、お風呂入れます?」

「だ、大丈夫よ……こ、これくらい……」

「なぜでしょう……由美華さんが凄く男らしく見えます。鼻血出してるのに……」

 紗弥と由美華、そして芹那の三人は風呂場に向かい、体を洗い始める。
 
「紗弥さんって髪手入れ大変そうですよね、綺麗だし、さらさらだし」

「そんな事無いわよ、慣れれば簡単。それを言うなら由美華だって……由美華?」

「あぁ……またですか……」

「う……さ、紗弥の肌がまぶしい……」

「もう上がってた方が良いんじゃ……」

 由美華は紗弥を直視できづ、離れた場所で顔を隠して体を洗っていた。
 紗弥はそんな由美華に疑問を抱き、芹那は若干呆れていた。
 色々あったが、三人は並んで浴槽に浸かり、今日一日の疲れを落としていた。

「ふ~、極楽だわ~」

「由美華さん、もう大丈夫ですか?」

「うん、ちゃんと紗弥を見ないようにしてるから!」

「なんで?」

 紗弥は由美華の言葉に更に疑問を抱き、芹那は苦笑いをしていた。
 
「それにしても、芹那ちゃんも積極的ね」

「いや、積極的すぎよ。私が寝てる間にあんな事になってるなんて」

「えへへ~そんな褒めないで下さいよ~」

「「褒めてないって……」」

 照れる芹那に紗弥と由美華は飽きれた様子で答える。

「そんな事より、紗弥さんは八重先輩と何してたんですか?」

「え!? そ、それは……散歩よ……」

「顔赤くしてそんな嘘をつかれても……」

「う……嘘じゃないわよ……散歩よ、散歩」

「あぁ、もうわかりました。そろそろ上がらないと、由美華さんが上せちゃいます」

「え?」

「うぅ……さ、紗弥~」

 顔を真っ赤にして目を回す由美華を見て、紗弥達は風呂から上がった。
 目を回す由美華を紗弥と芹那で運び、部屋に戻った紗弥達三人。

「うーん……どうやったら優一さんの心を掴めるんでしょうか……」

「その性癖を卒業するのが一番良いと思うけど……」

 紗弥達は部屋のベッドの上で女子会をしていた。
 
「紗弥さんは、どうやって八重先輩をゲットしたんですか?」

「ゲットって……普通に告白しただけよ」

「どういう感じで告白したんですか?」

「ど、どう言う感じって……」

 紗弥は自分が高志に告白した時の事を思い出し顔を赤らめる。
 高志に抱きつき、自分から迫った事を思い出すと恥ずかしくなってくる。

「ふ、普通に告白しただけよ……」

「普通ってどういう感じで縛ったんですか?」

「とりあえず、縛ることか離れて貰っていいかしら……」

 芹那の問いに対し紗弥は苦笑いをしながら答える。
 相変わらずだなと思いながら、紗弥は芹那に答える。

「そんな事する必要なんてないわよ……真剣に思いを伝えれば……伝わるわよ」

「なるほど……勉強になります!」

「メモらないで!」

 真面目にメモを取る芹那に、紗弥は顔を赤くしながらツッコミをいれる。

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