異世界転移したら勇者になったんだが?

sirokuro

買い物

「ところでソウタ君」
「なんだ?」
「その服をどうにかしてくれないか?」
「あ?」

何言ってんだこいつ?と思いながら服を確認した。

「なんだこの服?ちょー汚ぇじゃん」

服はボロボロで所々破け、モンスターの返り血や自分の血がべっとり付いている。

「なんでそんなに他人事なんだい?」
「正直けっこう驚いた」
「今まで気付かなかったのかい?」
「あぁ」
「そ、そうか」

ザックはやれやれとため息を吐く。ため息を吐きたいのは俺だと言ってやりたいが、確かになんで今まで気が付かなかったんだろう。

「ねぇソウタ、着替えないの?」
「着替えたいが替えの服がねぇしな。だが血は気持ち悪いから落としとくか」

そう言って創造魔法を発動させるためイメージする。

「クリーニング」

新しく創った魔法を発動させると、俺の体は薄い緑色の光に包まれる。すると、服に付いていた血がとれていた。

「い、今のはいったいなんだね!?」
「あ?スキルだよ」
「で、でもさっきスキルの一覧にはなかったじゃないか!?」
「創造魔法っていうのがあっただろ?それを発動させたんだよ」
「そのスキルがあるとどんな魔法も使うことが出来るのかい!?」
「俺がイメージできるものしか発動できねぇんだ」
「そ、そうなのか。なかなか便利だね」
「俺もそう思う」

と普通に話しているが俺の服は血が落ちただけでボロボロな状態だ。早く服を買いに行きたい。

「この街に服が売っている店はあるか?」
「もちろんだ」
「場所を教えてくれ」
「ならこれを持っていくといい」

そう言って紙を渡してきたので、何かと思い見てみれば地図であった。

「サンキューなザック。セリス、行くぞ」
「はーい!」

俺達が出ようとするとザックが聞いてきた。

「ここにはまた戻ってくるのかい?」
「服を買ったら戻ってくる」
「その後は?」
「明日になったらここを出る」
「そうか。ならここから出る時は声をかけて欲しい」
「わかった」

即断即決約束は守る主義の俺だ。声をかけなかったら追いかけて来ると思ったから了承しただけだ。

そして俺とセリスはギルドを出て、店を探しながら歩いている。もちろん風の鎧を発動している。石をセリスに当てられたくなかったからだ。

「なぁセリス」
「なぁに?」
「そのブーツも師匠の手作りなのか?」
「ちがうよ!これは私の手作りなの!」
「へぇー、凄いな。どうやって作ったんだ?」
「まずはモンスターの皮を剥いで……」
「あ!あの店じゃないか!?」
「ホントだ!けっこう近かったね!」
「そ、そうだな」

セリスが物騒なことを言いだしたので声をかき消すように大声で言った。セリスは皮を剥ぐなんてそんな怖いことしない。だからさっきのもきっと俺の聞き間違いのはずだ。そう思いながら店に入る。

「んー?俺の好みの服がねぇなぁ」
「どんな服が好みなの?」
「セリスが着てるコートみたいなもの」
「そうなんだ。ここには売ってなさそうだね」
「まぁあっても買わないがな」
「なんで?」
「ペアルックみたいになるからだ」
「いいじゃんペアルック!」
「いーやーだ」
「えー」

そう話しているとある服が目にはいった。

「あ、これでいいや」
「さっき言ってたのと全然ちがうよ!?」
「こういうの着てみたかったんだよ」
「ふーん?まぁソウタがいいならいいか」

俺が見つけた服というのは和服だ。なぜこんなものが異世界にあるのかわからないが、せっかくなので買うことにした。そしてすぐに着替えた。

上半身のベースの色は黒と赤で下半身の部分は黒色で紅葉のマークがはいっている。そして中にインナーを着る。ほとんど上半身裸で歩くのが嫌だからだ。そして和服とインナーを数着ずつ購入し、店をでて少し動いてみると、動きやすさに感動し、調子に乗ってしまう。

「これだいぶ動きやすいぞ!」
「ちょっと!暴れないでよ!」
「あははは!ほら捕まえてみろよ!150越えのババァ!」
「……ソウタ?ここで剥ぐよ?」
「……」

何を?とは言えなかった。セリスの目が光を失っていたからだ。

「もう!それよりこの服どうするの?」
「それならちゃんと考えているぞ」

そう言い創造魔法を発動させる。最近、創造魔法に頼りすぎている気がするがまぁいいだろう。

「コントロールスペース」

俺は服を全て空を投げると消えた。正確にはどこかに入っていくかのように消えた。

「え?ちょ、ちょっとソウタ!服が消えたよ!」
「ただ仕舞っただけだ」
「仕舞ったって、どこに?」
「説明するのは難しいんだよなぁ。なんていうか、俺だけが取り出せる場所に仕舞ったんだよ」
「なんとなくわかった!」
「そうか。セリスは服を買わないのか?」
「私はいいかな」
「ならギルドへ戻るか」
「うん!」

そして俺たちはギルドへと戻り、次の日の朝まで眠った。

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