廃屋に潜む、闇の中

秋原かざや

浮き足立ちそうな道中

 というわけで、彼女の希望通り、トイレに行くことに。
「僕はここで待ってるから」
 そう見送って、辺りを見渡す。
 今のところ、こちらを襲ってくる霊はいない。
 まあ、僕がいるから、そんなことはないんだけど。


 って、声を掛けてくれなきゃ、怖くてトイレできないって、めっちゃくちゃ可愛すぎてヤバいんだけどっ!!


 そりゃ、周りにうようよする霊も気をつけないといけないけどさ。
 サナがいるなら、どうでもいい。
 いや、どうでもよくないんだけどさ。


 ちょっかい掛けてきた霊を一瞬で消滅させて、吸収。
 あ、これは意外と美味しかった。ごちそうさま。
 他にもいないかなと思った瞬間、ちりりと何かを感じた。


 まさか、サナのところっ!?
 振り返り、形振り構わず、トイレに駆け込んだ。
「サナっ!!」
 案の定、引きずり込まれそうになってるしっ!!
 力も使って、彼女を引き寄せる。
 これでだいじょ……うぶ……?
 今、何か、見えたような……。
「大丈夫、サナ?」
「あ、ラナさん……あ、ありがとうございます?」
 ほら、疑問系になってるし。
「……さ、サナ?」
 ぐっ!! アイツ、サナを泣かせやがったっ!! やっぱ、消すべきか!?
 けど、こいつがいるお陰で、いろいろな霊が寄ってくるんだよな。
 くそっ!! 俺が倒せないと分かってるからこそ、あんなことしてきたんだな。後で覚えておけよっ!!
「で、でも、スカートでよかったね。ズボンだったら、もっと大変なことになってたよ?」
 一応、心配そうな素振りを見せつつも、内側では怒り狂ってるのは言うまでもなく。
「ううう、どこかにショーツないですよね?」
「あるといえばあるかな?」


 というわけで、もう少しで下着ドロボーになりかけました。
 くそ、姉貴の所為だからなー!!
 でもまあ、お陰でサナから礼をいわれたし、年齢も知ることができたから良しとしよう。うん。


 そして、僕達は、再び廃屋へと入っていく。
 まあ、大人しくなるわな。
 僕がくれば、僕を知ってる霊は、活動を止める。
 ほら、奈落の穴を作って罠を張ってた、鬼畜な霊も大人しい。
 それでも、サナは怖がってるので、そっと手を握ってあげた。


(え? あれ? いつから手を繋いでたっけ?)
 そんなサナの心の声が聞こえたから、思わず。
「ここに入るときからずっとだけど?」
「そ、そうだったっけ?」
 わ、やべ。思わず声に出しちゃった。
 でも、サナは気づいていないみたいだった。
 手を繋ぐと、うっかり相手の心を読んでしまう。
 特に僕はサナのことを知りたいと思ってるから、なお更だ。
 あまり墓穴を掘らないよう、なるべく意識しないように気をつけないと。
 ほら、心を読んだら嫌がる子だっているし。


「サナ、あっちに光が見えるよ」
「いこう、ラナ君っ!!」
 サナの嬉しそうな笑顔に、僕もつられて笑みを浮かべてしまう。
 はあ、このままずっと二人っきりでいたいけど、その時間はもうおしまいのようだ。
 既に僕の『センサー』は向こうにサナの友人を感知している。
 それだけじゃない。


 あーあ、霊に取りつかれちゃって。
 ついでに、仲間と喧嘩してるし。
 あ、どーも、浅樹ラナですっと。
 一応、自己紹介しておくけど、こういうのって自業自得?
 普通なら変なことにならないかぎりは放っておくんだけど……まあ、サナの友人だから、なんとかしなくっちゃな。
 って、サナ。友人は考えて付き合った方がいいよ?
 彼ら、彼女の友達として相性良くないと思うし。
 んー、後でフォローしといた方がいいかなー?
 そう思いながら、廃屋の更に奥へと向かう、取り付かれた……えっと、トールだったっけ? 彼を追いかけたのだった。

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