徒然なるままに

嘉禄(かろく)

Exorcist and Reaper


悪魔にも、魂がある。
人に害なす悪魔を狩る度に、魂は天に召されず僕に助けを求めて手を伸ばす。


『…タスケテ…』


けれどその手を取ることは出来ない、悪魔の魂は地に沈んでいく。


「…憐れな悪魔に、魂の救済を」


僕は、いつもせめてもの祈りを捧げるしか出来ない。






僕は死神、咎人…煉獄に囚われた魂に乗っ取られた人間を狩るのが仕事。
咎人に乗っ取られた人間…宿主は、二度と正気には戻れず、狩れば宿主を道連れに死を迎える。


「…ごめんなさい、救えなくて…ごめんなさい…」


最初に咎人を狩った時、僕は人を殺してしまったと思った。
死神になれるのは死んだ人間、だから僕も元人間だ。
でも、捉え方は様々ある。
二度と正気には戻れないなら解放してやった方が宿主にとっては幸せだと言う者もいる。
それでも僕はそうは思わなかった、死は死だと…でも、ある人に言われた。


『お前が望めば お前はもっと強くなれよう 人間の感情を捨て 死神になりなさい』


その言葉に従い、僕は完全なる死神になった。
今夜も咎人を狩り、夜の街を見渡す。


「罪深き魂よ もう一度眠れ」


僕は、祈りを捧げるしか出来ないのだ─

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