三代目魔王の挑戦!
初めての魔力に挑戦!
この世界の戦闘は、魔力に依存している。
というか。よく考えてほしい。
単なる人間が、腕力だけで、自分の二倍や三倍もある巨岩を砕くことが出来るだろうか?
無理だ。絶対に無理。
ピッケルの一本でもあれば、ちょっとずつ砕くことが出来るかもしれん。
だが、素手では無理。
しかし。
クサリさんは、人差し指一本で、巨岩を真っ二つにしてみせた。
「このように。魔力を用いることで、本来ならばあり得ない現象を引き起こすことが可能となります」
クサリさんは涼やかな顔で続ける。
「頑張ってください。魔王様」
「いや……」
いやいやいやいや。無理だって。絶対に。無理だって。
「お、俺の居た世界ではな。魔力を使わずに生活してきたんだよ」
そもそも、この世界に呼び出されてから二日目だ。魔力のマの字すら体感してねぇのに、いきなり出来るはずがない。
「それは凄いですね」
と、何故か称賛される俺。ちょっと嬉しい。
「素の身体能力のみで採掘作業を去れていたのですかぁ……」
「そんなわけねぇだろっ!? ヤサイ人かっ!?」
「その上、ベジタリアンなのですか?」
「ちげぇよっ!!」
ヤサイ人とは、単行本を全て揃えると、背表紙が一枚の絵になるという、有名な漫画に出てくる人種だ。特徴として、死ぬ度に強くなる。
「ともかく。この世界では、魔力の量と使い方で勝敗が決まります」
天然鬼教官様は、真っ二つにした岩をさらに砕きながら説明を続ける。
「馬鹿げた魔力保有量でも、使用効率が致命的では、宝の持ち腐れですから」
ガンガンうるさくて、部分部分で聞き取りづらい。砕くの辞めてくんねぇかなぁ~。
「さてと……まずはこのサイズの石を砕くとこから始めてください」
と、俺の拳より一回り大きい岩を片手で手渡そうとしてくる。
「いやいや。その前に魔力の使い方ってのを教えろよ」
初心者に厳しすぎでしょ。
生まれたときから、操作説明もゲームの一部だったチュートリアルな世代ですよ?
「その辺は……こう、感覚で」
「………………」
ダメだ。
この人、天才肌タイプの人間だ。正確には魔族らしいけど。ともかくダメだ。
昔から、天才と天才は相容れないってのが相場だからな。うん。
「………………」
「突っ込んでっ!?」
お願いだから! 冷ややかな視線を向けたまま、後ずさりしないでっ!?
「さてと。ストレス発散はこの変にしておきまして」
「様付けしといて、サンドバッグ代りかよ」
「真面目に特訓しましょうか」
「……おう」
なんせ二週間後。
勇者領と戦争することになるんだからな。
しかも、負ければ魔王領がなくなる。
「文字通り、ま「負けられない戦いですから」……」
台詞を持っていかれたぁぁぁあああ!!!
魔力。
酸素や水みたいに、気体、液体、固体の状態がある物質。
ただ、酸素や水みたいに特定の役割、特徴がある訳じゃない。
いや、特徴が無いというか……他の物質に代用できるという最大の特徴がある。
クサリさんの説明では、酸素の代わりに気体の魔力を吸ってもオーケー。水の代わりに液体の魔力を飲んでも平気。ってな感じだ。
しかし。世の中ってのは、そんなに上手く出来てない。
俺が転生されたのにも関わらず、チート能力が無いのもその証だ。
魔力はあくまでも代替品ってことだ。
呼吸に必要な酸素の量を一とした時に、気体の魔力なら三十倍は必要なんだとか。
喉を潤すにも、通常の十倍の量を飲まないといけないらしい。腹を振れば、タポンタポンとなりそうだ。
だけど。
「この、どんなものの下位互換として使用できる。という特徴が、魔法という超常現象を生み出しているのです。故に。魔法は理論と術式。必要最低限な魔力量を揃えれば、誰にでも発動が可能となります」
「じゃあ聞くけどよぉ……」
隣で右手の平から火を吹き出させているクサリさんを横目で睨みながら、
「なんで発動しねぇんだよ? 俺の初級魔法は」
同じポーズで固まっている俺だが、クサリさんとは違い、炎は出ていない。
呪文も一字一句間違えてない。違うと言えば、性別くらいだ。
「はっ! 俺が男の中の男だからか……!」
なんてことだ。
俺があまりにも男らしい! 人間だったから
「性別は関係ありません」
「……知ってますよ」
「あと魔王様。魔王様は、どちらかと言えば女々「意地でも出してやるぞ! この畜生がぁぁぁあああ!!!」」
断じて、女々しいなんて言わせねぇ!
「初級魔法がどんなもんだってんだてやんでぇ!」
俺は右手を前に突き出し、身体中の魔力を感じ(ている体で)、龍が吹き出す炎をイメージして(見たことねぇけど)、魔法名を口にする。
「『フレア』!」
「ま、魔王様……!」
驚愕の表情ってのは、目を見開いて、口を半開きにしている表情なんだろう。
まさしく、クサリさんが体現してくれたみたいな。
「そこまで力んでおきながら、なんで発動しないのですか……っ!?」
うるせぇよ。俺が聞きてぇし。
そんなこんなで、二日目はあっという間に過ぎ去ってしまった。
残り十二日。
これ。無理ゲーじゃねぇ?
