親父様とまじかる☆すとーん

秋原かざや

正義 第1回 親父様とゆかいな仲間達?

 ここはサンユーロ城。時間は少し遡り、グラード王の玉座のある部屋の廊下に一人の少女がいた。
「聞きましたわ……聞きましたわよ、わたくしのこの耳で鹿と……こほん、しかと聞きましたわ……」
 つり上がった深い青色をした瞳をキラキラと輝かせ、素晴らしく整った蜂蜜色の縦ロールの髪を自分の手でぽんと後ろへ弾ませた。
「そう! あの子のまじかるすとーんはわたくしが見るためにあると確信しましたわ! こうなったら、急いで追いかける準備をしなくては!」
 少女はどこからともなく、小さな金のベルを取り出した。
 ちりん、ちりん。
「お呼びでしょうか? 姫様」
 そこへ現れるタキシード姿の老人。白い髪で目が見えないが、白いチョボ髭が彼の顔を彩っている。どうやら少女の召使いを勤めているようだ。
「セバスチャン、大至急、旅の準備よ! わかりまして?」
「はい、かしこまりました」
「さあ、忙しくなりますわ」
 二人は颯爽とその場を去ってゆく。
「おい、さっきの……」
 そこを通りかかった警備兵、二人。
「ああ、間違いなくアディ姫様……」
 と、そこへ王の呼ぶ声が響いた。
「はい、ただ今!」
 二人の警備兵はすぐさま王の所へ駆けてゆく。
 そう、あのセバスチャンを呼んだのはまぎれもなく、グラード王の第三王女、アドリアーナ・エル・サンユーロであった。




 さて、その翌日。まだダズ達が寝ている早朝のことである。一足先にシルム町に向かう一人の少年がいた。小柄で細身の少年の手には何故か、水鉄砲を持っていた。
「見習いだからとこのようなものを渡されても……襲われたら対抗できないような気もするんですが……」
 とことこと歩きながら、呟くこの少年の名は草壁誠くさかべ・まこと。ジャパネ出身の竜騎士見習いだ。竜騎士とは兵科区分の一つで、騎兵に銃器を持たせ、機動力と射撃能力を兼ね備えた兵のことを指す。なお、彼は見習いのため、馬もなく、銃器もお粗末な水鉄砲と……。
「麻酔銃……馬なら倒れる程度のが6発分……」
 ちなみにこれはこっそりと借りてきた物なので、補充の弾はない。銃に入っているのだけである。
「これで何とか出来ると……いいのだけれど」
 ふと爽やかな青空を見上げた。
「それよりも、親父様……偵察が終わるまで待っていてくれるかな?」
 多少の不安を感じながらも、誠はシルム町へと足を進めるのであった。


 一方、心配されている親父様一行は。
「ふう、今日は朝と昼が一緒だね」
 宿屋のマスターから貰ったミルクを穏やかに飲むのはユーキ。
「あ、あの……やっぱり私、起こしてきます」
 隣で立ち上がるライアを。
「こてんぱんにやられてお煎餅」
「は?」
「前に僕が起こしに行ったらそうなった」
「………」
「僕はライアちゃんのお煎餅姿、見たくないな……」
「……わかりました、もう少し待ちますね」
 大人しく座り直すライア。
「あ! お兄ちゃんだ!」
 ぱたぱたと銀のおかっぱ頭の幼い少女がユーキに近寄ってくる。
「新しいお姉ちゃんといっしょー!」
「あれ? エア?」
 ユーキが少女、エアに声を掛けた。エアはライアに抱きついて頬をすりすりしていた。どうやら、気に入ったようだ。
「エア。駄目よ、そんなことしちゃ? 困っているでしょう?」
 エアと呼ばれた少女の後からもう一人。ワインレッドのむっちむちボディコンスーツを着こなす美しき女性が現れた。長くシャギーの入った銀髪とアイスブルーの瞳はエアと同じであった。そう、二人は……。
「ごめんなさいね、ユーキ。うちの妹が迷惑かけたわね」
 そう、姉妹である。ずいぶん年の離れた姉妹であるが。
「いいえ。それよりもアリアさんもこれからエアとお昼ですか?」
 にっこりと笑みを浮かべるユーキ。
「あの、ユーキさん。この方は?」
 ライアがおずおずと尋ねる。
「ああ、この人はここの常連さんで僕たちのことをよく知っている……」
「アリアノール・ウィンダムよ。サンユーロでホステスをしているの。よろしくね」
「ホステス?」
「夜の酒場でお客様の接待をする仕事よ。もっとも最近始まったばかりの、出来立てほやほやな仕事で、知っている人も限られてはいるけど」
 そう言ってアリアノールは苦笑した。
「この町に帰ってきているなら知らせてくれればいいのに。……ところで、親父様の姿が見えないようだけど……まだ寝ているのかしら?」
 ユーキ達の座っているテーブルに座り、注文を取るアリアノール。ちらりちらりと見える胸の谷間が周りの男達の視線を集めているようだ。
「う、う~ん。たぶん、もう少しで起きてくると思うんだけど」
「そういえば、その子は? 珍しい髪の色ね? 染めているの?」
「あ、いえ、その……」
 あたふたと俯くライア。
「あら、いけないこと聞いちゃったかしら? ごめんなさいね」
「僕たち、これからシルム町に行くんだ。山賊を倒しにね」
 あたふたするライアに助け船を出す、ユーキ。しかしそれは。
「あら、面白そうじゃない。最近刺激がなくて退屈していたところだったのよ」
「エアもー」
「エアはお留守番。学校はどうするの?」
「ええ~、エアも行きたい~、行きたい~」
「いい子でお留守番していたら、エアに好きなお土産持ってきてあげるんだけどな」
「う……エア、お留守番してる」
 どうやら、好きなお土産に釣られたようだ。
「と、いうわけで、一緒にいってもいいわよね? ユーキ?」
 にっこりと微笑むその手には何故か鞭が握られていた。ユーキは大人しく、首を縦に振るしかなかったようだ。


