Unlimited cross city

ノベルバユーザー234055

2:encounter#2

「………は?……」 
「だーかーら!不審者捕まえるぞ!」
イマイチ状況を読み込めていないルクだったが、なんとなくわかったようだ。
「……つまり、リウカは不審者を捕まえたいんだね……?」
「そうだ!そいつなんか女の子探してるらしいぜ!ロリコンとか気になる!」
騒ぎ立てているリウカに、ルクは呆れながら問いかけた。
「……情報はあるの?」
リウカの動きがピタリと止まった。
「え、それはルクの仕事だろ?」
当然だろ、と言いたげな眼差しで見つめてくるリウカに対して、小さくため息をついたルクだったが、次の瞬間には口に弧を描いていた。
「……仕方ないね。楽しそうだし、いいよ…」
「よっしゃ!」
早速二人は意気揚々とプランを立て始めた。
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「暑い…………あっづ…………」
何処かで見たような光景だ、とリウカは思った。先程、「不審者捕縛作戦」の計画を立て、ルクに
「リウカは外で情報収集……僕は中で………」
と言われてしまい、また灼熱地獄に逆戻りしてしまったのだ。
「くそ……いつかルクの奴、外に引きずり出してやる……」
エグい考え事をしながらも、聞き出した事を記したメモ用紙をパラパラ歩きながらめくる。なんだかんだで、結構情報は集まった。
確認していると後ろから声をかけられた。
「あ、リウカちゃん!」
「ん?おー、モカじゃん。」
振り替えったら、カフェの制服に身を包んだ可愛らしい女の子が立っていた。リウカの唯一の女友達のモカだった。
「何してるの?こんなに暑いのに」
「いやちょっと、面白い案件を見つけてね。その情報収集。」
「へぇ!聞きたいなぁ、良かったらうち寄らない?冷たい飲み物ご馳走するよ!」
ぐぅ、可愛い……じゃなくて。
「いいの?!じゃあお言葉に甘えてー!」
ルクには悪いが、まあいいだろう。二人はモカの働いているカフェに向かった。
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カラン、と飾り物の音が鳴ってドアが開いた。外とはうってかわり、とても涼しい。
「マスター!リウカちゃんに飲み物ご馳走してもいいですか?」
モカの目線の先には、「マスター」と呼ばれたワイシャツに黒のスウェットを着た50代半ばの男性がいた。
「ああ、勿論。いらっしゃいリウカちゃん」
膝裏まである灰色の髪をかきあげ、優しく微笑みながらマスターは答えた。
ぐぅ、カッコいい……じゃなくて。
「すいません、お邪魔します。」
「いやいや、お客さんの疲れを癒すのが私の仕事だからね。存分にくつろいでもらって構わないよ。」
「はい!リウカちゃん!」
いつの間に用意されていたのか、モカが冷たいコーラをカウンターに置いてくれた。椅子に腰掛け、ありがたく頂く。
「っあー!うまい!」
「こういう日に飲むと美味しいよねぇ」
と言いながらモカもコーラに口をつけた。
お互い一杯目を飲み終わったら、モカが目を輝かせて訪ねてきた。
「で?!面白い案件って?!」
「まぁまぁ、そう慌てなさんな」
先程めくっていたメモ用紙を取りだし、読み上げる。
「最近、この町で不審者を見かけたと言う情報が出回っているんだけど、知ってる?」
「え、そうだったんだ?」
「まぁ私も今日知ったんだけど。それで、何か面白そうだなーって思ってその不審者を捕まえよう!ってルクと意気投合したんだ」
「やっぱりルクくんとやってるんだ」
「あいつ、最初はノリ悪いけど結局は乗ってくれるからな。んで、その情報収集やってたわけ。」
「へぇー、何か情報収集集まったの?」
「うん、意外と集まった。まず格好。このくそ暑い中黒コート着てて、サングラスをしていると。頭イカれてんのか。長身で、肩甲骨辺りまである髪を一本に結んでる。色は白」
「ふんふん」
「んで、ここからが重要なんだけど。そいつ、女の子探してるみたい」
「ええっ!?」
流石にこの情報には驚いたようだ。
「誰を探しているかわかったの?!そしたら警察に保護してもらえば……」
「残念ながら、まだわかってないんだ。私もおばさんにちらっと聞いただけだから」
「そっか~……それはちょっと怖いねぇ」
「…………もしかしたら」
今までずっと黙って話を聞いていたマスターが口を開いた。
「______私その人と話したかもしれない」
一瞬の沈黙。そして__
「「っええ!!」」
リウカとモカは同時に驚きの声をあげた。
「ちょちょちょちょ!マスター!!大丈夫ですか?!何か変なことされてませんか?!」
「マジか!マスター、あんた不審者となに話したんだ?!なに聞かれた?!」
二人が驚きと好奇心から叫ぶようにマスターに問いかける。しかし、マスターはじっと考える素振りをするだけだった。

次の瞬間、カフェのドアが勢いよく開いた。

「リウカいる?!」
入ってきたのはルクだった。明らかに焦っている。何かあったようだ。
「ルク?!どうした?!お前から外に出るなんて_」
「リウカ、落ち着いて聞いてね?」
一瞬で落ち着きを取り戻したルクはじっとリウカを見据えた。

「不審者の狙い、リウカ。君かも知れない」

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