遺産を相続したら異世界の独裁者になったんだけど、今度こそ俺はまともな人間に生まれ変わる事ができるかもしれない

ノベルバユーザー234468

エピローグ

 気が付くとカイは病院にいた。
 首はカラーで固定され、右腕はギプスで固定されていた。
 足にもギプスがついていた。
 胸にはマジックテープ式のベルトみたいなサポーターが巻かれている。
 左腕には針がテープで固定されていて、その先にはちったんちったんと雫が落ちる点滴が見えた。
 カード式のテレビがあるので日本の病院だろう。
 他の患者は見当たらない。
 個室だ。個室に広いベッドが……


「げふッ!」


 次の瞬間、カイは『詰んだ』と思った。
 カイの横には女性が二人。川の字。なぜかカイは端っこ。
 女性は雪菜と真琴だ。ただし裸で。掛け布団を被っているが断言できる。
 だって真琴の生尻が当たっているから。


「俺はナニをやったんだ。ナニ。ナニヲ……ナニ」


 ナニしかない。
 完全に事後である。
 だが記憶がない。
 もったいない。


「ううーん……」


 一番端っこにいた雪菜が欠伸をしながら目を開けた。
 そのまま布団で体を隠しながら起き上がる。


「あ、カイ。起きたんだ」


「いやいやいやいや、おかしいから。なにがあったの?」


 すると乾いた空気のせいか、カイはむせる。
 すると脇腹の辺りからビリビリビリと痛みがこみ上げてくる。


「うごッ! うごごごごごごッ!」


「ダメだよカイ。肋骨折れてるんだから。そのまま寝てな」


 カイは悶絶した。
 だがカイの野獣の部分は見逃さなかった。……雪菜の横乳を。


「カイ起きたのか。昨日はがんばったね……」


 真琴も起きた。
『がんばった』。実に意味深である。
 ナニを『がんばった』のだろうか?


「まったくさあ、昨日はたいへんだったよ。あのあと宮殿は全壊するし。カイは心臓止まるし。それなのに玄武ちゃんは放って置けって言うし。しかも放って置いたら本当に回復するし。そのまま日本に帰って倉庫内作業での事故ってことで救急車呼んでさ。あ、カイ憶えている? ちゃんと帰ってくるとき時計の操作したんだよ」


「ぜんぜん記憶にないッス」


「逃げろって言うから逃げたら戦い出すしさ。もう心配させないでよ!」


「まったくだ。まさかの力技じゃねえかと」


「いやね、違うのよ。まさかの事態だったのよ。まさかあんなに威力があるなんて……」


 カイは思う。
『足が速いヒーローって無敵なんじゃね』と。
 雪菜は怒っている。


「玄武ちゃんの加護がなければミンチになっていたって」


 さすがにそれは嫌である。


「次はもっとうまくやる」


「次があるの……」


 ツッコミ所満載である。


「コンラッドは? それに反対派はどうなったの?」


「死体も見つからない。カイが玄武の力を見せつけたおかげで、昨日から隠居届け祭りだってさ。もう、反対派は息をしてない。名実ともに独裁者に就任だね」


「マジッスか」


 マジである。
 真琴はニヤニヤとする。


「それでな。雪菜と相談したんよ」


 嫌な予感がする。


「もうガキ作っちまおうぜ! ってな。ほら、ヤンキーがガキ作ったらいきなり良いパパになることがあるじゃん」


 カイは逃げようとした。だが動けない。
 そんな幸せヤンキー家族ビッグダディ定食はまだ嫌なのである。
 雪菜と真琴が迫ってくる。
 その時だった。


「おいーっす。雪菜、真琴、起きてるか……って」


 ノックもせずに浩が入ってくる。
 終わった。
 カイの口からその言葉が自然と漏れた。
 浩は三人を見てプルプルと震える。


「てんめえこの野郎おおおおおおおぉッ!」


 こうしてカイは異世界を手に入れた。
 そのまま鈴木商事と異世界を行ったり来たりする生活が続くだろう。


「てんめえ、このマセガキがああああああ!」


「おじさん落ち着け! だから違うって! 誤解だ! なにもかも誤解なんだ!」


「うるしぇえええええええッ!」


「お父さんやめて! もう私の中にカイの赤ちゃんが……」


「雪菜ぁッ! サラッと嘘ついてんじゃねえ!」


「そうだよ雪菜。ボクの中にもカイの赤ちゃんが……」


「てめえ真琴ぉッ! お前もなのか! クッソなんでこうなった!」


「ちょっとお父さん。日本刀ダンピラはダメ! 日本刀ダンピラはダメー!」


「ぎゃあああああああああああああッ!」


 ……命があれば。




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