「で、仲間が増えたというわけか?」
 お腹一杯でご満悦なダズ。ダズ一行はアリアノールを仲間に加え、その足で乗合馬車に乗り込むところだった。
「おねえちゃーん! お土産、待ってるね!」
 遠くでエアが手を振っている。その隣にはエアを預かるシスターの姿が。
「ちょっとごめんなさい」
 そう言ってだぶだぶの白衣を着た少女が親父様達の乗る乗合馬車に乗り込んできた。肩までに揃えられたハニーブロンドと大きな青い瞳が印象的な少女だ。彼女の名はリルティーシャ・クレメンス。彼女の手には白い鞄が握られていた。しかもかなり丈夫そうである。彼女の鞄の中身はシルム町に届ける大切な薬が入っているのだ。それを大切そうにリルティーシャは膝の上に乗せた。
「おじいちゃん……大丈夫かな……」
 離れゆくサンユーロ城下町を名残惜しそうに見つめるリルティーシャ。
 そして馬車がゆっくりと出発する。
 はずだった。


 がっくーん!


 急に馬車が止まったのだ。
「きゃあ!」
 お陰でリルティーシャがぽてーんとダズのお腹にぶち当たった。
「ごごごごご、ごめ、ごめんなさい……」
「なあに、これくらいどうってことないわ」
 かっかっかと笑うダズ。
「それよりもどうして急に止まったんだろう?」
 ユーキはひょこっと窓から首を出した。
「ああん☆ やっぱりダズ様~☆」
「げっ……」
 思わずユーキは呟いた。
 強引に馬車を止めた張本人。褐色の肌に黒く長い髪をポニーテールにしている女性。その名も……。
「おお、確かニーナとか言ったおなごじゃな?」
「きゃあ☆ さっそく名前を覚えて下さるなんて☆ ニーナ、う・れ・し・い☆」
 馬車に飛び込みダズに抱きつき、キスを浴びせるのはニーナ・タムダットその人である。アリアノールと対を張るほどの色っぽい露出度満点な服を着ているのは、踊り子だからだ。
「何だか賑やかになってきたわね」
 アリアノールが呟く。
「は、はい……」
 思わずリルティーシャがそれに頷いた。
「宿屋のおじさんから教えて貰って、ここまで来たんです。間に合って良かった☆」
 そしてニーナは、びったりダズにひっついている。
 と、何かがダズの頭に乗っかった。
「あ、アレって……」
 ユーキが何かを言おうとしたとき。


 どっかーん!


 爆発。馬車の中は煙でいっぱいになった。爆発と言っても辺りを吹き飛ばす程ではなかったようだ。
「あの煙玉……もしかして……」
「さ、山賊!?」
 リルティーシャが思わず叫んだ。
「お? 嬢ちゃんも山賊の話を知っているのか?」
 腕に煙りまみれになったニーナを巻き付けながら、ダズはリルティーシャに尋ねた。
「わ、私、これからシルムの町にこの傷薬を運ぶところなんです。山賊に襲われて必要になったからと注文を受けて……」
「それなら、ワシが倒しに行くぞ?」
 思わず出てくるその言葉。それに驚き、何度も瞬きをするリルティーシャ。
「私も! あの、私も手伝わせて下さい!!」
 リルティーシャはいつの間にかそうダズに告げていた。
「何だかもっと賑やかになりそうだね……」
 ユーキはふうっとため息をつく。
 こうしてやっと、馬車は動き始めた。




