会社員(26歳)の俺にJKのストーカーがいるんだが。

伏見キョウ

21.俺とJKとテイシャツ 後編



 「まだ決まりませんか?」


 鈴鹿を部屋に泊めるかで悩んで小一時間。
 リビングのソファーに腰かけ難しい顔をしている悠志に鈴鹿がコーヒーを出す。
 泊めてやっても良いが(絶対に手を出さない自信はある)鈴鹿のことだからなにをしでかすか分からないし……。


 「ああああ全くわかんねえ。」


 「もう諦めて私を泊めましょうよ。条例的にもそろそろアウトですし。」


 「条例?」


 「古河市の条例ではあと10分ぐらいで未成年の外出は保護者同伴でない限り禁止です。」


 「まじか……。」


 「じゃあ今晩はお世話になりますね!お風呂お先にどうぞ!!」


 どこから用意したのか悠志が風呂にはいる時に使うタオルや着替えをまとめたものを悠志に渡す。


 「あと10分ないです。諦めてください。」


 「お前絶対これ狙ってただろ!」


 「さぁ~?」


 鈴鹿は明後日の方を見て笑う。
 今まで悩んだ時間を返せと思う悠志。


 「とりあえず早くお風呂行ってきてください。私早く入って寝たいんで。」


 「じゃあ鈴鹿が先入るか?」


 「いえ、私は悠志さんの残り湯……いえいえいえ!!ゆっくり浸かりたいだけですので!!!!」


 なにか聞こえた気がするけど気にしないでおく。






 「なんか変な気がするな……。」


 シャワーを浴びながら独り言を呟く悠志。
 これまで家族以外の女性が1つ屋根の下で寝ることはなかった。修学旅行も男子校だったため特になし。
 何かするわけでもないのに胸がドキドキして緊張する。
 もう26なのに情けないと感じた。


 「ふー。」 


 湯船に浸かって天井を見上げる。
 果たして無事に夜を越せるのだろうか。
 鈴鹿が急に迫ってきたらどうしよう……。
 あああやめだやめだ、これだから童貞は。
 俺は新渡先輩みたいな年上がタイプだ。ギャルゲーは違うけど。


 1人湯船の中で考え事をしていると風呂場の扉がガラッと勢いよく空いた。


 「悠志さん!!お背中流しますよ!!」


 元気の良い声が風呂場中に響く。
 

 「もう流したわ。」


 湯船の中から返す悠志。入浴剤を入れてあるため体はそんなに見られない。
  
 「そうですか、お邪魔しました。」  


 つまらなそうな顔をして鈴鹿は扉を閉めた。


 「……?」


 悠志の予想では一緒に入ろうと提案してくるだった。


 「これだから童貞は困るな!!」


 悠志は大きな声で叫び1人で笑っていた。




 その後鈴鹿が風呂に入るときはリビングに閉じこもりギャルゲーを続けた。


 アイアム童貞、アイアム童貞……


 頭の中で唱えながらだったからか選択肢のミスが多くなりヤンデレバットエンドになってしまった。


 「うわぁぁぁぁぁぁぁ。」


 「どうしたんですか悠志さん。今日はうるさいですね。」


 いつの間にか風呂を出た鈴鹿がキッチンでコップについだ水を飲んでた。
 服はさっきも着ていた悠志のテイシャツ1枚。
 髪はしっかり乾かしたのかいつものサラサラヘアだ。


 「俺だって叫びたいときはあるんだよ。」


 「心が叫びたがってるんだ?」


 「あの花の方が好きなんだよ……。めんま……。」 


 「え、悠志さんめんま派なんですか?!意外です。」


 「嘘、何派に見えた?」


 「あなるですかね。」


 「ギャル苦手。」


 「なるほど。あ、私そろそろ寝たいんですけどどこで寝れば良いですか?」


 時計を見るともうすぐ12時。時がたつのは早い。


 「じゃあここでいいぞ。俺これから趣味部屋行くし。布団持ってくるな。」


 そう言って立ち上がりリビングを出ようとすると鈴鹿が俺の服の裾をつまんだ。


 「ん?」


 「一緒に寝たいです。」


 「だめです。」


 「悠志さん、どうしてもダメですか……?」 


 上目遣いで悠志を見つめる鈴鹿。


 「ダメなものはダメだな。」


 「少しだけ考えてみてください。」


 「考えなくても分かるだろ。」 


 鈴鹿のおでこにデコピンして寝室から布団を持ってきた。


 「じゃあお休み。」


 「……お休みなさいです。」


 リビングの空いてるところに布団を敷き鈴鹿はそこで寝ることになった。
 悠志はギャルゲーを終わらせ部屋の照明を消した。
 ムスッとした顔を鈴鹿はしていたが仕方がない。
 静かにリビングの扉を閉めて悠志は趣味部屋に移動した。




 趣味部屋は漫画やDVD、コレクションしたグッズが沢山ある。
 悠志はイヤホンをつけお気に入りのアニソンを聞きながら漫画を読んだ。












 「……そろそろ寝るか。」


 学園ラブコメ全30巻を読み終えた悠志。
 1番くじの景品であった壁掛け時計は3時になろうとしている。
 漫画を棚に戻し隣の寝室に移動した。
 部屋は照明を着けなくても感覚で分かる。
 鈴鹿がいたらどうしようと思ったがベッドは布団をめくっても誰もいない。
 しっかりリビングで寝てくれているんだ、そう安心した悠志は眠りについた。
 1つ屋根のしたとはいえ部屋も離れているし問題ない、がんばれ俺!!と目を閉じ自分を励ました悠志。








▼△▼△




 悠志が眠りに入って少したったあと。


 「トイレ……。」


 鈴鹿はトイレにいきたくなり起きた。
 いつもの明るいリビングと違い少し悲しさを感じた。


 静かにリビングの扉を開けてトイレに行き鈴鹿はリビングに戻る……。
 訳がなくもちろん悠志の寝室に向かった。



























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コメント

  • 恋

    続きがみたいです!!
    頑張ってください!応援してます٩(ˊᗜˋ*)و

    1
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