私、これでも副会長なんだけど!?

秋原かざや

ど、どきどきが、止まりませんっ!!

 怒涛のような3学期を駆け抜けて。
 私達は、いよいよ、新学期を迎えました。
 私は最終学年。うううう、これからもっと忙しくなると考えるだけで、胃がキリキリしてきます。


 うわああ、綺麗な桜ー!!
 こうやって、ゆっくり学校までの坂道を上がっていくと、もっとのんびり歩きたくなっちゃう。
 だ、だが、ここで気を抜くと、えらいことになるので、注意しておきます。というか、遅刻しますってば。
 それにしても、本当、綺麗だなーーー。
 と、上を向いて歩いてたら。


 つるっ!!


 うわああ、桜の花びらで滑ったっ!?


 背中に受けるだろう衝撃を覚悟してたんだけど。
 それは、来なかった。
「あ、あれ?」
 代わりに来たのは、ぱふん。
 誰かが、支えてくれた………みたい?


「大丈夫?」
 心地よいテノールが、耳元すぐに聞こえた。
「え、あ、そのっ!! だだだ、大丈夫、ですっ!!」
 すくっと立ち上がり、私はすぐさま振り向く。
 そこにいたのは、眼鏡を掛けた、スーツ姿の男性だった。
「桜に見とれるのはわかるけど、気をつけないと駄目だよ?」
 からかうかのようにつんと、おでこをつつかれる。


 ………こここ、これって、何ですかっ!?


「ほら、早く行かないと遅刻するよ? 始業式から遅刻なんて、やりたくないよね?」
 そういって、彼はくすっと……素敵な笑みを見せてくれた。


 うああああ!! 誰コレっ!?
 私の心臓が、その、止まりませんっ!!


「あ、はい、その、ありがとうございましたっ!!」
 急いで頭を下げて、逃げるように学校に駆け込んだ。


 何だかダサい眼鏡にちょっと地味なスーツ着てたけど。
 その笑顔は、紛れもない、イケメンパワーを感じましたっ!!


 っていうか、あの人、誰なのっ!?
 知らないったら、知らないよっ!!


 そして、数分後、私は彼の正体を思い知るのです。

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