 ぱたぱたと軽快に走るのは舞姫。
「ダズ様の……ばか……」
 ぽつりと呟く。うっすらと涙が浮かんでいるのは気のせいだろうか?
 と、舞姫の足が徐々にスピードが下がっていた。しまいにはふらふら~と近くの木に寄り掛かってしまった。
「お、お腹が……や、やっぱり悪口を言ったからバチが当たったんだわ……」
 くううとお腹を押さえて舞姫はしゃがみ込んでしまった。
「ど、どうしましょう……。お腹に効く薬を持っていないし……」
 はっきり言ってヤバイ状況だ。
「おや? あんなところに人がうずくまっています」
 背の高い旅人風の青年が舞姫の後ろからそっとやってきた。一つ気になるのは緑ずくめの服装をしていること。
「あのう、どうかされましたか?」
 鼻に抜けるような軽い、青年の声が舞姫にかけられる。
「ひゃあ!」
 びくんと立ち上がり、ぱたたたーと駆け出そうとするが……舞姫はその途中で倒れ込んでしまった。
「元気……じゃなさそうですね?」
「……」
 顔を真っ赤にさせながらうずくまる舞姫。
「お腹が痛いんですか?」
 お腹を押さえる舞姫を見て、青年は尋ねた。
「……」
 真っ赤な顔のまま、頷く舞姫。
「ボク、お腹にいい薬を持っています。これを飲めば……ってあれ?」
 気づけば舞姫は気絶していた。
「あの~、もしもし?」
 返事がない。完璧に気絶している。
 青年はぽりぽりと頭を掻いて。
「まずは薬を飲ませて、落ち着ける場所まで運びましょう」
 青年は舞姫に薬を飲ませ、ひょいっと抱きかかえ、別の場所へと移ったのであった。


「あの……」
 もぞもぞっと青年の緑のジャケットが動いた。そこからそっと目の辺りだけを出して様子を伺うのは舞姫だった。
「大丈夫ですか? もういいのですか?」
「は、はい」
 こくんと頷く舞姫。
「そうですか、本当によかった。あ、ボクはミカエルといいます。君は?」
「わ、私は……舞姫と……いいます」
 恥ずかしそうにジャケットを被り直す舞姫。
「先程は、助けていただきありがとうございました。い、今は急いでいます故、ここで、失礼させていただきます」
 そそそーと舞姫は手にしていたジャケットを返した。
「ほ、本当にありがとうございました!」
 大きく頭を下げて、舞姫は一瞬で消えた。いや、本当は素早く移動しただけなのだが。
「あれまぁー見事だこと……ん?」
 渡されたジャケットの内ポケットが何故か重い。そのポケットから出てきたのは綺麗に磨かれた手裏剣だった。微かに感じる花の香りがミカエルの鼻を撫でてゆく。
「舞姫さんって忍者さんだったんだ……あ、これ返さないと」
 ミカエルは大事にまたジャケットの内ポケットに手裏剣をしまった。
「まずは近くの町に行ってみよう」
 そうしてミカエルは歩き始めた。


「お! やっと追いついたでヤンス!」
 しゃたたたーと走る飛脚その一、後仁立三うしろに・たつぞうが目的である舞姫に追いついたのは、ミカエルと出会った後の事だった。
「ではさっそく……」
 舞姫の後ろに周り、耳元にふうっと息を吹きかけた。
「きゃああああああ!」
 一際大きく響く舞姫の声。ばさばさと森で休んでいた鳥達が飛び立ってしまった。
「あ、これはもうしなくても良かったんでヤンスよ」
 気づいたときには遅い。そこには泣きそうな顔で手裏剣を構える舞姫の姿があった。と、その手が下ろされる。
「て……違いましたわ。確か今は後仁立三さん……」
「そうでヤンス! お久しぶりでヤンスねぇ」
 逃げはしないものの、距離を置いてしまうのはまだ慣れていないからか? 舞姫は深呼吸をした。
「えっと……会えて嬉しいのですが……手裏剣返して下さいね?」
 舞姫はその白い手を立三の前に広げた。
「むう、流石は舞姫ちゃんでヤンス。オイラのスリに気づくとは、ビックリでヤンスわ。でもスッたのはこれでヤンスよ」
 そう言って取り出したのは……。
「あっ!」
 可愛らしいフリルの付いたエプロン。
「後、これとこれ……」
 煙玉と竹で出来た水筒も出てきた。
「か、返して下さい」
 ばばっと奪うように三つの物を持ってゆく舞姫。特にどうやらエプロンが恥ずかしかった様子。顔がいつの間にか真っ赤になっている。
「も、もう駄目ですからね……。いくら幼なじみでも、人の物を黙って取るのは、行けないことです」
「舞姫ちゃんも人が来たら武器を投げるの、止めた方がいいでヤンスよ……」
 その言葉に二人はしばし無言になる。
「そ、それよりも……何か用があって来たんじゃないですか?」
「んー用って程でもないでヤンス。ただ舞姫ちゃんの顔を見に来ただけでヤンスよ。近くまで来ているって聞いて」
「ならいいのですが……あ、私、急いでますのでこの辺で……」
「あ、待つでヤンス!」
 ぐいっと立三が舞姫の肩を掴んだ。びくんと肩をふるわせる舞姫。
「ま、まだ何か?」
「ゴミでヤンス。ほら」
 そう言って立三は舞姫の長い黒髪から白い綿埃を取り出した。
「ではまた後ほど」
 そう言い残し、舞姫は去っていった。
 舞姫の気配が遠くへ行ったのを感じながら立三はゆっくりと息を吐いた。
「あ、危なかったでヤンス。もう少しで取り逃すところでヤンした」
 立三はおもむろに懐から一本の巻物を取り出した。そこにはグラード王が直々に書いた伝承の巻物が握られていた。
「でも惜しいことをしたでヤンス。愛用の『後ろに立つための心得 その5』を代わりにしたのはもったいなかったかもしれないでヤンス……」
 そう言って立三は遠い目をした。目の端にうっすらと涙が見えるのは気のせいだろうか。
「おっと、こうしてはいられないでヤンス! 一刻も早くこれをユーキに渡さないと!」
 立三も急いでその場を去った。


