秋原版【第二回・文章×絵企画】短編集
僕と彼女の秘密の
気になる子がいる。
同じクラスで、僕の斜め前に座っている、長い髪の少女だ。その艶やかな髪を二つにまとめて、凛と佇む仕種が思わず、足を止めてしまうほど。
そんな彼女を、放課後に見つけた。
何故だか、学校の裏山に向かっているようだ。
あそこには山以外、何もないのに。
もしかして、あの山には、彼女の秘密があるのではないだろうか。
秘密。
それだけで、僕の鼓動が早くなる。
彼女との秘密を共有できるのなら、それはそれでいいかもしれない。
僕はそう思って、彼女に気付かれないよう、こっそりと後をつけていった。
彼女は僕を気づかないのか、どんどんと慣れた手つきで奥へと進んでいく。
そして、小さなほら穴を見つけた。
川が流れている、小さなほら穴の癖に、その奥は暗く、なにやら不気味に見える。
彼女は靴を脱いで、ゆっくりと歩いていく。
よく見ると川の流れは、思っていた以上に早い様だ。
僕も彼女に倣って、靴を脱ぎ、そして、川に入った。
ちゃぽん。
あっと思ったが、遅かった。
「誰?」
彼女が振り返った。
<a href="//10819.mitemin.net/i161712/" target="_blank"><img src="//10819.mitemin.net/userpageimage/viewimagebig/icode/i161712/" alt="挿絵(By みてみん)" border="0"></a>
「あ、その……」
「青木君?」
「木更津さん……」
とうとう、彼女こと、木更津さんに見つかってしまった。
「もう帰った方がいいわ」
「でも、ここまで来ちゃったし、一緒に行くよ」
そういうと、木更津さんは怖い顔をして。
「帰りなさい。私は呼ばれているから仕方ないけれど、あなたは違うもの。もしかしたら、帰れなくなるかも……」
そういう彼女の手を僕は掴んで、歩き始めた。
「ちょ、ちょっと、青木君!?」
「それは、木更津さんも、じゃないの?」
僕は続ける。
「僕は見ていたよ。ここまで来る間、何か迷いながら、歩いていた。道は分かっているけど、行きたくないって言ってるようだった。それに、ほら、今だって、君の手は震えてる」
「そ、そんなの、あなたには、関係ないっ」
ばっと手を放して、木更津さんは僕を睨んだ。
「だからさ、一緒に行こうよ。この先に何があるのか知らないけれど、一人で怖い場所なら、二人でならなんとななるかもしれないしさ」
それに……僕もちょっと下心もあったり。
この穴の先になにがあるのか知らないけれど、きっと二人なら大丈夫。
にこっと微笑めば、木更津さんは諦めた様にため息をついた。
「仕方ないわね……どうなっても知らないわよ」
すっと、木更津さんは手を差し伸べた。
「繋ぐの? 繋がないの?」
「つ、繋ぐよ、もちろん!」
やった、僕の勝利だ! 強く握って、僕はずんずん歩いていく。
そう、まるでリードするように。いや、これって、エスコートするって感じ?
