親父様とまじかる☆すとーん
小話 鳥さんといっしょ☆ アラビスへ
少女が一人、泣きながら山賊のアジトを後にした。少女の名はプリムヴェール・ティラォン。盲目なのだが……彼女の長年培われた(?)勘がものをいうのだろうか? 木にぶつかることなく突き進んでいる。
「プリム様~」
そのプリムヴェールを追うのは、リア・エルル・アスティア。彼女を心配して追ってきたのだ。
「りあねえ~」
ぽろぽろ泣きながらプリムヴェールはリアに抱きつく。
「ぷりん、とりさんとあそぶにゅ~。いくにゅ~」
どうやらその意志は固いようだ。
「わかりました~。ボクも行きます~。だからもう、泣かないで下さいね~? でも、鳥さんに会ったら、すぐ帰りますよ~。いいですね~」
そのリアの言葉にプリムヴェールは嬉しそうに笑みを浮かべたのであった。
「でも……鳥さん……どこにいるんでしょうね~?」
「それなら、ぷりん、わかるにょ! こっちにょ♪」
それはさながら、楽しいピクニックに行くかのように。
「プリム様、疲れませんか~? 疲れたら言って下さいね~?」
「つかれたにゅ~」
それはかなり早かった。
「それじゃあ……」
にこにことリアが背中を貸そうとした時。
「じゅえるーどこにょ~?」
「ジュエル?」
プリムヴェールの前に現れたのは白い豹だった。いや、実は豹ではない。
「にゃーん」
プリムヴェールにすりすりと鳴いているのは紛れもなく巨大な白猫だった。
プリムヴェールとリアは無事に高い丘に作られた大きな鳥の巣を見つけたのはその数時間後だった。
「あ、とりさんがかえってきたにょ~」
鳥さんが空から降りてくる。
と同時に誰かが現れた。
「!」
それは狼の毛皮を頭に被ったアラビスの女性。
「だ、誰ですか~?」
リアはプリムヴェールを庇うかのように前に出て女性に声をかけた。
「はうっ!」
驚き、女性は逃げていってしまった。
「な、何だったんでしょう?」
「ぷりん、しらないににゃ~」
プリムヴェールは気に病むことなく鳥さんに近寄って行く。
「とりさん~とりさん~♪ にょ?」
プリムヴェールはふと、鳥さんの翼に棘が刺さっているのに気づいた。鳥がばだばたと翼をはためかせたからだ。
「とげにゅ~。かわいそうだにゅ~」
むんっと取ろうとするがプリムヴェールの力では抜き取れない。
「それじゃあ~次はボクがやります~」
ふんぬーとリアが抜こうとするが……それも駄目だった。しかも鳥さんも動くのでなかなか抜けない。
「困ったです~」
そんなときだった。
「次はリクがやるれす! ぎゅっと抜くれす!」
先ほど逃げてしまった女性だ。リアとプリムヴェールは驚いたが、鳥さんの棘がなくなるなら、願ってもないことだ。二人は顔を見合わせ、笑みを浮かべた。
「よろしくお願いしますね~」
リクと名乗ったその女性は頷くと棘に手を置き、ひょいっとそれを抜いて見せた!
「すごいにゃー! すごいにゃー!」
「ボクでも抜けなかったのに~、すごいです~」
プリムヴェールとリアは喜んだ。リクはそれを見て少し照れているようだ。
「とりさんもありがとうっていってるにゃ。にょ? これあげてもいいにょ?」
鳥さんはプリムヴェールに小さな赤い宝石を銜えて渡した。
「これ、とりさんがおれいにあげるっていっているにょ☆」
プリムヴェールはその宝石を受け取るとリクの手に渡す。
「え? いいんれすか?」
始めは驚いているようだったが、リクはとても喜んでいた。
こうしてリク・ワイアンドとプリムヴェール、リアは仲良くなったのであった。
その後、町へと戻っていったリクを見送り、一度リアとプリムヴェールは戻ることにした。
「鳥さんは怪我をしていました~。それに……ヒナさん……いえ、鳥さんの子供もいました~」
「とりさんわるくないにゃ! とめるにゃ!」
プリムヴェールのその言葉にリアは頷いた。先ほど、鳥さんに隠れていたのだが、ヒナがいたのだ。
「行きましょう~。プリム様」
「やるにゃ~!」
そして二人は仲良くアジトの方へ向かっていった。
そして、数時間後。
「にょ? にょ? ここ……どこにょ?」
気が付けばプリムヴェールは一人だった。
「にーちゃ? にー……」
思わず兄を呼んだが……ケンカをしてしまったことを思い出した。
「りあねえ? りあねえ?」
誰もいない。荒れた土地。側にはあの大きな鳥と。
「にょ?」
両手で握っているのは見たことのない青い短剣。ぽたりと、プリムヴェールの涙が短剣の上に落ちた。
「ぷりん、おうちにかえりたいにゅ……」
側にいた鳥さんがプリムヴェールの側にいたが、しばらくすると飛んでいってしまった。
「そこにいるのは誰じゃ?」
そこに現れたのは一人の老婆。頭から布を被っている典型的なアラビス人でもある。
「おや、かわいい子供じゃないか……どうかしたのか?」
「にーちゃとりあねえと……みんなのおうちにかえりたいにゅ。でもかえれないにゅ……」
ぽろぽろと涙を零す。
「ははあ、迷子じゃな。そうじゃ、あたしの家に来るかい? ここでは人も少ないからね。あったかい食べ物も作ろう」