「今日はいろんな人に会います……」
 舞姫はまだ走っていた。そう、親父様ことダズに大切な巻物を渡すためだ。
「わー! お姉ちゃんも足早いね!」
「!」
 突然かけられた少年の声に舞姫は目を白黒させた。


 ぼむん。


 さっそく煙玉で目くらましをし、逃げる舞姫。その場には声をかけた少年だけが残された。彼の名は御子柴康介みこしば・こうすけ
「けほん、けほん……す、すごいや~。さっきのお姉ちゃん煙を出せるんだっ!」
 康介の手に握られているのは、飛脚箱をくくりつけた大切な棒。そう、彼も飛脚である。だが、その幼さ故にまだ見習いではあったが。
「って、あれ? お姉ちゃん、どこ行っちゃったんだろう? もうどっか行っちゃった」
 きょろきょろと辺りを見回す康介。辺りは少し煙が漂う道ばかり。
「あ、そうか! これって新しい鬼ごっこなんだ!」
 少年よ、それは断じて違うと思うぞ。
「よーし、じゃあ次はオイラが鬼だね!」
 じゃりっと土を踏みしめた。
「よーい、どん!」


 ばびゅーん!


 あっという間に康介は空に飛んでいってしまうような勢いで道を駆けていった。その先はあのシルムの町であることはいうまでもない。




 一方。ダズ達を乗せた乗合馬車はようやく目的地であるシルム町に辿り着いた。
「もう、馬車の移動も楽ではないわね」
 肩をこりこり鳴らしながらアリアノールはそう言いながら馬車を降りた。
「あら☆ 見て下さいまし、ダズ様☆ 目の前に宿屋がありますわ。もう日が暮れていますから、ここで泊まってはいかがでしょう?」
 にこやかにダズの腕に未だにくっついているのはニーナだ。
「おお、それもそうじゃな。よし、ユーキ。今日はここで泊まるぞ!」
「はいはい。あ、ライアちゃんはどうする?」
 急に話を振られ、驚くライアだったが。
「あ、ご一緒させていただきます。明日は町を案内しなくてはいけませんから」
「……そう、わかった。じゃあ、一緒に泊まるんだね」
「はい」
 元気良く頷くライア。と、その隣でおずおずと手を上げるのはリルティーシャだった。
「あの、私も一緒に泊まってもいいですか? 一人は心細いんで……」
「おう、構わんぞ」
 ダズはぱむんとリルティーシャの頭に手を置いた。それに嬉しそうにリルティーシャが微笑む。
「あっと、それともう一つ……。お薬届けに行っても良いですか? すぐそこなんで、早く届けたいんです」
「わかったわ。リッティちゃんの分の部屋も取っておくわね。安心していってらっしゃい」
 アリアノールが微笑んでリルティーシャを促した。リルティーシャはまた笑顔で頷くとだぶだぶの白衣をはためかせて、暗くなる町の中を走っていった。
「一人で大丈夫かな?」
 ふとユーキが呟いた。
「心配なら私が後で迎えに行くわ。私にはこれがあるから」
 そう言ってアリアノールはどこからともなく鞭を取り出した。
「おーい、早く宿に入るぞ!」
「はーい!」
 こうしてダズ御一行は宿に入っていったのである。
 と、その後で。
「まあ、ここがシルム町ね? 何だか城下町よりも活気がないのは気のせいかしら?」
 ゴージャスで快適そうな素晴らしき馬車が止まった。そこから降りてくるのは一人の少女。それは紛れもなく。
「セバスチャン、まずはここに宿を取ることにしますわ。手配して」
「かしこまりました。姫様」
 アドリアーナの到着である。
 おや? その後ろで見知った人物が。
「お姉ちゃん、ここだっ!」
 がこんと店の側にある箱を開けた。そこには何も入っていない。そう、たぬきの宝箱というものだ。つまり空箱である。
「むう、お姉ちゃん、かくれんぼも得意なんだね……でも、オイラは負けないよ!」
 彼は先程の康介である。いつの間にやら、もうシルム町に着いたようだ。
「ぜっっっっったい! 見つけるんだから!」
 いつの間にか目的がずれているような気がするのは気のせいだろうか。どうやら今夜も騒がしくなりそうである。