というか。よく考えてほしい。
単なる人間が、腕力だけで、自分の二倍や三倍もある巨岩を砕くことが出来るだろうか?
無理だ。絶対に無理。
ピッケルの一本でもあれば、ちょっとずつ砕くことが出来るかもしれん。
だが、素手では無理。
しかし。
クサリさんは、人差し指一本で、巨岩を真っ二つにしてみせた。
「このように。魔力を用いることで、本来ならばあり得ない現象を引き起こすことが可能となります」
クサリさんは涼やかな顔で続ける。
「頑張ってください。魔王様」
「いや……」
いやいやいやいや。無理だって。絶対に。無理だって。
「お、俺の居た世界ではな。魔力を使わずに生活してきたんだよ」
そもそも、この世界に呼び出されてから二日目だ。魔力のマの字すら体感してねぇのに、いきなり出来るはずがない。
「それは凄いですね」
と、何故か称賛される俺。ちょっと嬉しい。
「素の身体能力のみで採掘作業を去れていたのですかぁ……」
「そんなわけねぇだろっ!? ヤサイ人かっ!?」
「その上、ベジタリアンなのですか?」
「ちげぇよっ!!」
ヤサイ人とは、単行本を全て揃えると、背表紙が一枚の絵になるという、有名な漫画に出てくる人種だ。特徴として、死ぬ度に強くなる。
「ともかく。この世界では、魔力の量と使い方で勝敗が決まります」
天然鬼教官様は、真っ二つにした岩をさらに砕きながら説明を続ける。
「馬鹿げた魔力保有量でも、使用効率が致命的では、宝の持ち腐れですから」
ガンガンうるさくて、部分部分で聞き取りづらい。砕くの辞めてくんねぇかなぁ~。
「さてと……まずはこのサイズの石を砕くとこから始めてください」
と、俺の拳より一回り大きい岩を片手で手渡そうとしてくる。
「いやいや。その前に魔力の使い方ってのを教えろよ」
初心者に厳しすぎでしょ。
生まれたときから、操作説明もゲームの一部だったチュートリアルな世代ですよ?
「その辺は……こう、感覚で」
「………………」
ダメだ。
この人、天才肌タイプの人間だ。正確には魔族らしいけど。ともかくダメだ。
昔から、天才と天才は相容れないってのが相場だからな。うん。
「………………」
「突っ込んでっ!?」
お願いだから! 冷ややかな視線を向けたまま、後ずさりしないでっ!?
「さてと。ストレス発散はこの変にしておきまして」
「様付けしといて、サンドバッグ代りかよ」
「真面目に特訓しましょうか」
「……おう」
なんせ二週間後。
勇者領と戦争することになるんだからな。
しかも、負ければ魔王領がなくなる。
「文字通り、ま「負けられない戦いですから」……」
台詞を持っていかれたぁぁぁあああ!!!
魔力。
酸素や水みたいに、気体、液体、固体の状態がある物質。
ただ、酸素や水みたいに特定の役割、特徴がある訳じゃない。
いや、特徴が無いというか……他の物質に代用できるという最大の特徴がある。
クサリさんの説明では、酸素の代わりに気体の魔力を吸ってもオーケー。水の代わりに液体の魔力を飲んでも平気。ってな感じだ。
しかし。世の中ってのは、そんなに上手く出来てない。
俺が転生されたのにも関わらず、チート能力が無いのもその証だ。
魔力はあくまでも代替品ってことだ。
呼吸に必要な酸素の量を一とした時に、気体の魔力なら三十倍は必要なんだとか。
喉を潤すにも、通常の十倍の量を飲まないといけないらしい。腹を振れば、タポンタポンとなりそうだ。
だけど。
「この、どんなものの下位互換として使用できる。という特徴が、魔法という超常現象を生み出しているのです。故に。魔法は理論と術式。必要最低限な魔力量を揃えれば、誰にでも発動が可能となります」
「じゃあ聞くけどよぉ……」
隣で右手の平から火を吹き出させているクサリさんを横目で睨みながら、
「なんで発動しねぇんだよ? 俺の初級魔法は」
同じポーズで固まっている俺だが、クサリさんとは違い、炎は出ていない。
呪文も一字一句間違えてない。違うと言えば、性別くらいだ。
「はっ! 俺が男の中の男だからか……!」
なんてことだ。
俺があまりにも男らしい! 人間だったから
「性別は関係ありません」
「……知ってますよ」
「あと魔王様。魔王様は、どちらかと言えば女々「意地でも出してやるぞ! この畜生がぁぁぁあああ!!!」」
断じて、女々しいなんて言わせねぇ!
「初級魔法がどんなもんだってんだてやんでぇ!」
俺は右手を前に突き出し、身体中の魔力を感じ(ている体で)、龍が吹き出す炎をイメージして(見たことねぇけど)、魔法名を口にする。
「『フレア』!」
「ま、魔王様……!」
驚愕の表情ってのは、目を見開いて、口を半開きにしている表情なんだろう。
まさしく、クサリさんが体現してくれたみたいな。
「そこまで力んでおきながら、なんで発動しないのですか……っ!?」
うるせぇよ。俺が聞きてぇし。
そんなこんなで、二日目はあっという間に過ぎ去ってしまった。
残り十二日。
これ。無理ゲーじゃねぇ?
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