異世界転移したら勇者になったんだが?

sirokuro

応急処置

「そうだ!この三日間なにがあったか聞いてないよ!」

朝ごはんを食べ終わった後、セリスが急に言い出した。

「そういえばそうでしたね。セリスさんが倒れたところから説明しますね」
「そうだな、俺もあまり知らないから教えてほしい」
「なぁーんだ、ソウタも知らなかったんだ」
「あんなにボロボロになってたんだぞ?そりゃ気を失ってもおかしくないだろ?」

セリスがまたじとーっとした目で見てくる。その目は「次あんな無茶したらゆるさない」って言っている。

俺だって好きであんな無茶したわけじゃない。結果的には完敗だったが、俺が最初から本気を出していれば接戦にはなっていただろうが、負けなかったはずだ。

「で、では!セリスさんが倒れた直後から!どうぞ!」

メイがそう言って、水晶のようなものを取り出し宙へ投げた。すると、水晶が光だし、モニターのようなものが映し出された。

「これはなんなんだ?」
「記憶水晶っていうものです!これに触れた人の記憶を映しだすことができるんです!」
「私は久しぶりに見たなぁ」

セリスが懐かしそうに水晶を見ている。たぶん、師匠に見せてもらったことを思い出しているのだろう。

そんなことをしていると、モニターの中が動き出した。

「ソウタの手に何かあるよ?」
「ポーションだ。何とか一つだけ取り出せたんだ」
「あ!メイがソウタに近づいたよ!あれ?なんでメイがポーション飲むの?え?なんか近すぎなような…え?ちょっと待って!な、何してるの!?だ、ダメー!!」
「わぁぁぁ!!!!見ないでください!!!!」
「飲ましてくれとは頼んだが、まさか口移しされるとは思わな…ぐはっ!」

俺は手を動かすことが出来なかったので、近くに来てくれたメイに、ポーションを飲ましてくれ、と頼んだのだ。そしたら何故かメイがポーションを口に入れ、そのまま俺に口移しで飲ませたのだ。

それを見たセリスは大泣きし、メイは顔を真っ赤にして、俺はセリスに頭突きをかまされた。

「ソウタとメイのバカ!!浮気者!!」
「「ご、ごめんなさい」」

うわぁぁぁぁぁぁん!!というセリスの泣き声が部屋の中に響く。

「これは応急処置だ。キスじゃないだろ?」
「じゃあ、私が他の男に口移しされたらどう思う?」
「あ゛?ぶっ殺すに決まってるだろ?」
「私も同じだよ」

なるほど、確かに恋人が自分以外の人とキスしているところなんて想像したくもないな。

「ねぇ、メイ」
「な、なんですか?」
「一発殴らせて?」
「はい…」

どうせセリスのことだ。いつものポカポカパンチぐらいの威力だろ?と思って見ていると、ドゴォン!と鈍い音がなり、メイが部屋の壁を突き抜けて外に飛ばされた。

「え?」

この状況に俺は唖然するしかない。いつものポカポカパンチはなんだったんだ?と聞きたくなるような威力の差だ。

そんなことを考えているとセリスが俺の方を見る。その顔は、口は笑っているが目が笑っていなかった。

「ねぇ、ソウタ?」
「な、なんだ?」
「もちろん、殴らしてくれるよね?」
「そ、そういうのDVって言うんだぞ?」
「なにそれ?言い逃れしようとするなんてかっこ悪いよ?」
「や、やめ!」

そしてセリスに顎を思いきり殴られ、俺は気を失った。


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数分後、俺とメイが起きるとセリスは満足したようにしていた。

「なんかご機嫌だな?」
「うん!だって、メイが私の心配して毎日様子をみに来てくれてたんだもん!」
「なんか恥ずかしいですね」

そう言ったメイはモジモジしているが嬉しそうだった。

「でも、なんでソウタは来てくれなかったの?」
「足の骨が折れてて動けなかったんだよ」
「ふぅーん?本当に?」
「なに疑ってんだよ」
「ふふっ、嘘だよ。私のことすごく心配してくれてたよね?ありがとうね」
「おう、俺の方こそ、心配かけてごめん。もう負けない」

そして俺とセリスは近づき、手をとりあい、顔を近付け、そして、唇と唇が触れ合いそうになると、

「もぉーーー!!!!!!私のことを忘れないでくださいよー!!!!」

顔を真っ赤にしたメイに叱られた。

「あ、あははは、メイに怒られちゃった」
「あぁ、そうだな」

だが俺は諦めない。セリスは恥ずかしそうにメイの方に顔を向けているが、俺の方に向かせ、無理やり唇を奪ってやった。すると、

「へ、?そ、ソウ、タ?」
「そ、そういうことは人前でしないように!」

相変わらず不意打ちに弱いセリスと顔を真っ赤にして怒るメイであった。

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