「遅くなってごめんなさい」
 薬を届けて戻ってきたリルティーシャがぺこんと頭を下げた。
「あら、それほど経っていないわよ。それにあなたが謝ることはないわ。ね、ライアさん」
「はい」
 ここはアリアノールを筆頭に女性陣が泊まる部屋である。ライア、アリアノール、リルティーシャ、そしてニーナが泊まる部屋であるが、ニーナは今、出かけていない。
 こんこんと、ノックの音が響く。
「はーい、どなたですか?」
 扉の側にいたリルティーシャが声を上げた。
「ユーキです。あの、果物貰ったんで持ってきました」
 そう言ってリルティーシャの手を借りて入ってきたのは果物を両手一杯に持ってきたユーキだった。
「あら、こんなにいっぱい?」
「さっき薪割りの手伝いをしたら、お礼にって貰ったんです。親父様はもう寝ちゃってるし……僕ひとりじゃ食べきれないから」
 そう言ってユーキは苦笑した。
「わあ、美味しそう」
 ベッドの脇に置かれた小さなテーブルに果物が置かれる。
「ユーキ、探したんでヤンス」
 音もなく立三が突然ユーキの後ろに立っていた。
「きゃあ! ノックも無しに誰!?」
 リルティーシャが大いに驚く。
「あ、怖がらないで。この人、僕の知り合いですから。こうやって人を驚かすのが趣味なんです」
「そんな言い方ってないでヤンスよ~」
 ほろほろと涙を流す立三。
「で、立三おじさん、僕に何の用?」
「お、おじさんは止めて欲しいでヤンス~」
 そう言って立三は本題に入ろうとした瞬間のことだった。


 ばったーん!


 突然、ノックも無しに部屋のドアが開かれた!
「見つけましたわよ、ダース・レンシート!」
 入ってきたのはアドリアーナだった。
「あら、残念。ここに親父様はいないわよ?」
 アリアノールがそう告げた。
「……そのようですわね。まあいいわ。それじゃあ、ライアって子はどなた?」
 ぐるりとアドリアーナが部屋を見渡した。
「あの、私ですけど……」
 きょとんとした表情でライアが手を上げた。
「まあ、あなたがライア? わかりましたわ」
 うんうんと一人で頷き、ライアの元へ。そしてアドリアーナがした行動は……。


 めりっ!


 突然ライアの服の胸元を開いた。そこには美しく輝く赤い石がはめ込まれてある。そう、それがライアの持つまじかるすとーん。
「あっちゃー」
 ぺちんとユーキは自分の額を叩いた。
「ふうん……こういうモノですのね。まじかるすとーんとやらは。もう、よろしくってよ、ライア」
 アドリアーナは何事もなかったようにそう言い放つ。
「ま、まじかる……すとーん?」
「ねえ、まじかるすとーんって、どういうこと?」
 その言葉にユーキは苦笑した。
 この日、四人にまじかるすとーんの秘密が漏れたことは言うまでもない。そうそう、立三のもくろみも潰えたことも併せて記しておこう。




 そうそう、一人出かけていたニーナだが。
「まあ、お兄さん、素敵な筋肉☆ 惚れ惚れしちゃう! ……ダズ様には劣るけど」
 最後の言葉はニーナの隣にいる逞しいお兄さんの耳元には届かなかったようだ。ニーナはこうして一人、宿屋の近くにある酒場でヨイショしながら、情報を集めていた。
「で、お兄さんは何を教えてくれるの?」
 ぬらぬらと迫り来る猛獣のような……いや、きらきらと麗しいその吸い込まれるような瞳でニーナは続けた。
「あ、ああ。俺が聞いた話なんだが、どうやら山賊……ほら、最近シルム町を襲う山賊達がいるだろ? アイツ等、自分たちのアジトに不思議な石を大事にしまっているそうだ」
「不思議な石?」
 ニーナはその言葉に眉を潜めた。
「もしかしたら、あの伝説のまじかるすとーんかもしれないなっ!」
 そう言ってお兄さんは豪快に笑った。
 と、その後ろで何やら話し声が聞こえた。
「またやられたのかい?」
「ああ、人形師に作らせた特別製のカカシでも効かなかったんだ」
 その話しにニーナも加わる。
「山賊ですか?」
「いや、山賊ならある物、皆持っていくさ。だが、ヤツは違う。一番上等な物しか取っていかないのさ。ある意味、山賊よりもやっかいな生き物だよ。もっともヤツの姿を見た者はまだいないがね」
「野生の生き物……?」
 農夫達から聞けたのはそれくらいだった。
「山賊の持つ不思議な石と、怪しい生き物……これって何かあるのかしら? とにかく、さっそくダズ様にお知らせしなくっちゃ!」
 善は急げと勘定を済ませ、すぐさま宿へ戻った。そしてニーナは気づく。ダズがもう寝てしまったことに。




