廃屋に潜む、闇の中

秋原かざや

一人ぼっちになりました

 じめっと暑苦しい夜。
 こんな夜は、クーラーをつけて、アイスを食べて、涼むのが一番だ。
 だけど……私達はそうはしなかった。


「ちょ、ちょっとーっ!! これ、マジないんだけどっ!!」
 気が付けば、私は懐中電灯片手に、一人だった。
 真っ暗な通路。
 崩れたコンクリートの壁。
 そして、目に入る落書き。


『死ね』


「きゃあああああああっ!!」
 しかも赤い字でだよっ!!
 マジですか? マジですかっ!?
 ばたたたっと駆けながら、奥へ向かう。
「みんな、何処なのーっ!!」
 泣きながら、頼りになる懐中電灯を握り締める。
 本当、一番大きくて、明るい懐中電灯、買っておいてよかった。


 そう、私達は5人グループでここに来ていた。
 暑苦しいからって、こんな廃屋みたいな……ある意味ムード満点な(私はこんなムードいらない)鉄筋コンクリートで出来た大きな建物の中に入っている。
 そう、いわゆる肝試しってやつだ。
 しかも……ここ、曰くつきらしく……ううう、ぞくぞくしてきた。今は思い出さないで置こう。
 そんな中、私は……一人はぐれてこんなところに、いる。
 ここに来る前に、メンバー人数分の懐中電灯を途中のホームセンターで買っておいたのだ。
 みんなは意外とコンパクトなものを選んでいたけど、私は違う。
 電池がなくなれば、手回しで充電できるし、ライトも強い。ついでいうと、蛍光灯もついてたりする。
 みんなが大げさだって言ってたけど、今はこれが頼りだ。
 かなり明るくて、一人でも……うん、一応……平気、たぶん。
 でも、それでもやっぱり。


「誰かー助けてよーっ!!」


 叫ばずにはいられない。
 だって、私……こういうの苦手なんだものっ!!

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