セミになりたい少女と内気な僕

ノベルバユーザー173668

セミの一生

僕は、少しこの少女に興味をもった。
「なんで、セミになりたいんだい?」
すると、少女は、笑顔で
「アブラゼミは7年間位ずっと地上に出ることを夢見て、土の中で成長します。そして、大人になるとその夢を叶えます。そして、たった1週間くらいの命で他のセミと恋して、一緒に過ごしてその生涯を終えます。たった1週間だけの地上でしたけど、とても幸せな生涯だと思うんです。」
僕は、セミに憧れる少女がいることに驚きながらも、彼女の言うことにも少し共感した。そして、心の中でアブラゼミが、土の中にいるのは3、4年だろと思ったが、彼女の夢を壊してはいけないと思い黙っておくことにした。その後も彼女は嬉しそうに僕に話し掛けてきた。彼女の話を聞いているうちに空が少し明るくなってきた。ふと時計をみると、もう、朝の3時だ。僕は、
「ごめん。もう仕事があるから、また今度話を聞くね。」
と言った。すると、少女は、
「話を聞いてくれてありがとう。私の名前は桜井咲。また、話せるのを楽しみにしているね。」
と言った。僕は、急いでパトロール帳に"問題なし"とつけ、もとあった場所に戻した。そして、急いで寮に戻った。寮に退職届が置いてあるからだ。寮に入り、退職届を手にする。すると、先ほどの彼女の笑顔が浮かんできた。また話を聞くね。そう言ってしまった、自分が悔やまれる。
「さすがに、約束は破れない、これ以上は。」
僕はそう呟いた。
僕は、迷ったあげく退職届を置いて寮を飛び出した。

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