 そして、波乱の夜が過ぎ、翌日。
「ああん、ダズ様~☆ まだかしら~ん?」
 早く情報を伝えたいニーナはうろうろと宿屋の1階にある食堂で歩き回っていた。
「もう少し落ちついたら? もう少しで起きてくるわよ」
 アリアノールが落ちついた口調でニーナを落ちつかせようとする。
「朝がまだだから、お腹減っちゃった……」
 くーっと小さなお腹の音を立たせながら、リルティーシャは呟いた。
「おじいちゃん、大丈夫かなぁ……」
「セバスチャン、おかわり」
 その側でアドリアーナが紅茶のおかわりをしていた。
 どうやら翌日になっても騒がしいようだ。
 と、外から賑やかな声が聞こえた。
「あら、なにかしら?」
 アリアノールを筆頭に好奇心旺盛な彼女たちが外を覗き込んだ。
「や、止めて下さい」
「こ、困りますわ~」
「いいじゃねえかよ。重そうだから俺らが持ってやろうって言ってんだぜ? 感謝しろよな?」
「そうそう」
 二人の少女が大きな荷物を持ちながらガラの悪いお兄さん達に言い寄られているようだ。少女達の荷物から煌びやかな衣装が見え隠れしている。どうやら彼女たちは旅の一座のようだ。アリアノール達が店を出て彼女たちを助けようかと思ったその時。
「待ちな、あんた達」
 やってきたのは燃えるような赤い髪をなびかせた背の高い女性。
「あの人……どっかで見たような……?」
 それを見たニーナが声を出した。
「カマラ姉さん!」
「大丈夫だったかい? 全く、ウチの可愛い妹たちに何をしようとしたのか……」
 そういってキッと睨む女性、カマラ。そう、彼女の名はカマラ・アンダーソニアだ。
「あっ! カマラ姉さん……そうよ! カマラ姉さん!」
 そう叫びニーナは飛び出した。
「カマラ姉さん~!」
「えっ? あんた……もしかしてニーナ?」
「きゃああ☆ 久しぶり! カマラ姉さん☆」
 ニーナはカマラに抱きついた。
「ちょっと、苦しいよニーナ」
「あ、ごめんなさい……」
「で、彼女は誰なの?」
 店から出てくるダズ様御一行。代表してアリアノールがニーナに尋ねた。
「あ、こちらはカマラ姉さん。姉さんと言っても血は繋がっていないの。何て言うか一座の呼び名っていうか……それで、昔、カマラ姉さんの一座と一度旅したことがあって……」
「そこで知り合ったって訳さ」
 カマラはそういって白い歯を輝かせた。
「カマラ姉さんは私の憧れの人なの」
 嬉しそうにそう告げるニーナ。
「何年ぶりかな? やんちゃなニーナがこんなに女らしくなるとはな……」
「やだ! もう、カマラ姉さんったら!」
「ははは、やっぱ変わってない」
「……おーい」
 遠くでガラの悪い兄さんが声を掛けた。
「まあ、立ち話も何ですから、ここの食堂でお昼を食べながらいかがですか?」
「あら、リルティーシャ。いいことを申しますのね。わたくしもご一緒させていただきますわ」
「カマラ姉さん、ここの食堂。なかなか美味しいんですよ!」
「へえ、楽しみだな。あ、妹たちは先に一座に戻って、団長に伝えてくれないかな?」
「はい、わかりました。姉さん」
 一座の少女の二人は頷き、ぱたぱたと去っていった。
「おい待てやっ!」
 しびれを切らしたガラの悪いお兄さん達。とうとう堪忍袋の緒が切れた。
「あの~皆さんも一緒に食べますか?」
 リルティーシャが恐る恐る尋ねたが。
「いらんわっ! もうこうなったらおまえ達をめっためったのぎったんぎったんにしてやるっ!」
「おい、野郎共、女だからって容赦しなくていいからな」
「ひっどーい! 何よそれ!」
 ニーナがぶーぶーと文句を言う。
「わたくし、後ろで応援させていただきますわ。セバスチャン、椅子を用意して」
 ちりんとベルを鳴らしながら、アドリアーナはセバスチャンを呼んだ。
「仕方ない、自分で火の粉を払うとしようか」
 カマラはガラの悪いお兄さん達の方へ向かって構える。
「それなら私も微力ながら助太刀させていただくわ」
 アリアノールが鞭を取り出し、地面を心地よく打ち付けた。
「び、ビビってんじゃねえよ……」
 ビビっているのはお兄さん方だ。それはさておき。こうして戦いの火蓋が切って落とされたのである。


「うらああ!」
 お兄さんAがカマラに飛びかかった。
「遅い!」
 それをひらりと躱すカマラ。と、その長い足でお兄さんAを蹴り飛ばした。
「ステキです! カマラ姉さん☆」
 ニーナの目はいつの間にか星マークに変わっていた。
「まずは、一人……だね」