得意げな顔で、僕は木更津さんを見た。
木更津さんは照れたようにそっぽを向いていたけれど、ちょっと喜んでいるようだった。
ほらね、やっぱりこうして良かった。
「ほ、本当に、なにがあっても……知らないんだから……」
そう、彼女が呟いた瞬間。
「うわっ!!」
「きゃっ!!」
突然、眩しくなって。
気が付いたら、そのほら穴から出ていた。
ついでにいうと、あれ? なんで、僕ら、靴履いてるの? さっき脱いだはずじゃ……。
「おおおおっ!!!」
「勇者様だ!!」
「勇者様が来てくださったぞっ!!」
見るからによくあるファンタジーな村人達が僕らの方に群がってくる。
「え? 勇者って、木更津さんのこと?」
「わたしだけじゃないわよ、あなたもよ、青木君」
こうして、僕と彼女の長い冒険が、始まったのであった。
同じクラスで、僕の斜め前に座っている、長い髪の少女だ。その艶やかな髪を二つにまとめて、凛と佇む仕種が思わず、足を止めてしまうほど。
そんな彼女を、放課後に見つけた。
何故だか、学校の裏山に向かっているようだ。
あそこには山以外、何もないのに。
もしかして、あの山には、彼女の秘密があるのではないだろうか。
秘密。
それだけで、僕の鼓動が早くなる。
彼女との秘密を共有できるのなら、それはそれでいいかもしれない。
僕はそう思って、彼女に気付かれないよう、こっそりと後をつけていった。
彼女は僕を気づかないのか、どんどんと慣れた手つきで奥へと進んでいく。
そして、小さなほら穴を見つけた。
川が流れている、小さなほら穴の癖に、その奥は暗く、なにやら不気味に見える。
彼女は靴を脱いで、ゆっくりと歩いていく。
よく見ると川の流れは、思っていた以上に早い様だ。
僕も彼女に倣って、靴を脱ぎ、そして、川に入った。
ちゃぽん。
あっと思ったが、遅かった。
「誰?」
彼女が振り返った。
<a href="//10819.mitemin.net/i161712/" target="_blank"><img src="//10819.mitemin.net/userpageimage/viewimagebig/icode/i161712/" alt="挿絵(By みてみん)" border="0"></a>
「あ、その……」
「青木君?」
「木更津さん……」
とうとう、彼女こと、木更津さんに見つかってしまった。
「もう帰った方がいいわ」
「でも、ここまで来ちゃったし、一緒に行くよ」
そういうと、木更津さんは怖い顔をして。
「帰りなさい。私は呼ばれているから仕方ないけれど、あなたは違うもの。もしかしたら、帰れなくなるかも……」
そういう彼女の手を僕は掴んで、歩き始めた。
「ちょ、ちょっと、青木君!?」
「それは、木更津さんも、じゃないの?」
僕は続ける。
「僕は見ていたよ。ここまで来る間、何か迷いながら、歩いていた。道は分かっているけど、行きたくないって言ってるようだった。それに、ほら、今だって、君の手は震えてる」
「そ、そんなの、あなたには、関係ないっ」
ばっと手を放して、木更津さんは僕を睨んだ。
「だからさ、一緒に行こうよ。この先に何があるのか知らないけれど、一人で怖い場所なら、二人でならなんとななるかもしれないしさ」
それに……僕もちょっと下心もあったり。
この穴の先になにがあるのか知らないけれど、きっと二人なら大丈夫。
にこっと微笑めば、木更津さんは諦めた様にため息をついた。
「仕方ないわね……どうなっても知らないわよ」
すっと、木更津さんは手を差し伸べた。
「繋ぐの? 繋がないの?」
「つ、繋ぐよ、もちろん!」
やった、僕の勝利だ! 強く握って、僕はずんずん歩いていく。
そう、まるでリードするように。いや、これって、エスコートするって感じ?
得意げな顔で、僕は木更津さんを見た。
木更津さんは照れたようにそっぽを向いていたけれど、ちょっと喜んでいるようだった。
ほらね、やっぱりこうして良かった。
「ほ、本当に、なにがあっても……知らないんだから……」
そう、彼女が呟いた瞬間。
「うわっ!!」
「きゃっ!!」
突然、眩しくなって。
気が付いたら、そのほら穴から出ていた。
ついでにいうと、あれ? なんで、僕ら、靴履いてるの? さっき脱いだはずじゃ……。
「おおおおっ!!!」
「勇者様だ!!」
「勇者様が来てくださったぞっ!!」
見るからによくあるファンタジーな村人達が僕らの方に群がってくる。
「え? 勇者って、木更津さんのこと?」
「わたしだけじゃないわよ、あなたもよ、青木君」
こうして、僕と彼女の長い冒険が、始まったのであった。
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