徒然なるままに

嘉禄(かろく)

Flame of feelings


─俺の目には、生まれつき感情の炎が見える。
怒りならば赤、悲しみならば青、喜びならば橙、嫉妬ならば紫といったように。
最も、その炎が感情の現れであると気づいたのは物心ついてからだけど。

元々目の色が赤で気持ち悪がられていた俺は、それが見えて人と上手くコミュニケーションを取れないことでより除け者にされて時には虐めを受けることもあった。
それのせいで、俺は人間不信になった。


こんな目さえなければ、こんな力さえなければ…俺は普通の人間として普通の人生を送れたのに。
目を失えるものなら失いたい。
許されるならとっくに抉り出している。
それでも、ただ一人の友に止められた。


『君の目は美しい、僕は好きだ。』


そう言った友の目もまた、赤と青のオッドアイだった。
でも、確かに彼の目は美しかった。
彼がそう言うのなら、と俺は留まった。

しかし俺は信じない。
友以外は、両親であろうとも俺を道具としか見ていないのだから。
こんな腐った世界など、腐った人間など滅びればいい…それは変わらないはずだった…彼が現れてそれが揺らぐことを、この頃の俺はまだ知らない─

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