「で、私のお相手は誰?」
 そう言って着ていたジャケットをリルティーシャに預けるアリアノール。ジャケット一つ無くなっただけで露出度が80パーセント上がったのは気のせいだろうか? 流石はホステスさんというところか。
「うおおお! む、鞭なんて恐くねえ!」
 お兄さんBはナイフを持っている。
「そんな物を人様に向けては駄目よ? 悪い子にはお仕置きが必要よね」
 アリアノールはそう言って魅惑の笑みを浮かべた。お兄さんBはその笑みに一瞬、手が止まった。
「隙あり!」
 それを逃さずアリアノールは鞭をふるう。
「ぎゃあ!」
 手に当たった鞭はお兄さんBのナイフを落とすことに成功した! お兄さんBは落ちたナイフを急いで取ろうとするが。
「あら、ごめんあそばせ」
 その前にアリアノールがナイフを踏みつけた。
「ちっ……。こうなったらアイツを呼べ!」
 お兄さんBの言葉にお兄さんAは頷き、奇妙な縦笛を吹いた。
 ぴんぴろりーら、ぴろりろり~♪
 それはもう、耳に染みつく嫌なメロディ。一度聴いたら一週間は頭を巡るほどの芸術作品でもあった。
 と、その音の後からどすんどすんと地面が揺れるほどの音がカマラ達の方へ近づいてきた。
「何か呼んだか~」
 そこへ現れたのは3メートルほどの高さで、樽ぐらいのお腹をした大男だった。
「げ、マジか……」
 構えていたカマラが思わず呟いた。
「ちょっとこれは反則ではなくて……?」
 流石にアリアノールもたじたじだ。
「どうする?」
「どうすると言っても……あの巨体では流石に、私の自慢の鞭でも自信がないわ」
「でも、やらなきゃ……」
「やられるわね」
 アリアノールとカマラが頷いた。


「あら、優雅でない者が出てきたようですわね……」
 紅茶を飲みながら応援(?)していたアドリアーナが眉を潜めた。と、後ろから肩を叩く者が。
「おい、こりゃ何が起こってるんだ?」
「あら。こちらにも秘密兵器がありましたわね」
 楽しそうにアドリアーナは状況を説明した。多少オーバーに。