その老婆の言葉にプリムヴェールは素直に付いていったのであった。
「プリム様~」
そのプリムヴェールを追うのは、リア・エルル・アスティア。彼女を心配して追ってきたのだ。
「りあねえ~」
ぽろぽろ泣きながらプリムヴェールはリアに抱きつく。
「ぷりん、とりさんとあそぶにゅ~。いくにゅ~」
どうやらその意志は固いようだ。
「わかりました~。ボクも行きます~。だからもう、泣かないで下さいね~? でも、鳥さんに会ったら、すぐ帰りますよ~。いいですね~」
そのリアの言葉にプリムヴェールは嬉しそうに笑みを浮かべたのであった。
「でも……鳥さん……どこにいるんでしょうね~?」
「それなら、ぷりん、わかるにょ! こっちにょ♪」
それはさながら、楽しいピクニックに行くかのように。
「プリム様、疲れませんか~? 疲れたら言って下さいね~?」
「つかれたにゅ~」
それはかなり早かった。
「それじゃあ……」
にこにことリアが背中を貸そうとした時。
「じゅえるーどこにょ~?」
「ジュエル?」
プリムヴェールの前に現れたのは白い豹だった。いや、実は豹ではない。
「にゃーん」
プリムヴェールにすりすりと鳴いているのは紛れもなく巨大な白猫だった。
プリムヴェールとリアは無事に高い丘に作られた大きな鳥の巣を見つけたのはその数時間後だった。
「あ、とりさんがかえってきたにょ~」
鳥さんが空から降りてくる。
と同時に誰かが現れた。
「!」
それは狼の毛皮を頭に被ったアラビスの女性。
「だ、誰ですか~?」
リアはプリムヴェールを庇うかのように前に出て女性に声をかけた。
「はうっ!」
驚き、女性は逃げていってしまった。
「な、何だったんでしょう?」
「ぷりん、しらないににゃ~」
プリムヴェールは気に病むことなく鳥さんに近寄って行く。
「とりさん~とりさん~♪ にょ?」
プリムヴェールはふと、鳥さんの翼に棘が刺さっているのに気づいた。鳥がばだばたと翼をはためかせたからだ。
「とげにゅ~。かわいそうだにゅ~」
むんっと取ろうとするがプリムヴェールの力では抜き取れない。
「それじゃあ~次はボクがやります~」
ふんぬーとリアが抜こうとするが……それも駄目だった。しかも鳥さんも動くのでなかなか抜けない。
「困ったです~」
そんなときだった。
「次はリクがやるれす! ぎゅっと抜くれす!」
先ほど逃げてしまった女性だ。リアとプリムヴェールは驚いたが、鳥さんの棘がなくなるなら、願ってもないことだ。二人は顔を見合わせ、笑みを浮かべた。
「よろしくお願いしますね~」
リクと名乗ったその女性は頷くと棘に手を置き、ひょいっとそれを抜いて見せた!
「すごいにゃー! すごいにゃー!」
「ボクでも抜けなかったのに~、すごいです~」
プリムヴェールとリアは喜んだ。リクはそれを見て少し照れているようだ。
「とりさんもありがとうっていってるにゃ。にょ? これあげてもいいにょ?」
鳥さんはプリムヴェールに小さな赤い宝石を銜えて渡した。
「これ、とりさんがおれいにあげるっていっているにょ☆」
プリムヴェールはその宝石を受け取るとリクの手に渡す。
「え? いいんれすか?」
始めは驚いているようだったが、リクはとても喜んでいた。
こうしてリク・ワイアンドとプリムヴェール、リアは仲良くなったのであった。
その後、町へと戻っていったリクを見送り、一度リアとプリムヴェールは戻ることにした。
「鳥さんは怪我をしていました~。それに……ヒナさん……いえ、鳥さんの子供もいました~」
「とりさんわるくないにゃ! とめるにゃ!」
プリムヴェールのその言葉にリアは頷いた。先ほど、鳥さんに隠れていたのだが、ヒナがいたのだ。
「行きましょう~。プリム様」
「やるにゃ~!」
そして二人は仲良くアジトの方へ向かっていった。
そして、数時間後。
「にょ? にょ? ここ……どこにょ?」
気が付けばプリムヴェールは一人だった。
「にーちゃ? にー……」
思わず兄を呼んだが……ケンカをしてしまったことを思い出した。
「りあねえ? りあねえ?」
誰もいない。荒れた土地。側にはあの大きな鳥と。
「にょ?」
両手で握っているのは見たことのない青い短剣。ぽたりと、プリムヴェールの涙が短剣の上に落ちた。
「ぷりん、おうちにかえりたいにゅ……」
側にいた鳥さんがプリムヴェールの側にいたが、しばらくすると飛んでいってしまった。
「そこにいるのは誰じゃ?」
そこに現れたのは一人の老婆。頭から布を被っている典型的なアラビス人でもある。
「おや、かわいい子供じゃないか……どうかしたのか?」
「にーちゃとりあねえと……みんなのおうちにかえりたいにゅ。でもかえれないにゅ……」
ぽろぽろと涙を零す。
「ははあ、迷子じゃな。そうじゃ、あたしの家に来るかい? ここでは人も少ないからね。あったかい食べ物も作ろう」
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