「きゃあ、な、何?」
 リルティーシャの背中に何かが当たった。
「あ、ごめんなさい。よそ見してたら、ぶつかっちゃった。大丈夫? おねえちゃん」
 そこに現れたのは未だに舞姫を追っていた康介。と、もう一人。
「か、カエル……」
 リルティーシャが言うのも無理もない。康介の後ろにいたのは先程町に着いたばかりのミカエル。そう、先程は触れなかったが、ミカエルの外見はまるでカエルを人間にしたような外見でもあったのだ。
「あ、ごめんなさい。その……」
「いえ構いませんよ。それよりもこれはどうしたんです?」
 ミカエルは優しい口調でリルティーシャに尋ねた瞬間……。
 どかっ!
 大男の拳が地面にめり込んだ。アリアノールとカマラはもう少しでぺちゃんこになるところだった。
「……詳しい状況は後ほどお聞きしますね」
 ミカエルはそう言い残し。
 大男の第二の拳がアリアノールを捕らえた瞬間。
 どっかーん!
 煙の晴れたその拳の先には何もなかった。
「お怪我はありませんか?」
「え、ええ……」
 なんとミカエルがアリアノールを抱えて避けたのだ。
「何があったのかは存じませんが、ご婦人方にこのような暴力を与えるようなこと、ボクには許せません」
 そう言ってミカエルは背中に付けていた棒を取り出し構えた。
「これ以上なさるおつもりでしたら、このボクが相手をしましょう」
「うるさい~」
 と、大男がまた拳を振り上げた時だった。
「ちょっと待ったぁ!」
 と、聞き覚えのある声が。
「ここからはワシも加わろう。いいじゃろ?」
 そう言って帯を締め直すのはダズだ。大男よりも1メートルほど背が低いが、それでも圧倒される何かがある。きらりと頭が陽の光りで煌めいた。
「きゃあ! やっぱり、ステキ☆ 私の見込んだナイスガイだわ、ダズ様~☆」
 後ろでニーナが騒いでいる。
「食前の運動にいいじゃろうて」
「親父様、早く済ませてね。僕達、腹ぺこなんだから」
 親父様の後ろにはいつの間にかユーキがいた。ライアもアドリアーナと一緒にお茶を飲んでいるようだ。
「どうやら、形勢逆転のようだな」
 カマラがそう告げた。
「ま、まだまだよ!」
 お兄さんAはまだやる気のようだ。
「どーれ、ワシがお相手しようかの?」
 むんと振ったその腕から。
 ぶうん。
 と重く風を切る音が聞こえた。
「はっ!」
 ダズがそう言ってお兄さんAに飛び込んだときだった。
 がっきーん!
 鈍い衝突音。
「あーん、せっかく磨いた鎧に傷がついちゃったじゃないのよ~」
 そこに現れたのは。
「オルフィスのおじさんだ!」
「ちょっと~ワタシのどこがおじさんなのよ~」
 むっとしながら鎧を着込んだ騎士、オルフィスがユーキに睨みをきかせる。どうやら、オルフィスの身に付けていた小手でダズの飛び込みを阻止したらしい。
「なんじゃい、またお前か……」
 不機嫌そうにダズはそう言った。どうやらダズとオルフィスは知り合いのようだ。
「そうよ。悪い? どうやら今回はワタシ達の方が悪かったようだし。ほら、アンタ達、まずはご婦人方に頭を下げる!」
「すみませんでしたー」
「ごめんなさいー」
「ごめんよ~」
 三人のお兄さんは一斉に頭を下げた。実は本当に悪い人……でもないようだ。
「それからワタシに報告してくれたオウコにも!」
 そう言ってオルフィスの隣にいる若い忍者を指差した。
『ごめんなさいー』
 三人の息はぴったりだ。しかも素晴らしくハーモニーになっている。
「はい、これでこの騒動は終わりね。いいかしら?」
「良くないわっ! ごめんで済むならワシらは来ないわ! 町を荒らすのはその山賊たちだろう? 何故お主は味方するっ!」
「そうね……町を襲っていたことはワタシも許せないと思うわね。で・も」
 そう言ってオルフィスはその指をダズの鼻に突きつけた。
「襲うからと言ってすぐさま成敗してしまうのはどうかと思うわ」
「なんじゃとっ! お主、気は確かか!?」
「人を襲うからと熊や狼を撃つのと同じ事よ。鍛えるのも良いけど、たまにはその頭で考えてみたらどうなの。……それともワタシと戦うって言うのかしら?」
 オルフィスはにやりと笑みを浮かべた。
「上等じゃ! ワシが勝ったら山賊は役場に突き出す、いいなっ!」
「相変わらず強引ね。分かったわ。もしワタシが勝ったら……アナタの代わりにまじかるすとーんを探すわ。いいわね?」
「望むところじゃ!」
「それじゃあ、場所は……そうね、この子達のアジトで、ならどう?」
「うむ、よかろうて」
「商談成立。じゃあ、明日のこの時間にアジトで。待っているわよ、ダズ……」
 そう言ってオルフィス率いる山賊達はさっさと山の方へと去っていった。
「ねえ、親父様。一応訊くけど……山賊のアジトの場所、知っているの?」
 ユーキが冷たくそう尋ねた。
「分かっておるわい、こっちの方角じゃ!」
「で、場所は?」
「……こっちに真っ直ぐ行けば辿り着くはずじゃ!」
「……素直になったら? 全然分からないって」
「……くう、無念じゃ……」
 そうがっくりと肩を落とすダズをよそに、カマラがユーキに話し掛ける。
「さっきの話だけど……まじかるすとーんを探しているって本当なのか?」
「うん、まあ、そういうこと」
「あたしも……連れていってくれないか? それに山賊が現れる道に一座が向かうんだ。その前に山賊をなんとかしたい」
 その申し出にユーキは。
「いいけど……これからアジトを突き止めるのと……良かったらでいいんだけど、親父様を明日、起こすのを手伝ってくれる?」
 そう条件を出した。


「へ、へ、へっくしょん!」
 ずびびっと鼻をすするのは誠。とてとてとシルム町に来た。いや、戻ってきたというのが正解だろう。彼は先程の偵察で、偶然にも山賊のアジトを突き止めたのだ。山の中腹で洞窟を加工して、住めるようにしたアジトを。
「ああ、暖かい紅茶が飲みたいな……じゃなくって、どうしてあのオルフィス様が山賊のアジトにいるんだろう?」
 一応、科は違うが自分よりも上位の騎士である。戸惑うのも無理もない。
「あれ? あそこにいるのは……親父様? よかった、間に合ったんだ」
 誠はこうしてダズと無事、合流を果たしたのであった。


 そして、明日は決戦の日。果たしてどうなることやら……?


■次回予告
アドリアーナ「何だかおかしな事になってしまったようですわね……」
アリアノール「向こうはきっと用意周到に待ち伏せしているでしょうね」
リルティーシャ「ええっ! 大丈夫なんですか? ああ、どうしよう……おじいちゃん、私、どうすれば……(あたふた)」
アリアノール「まあまあ、落ちつきなさい。それをフォローするために私達がいるわけでしょう。とにかくやれることをしましょう」
アドリアーナ「さて、次回は『親父様、山賊を討つ』。次回もこのわたくしが出ますから、必ず見て下さいましね!」
リルティーシャ「ああ~どうすれば~!」
アリアノール「……しつこいわよ……」











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