授業で寝ていたらいつの間にか転生しました。―最弱から一瞬で最強になり正直ビビる―

伊月優

第02話 転生して初めての友達バハムート

やばい。今はとにかくやばい。だって目の前に龍ドラゴンがいるんだもん。さっきまではスチールスパイダーを倒して喜んでいた自分だぞ?

スチールスパイダーでも倒すのに時間がかかるのに龍ドラゴンってねえ……もうため息が自然と出てくる。

ここは立ち入ってはいけない場所だったのかな。すぐ後ろに出口あるし、そーっと退散しよう。



「おい、ここは我の縄張りだぞ。人間なんかが勝手に立ち入っていい場所ではない。それにまだ無礼を重ねるというのか?」




何も見ていないと思っていた龍ドラゴンが口を開いた。ひー!許してー、もうマジで無理。殺される。まだ転生してちょっとしか経ってないのに 

え?君ならいけるだって?はは、よし龍ドラゴンをちょっくら倒してくるわ。

ってなるわけないだろ!俺は一応、コ・ウ・コ・ウ・セ・イ しかも授業で寝ているようなね。




それに転生したっていっても、人間だよ。人間!この世界では、たぶんというか絶対食物連鎖的に言えば下だろうな。決して上位者ではない。

今はそれどころじゃない。何とかしてこの場を脱出せねば。少し怖いけど勇気を出して龍ドラゴンに話してみよう。

ほら、小学校なんかで先生に言われただろ?なんかあったときは勇気を出しなさいって。地球とこの世界では全くの別物であるが。




「あのー、すみません。勝手にあなたの縄張りに入ったりして。もうこのようなことはしないので退散してよろしいでしょうか?」

「おい、なぜ人間が我に口をきいてる。龍ドラゴンと人間の立場では我の方が格段に上だが?」




もう何してもだめじゃん!口をきけば立場のこと言われるし、今動いたら確実に殺されるし。

でもこういう時はポジティブにいこう!龍ドラゴンって喋れるんだ!ていうか日本語で通じるし。すげーな。




『それは私のスキルの応用をしてあなたの言葉をこの世界の言葉に変換しています。』




やっぱり哲人すげーな。うん。言葉も出ない。というか今ピンチだから哲人さんに質問すればよかったのか。

ちょっと目の前にいる龍ドラゴンのスキルやレベル教えてくれない?



『了。解析中……少し解析に失敗。ある程度のことは解析に成功。』



哲人って失敗することもあるんだ。てっきりなんでもできるのかと思ってたわ。

でどんなスキルを持ってるんだか……



種族 龍ドラゴン LV MAX (LV1000000)


個体名 バハムート


スキル ・解析失敗




なんだ…これ レベルがマックスなのはわかるとしてえーとっ、一、十、百、千、万、一万、十万、ひゃ、百万!

もう俺のレベルの二十万倍ある時点で負け確定。しかも、もとから龍ドラゴンと人間には力の格差があるし、実質百万倍くらい強いんじゃない?

ははっ、もう笑うしかねーや。



「何を黙り込んでいる?ちなみにここへどうやって入ってきた。入口に結界があったはずだが?」



もう頼むから喋りかけないでー!ていうか結界?普通に入ってこれたけど。何かを通ったって感じのようなものはしなかったけどな。



「き、貴様!、さっきから自分に話しかけている声は我のスキルで一発で聞こえるぞ。ところで結界を無力化できる人間など異例中の異例。

我は人生で長く生きているつもりだが人間でこの洞窟の我の結界をスルーできたのはお前だけだ。普通なら丸焦げになってるところだぞ。

気に入った。我と戦え。さすれば願いを三つほど叶えてあげよう。しかしお前が負けたら我はお前を餌としてみなし捕食する。」



ほ、捕食  俺食べられて死ぬの?でもまだ負けるって決まったわけではないし。てか結界で丸焦げになるんだ。次からは気を付けよう。誰でも丸焦げにはなりたくないだろう。

ちなみに哲人、俺が龍ドラゴンに勝てる確率は?




『0,001%です。ほぼ勝てる確率はないかと……ご武運を。私は龍ドラゴンについて調べ弱点などを解析し弱点がわかり次第お教えします。』




1%すら無いだと 脅威の勝率で驚くというよりは自然と笑った。人間ってあきらめるとなんか笑っちゃうんだよな。

とにかく笑ってるやつが一番強い!って思ってる。



こうなったからには仕方がない。戦うしかない。勝率は0ではないんだ。挑むしかない。再生常時発動してるからそんなに怖くない。ほんとだからな!

でも、足がぶるぶるしてる。こ、怖くないはずだよな?俺。



「我も貴様を食いたくはない。まずそうだし。戦うのは我の分身だ。俺のステータスの半分の力を持ってる。これでお前の勝率も二倍だ。

俺はお前たちを別のところから見て楽しんでいるよ。」



おい!まずそうってなんだ!食いたくないなら戦わなければいいじゃん。この俺が呟いてる言葉もきっと聞こえているのだろうな。



「戦うのは我の戦闘力が鈍ってないか確認するためだ。あとまずいものはまずいだろう。」



でも勝率が二倍になるのはうれしい。でもレベルは500000あるってのも相当やばいけどな。よし、早速剣を構えるとするか。

俺は剣を引き、龍ドラゴンのいる方向へと向ける。これは剣で証明するしかない。そして何としてでも勝たなければ。よし!HA・I・SU・I・NO・JI・N!



背水の陣で本当に頑張る。正直ビビってるけど。負けてはいけない。勝つという選択肢一つしかないゲームの始まりだ。



すると辺り一面が黒いドーム状の何かが包み込む。きっとこれは周りに大きな音が響かないようにするためやその他の迷惑行為をしないようにするバリアみたいなものだと思う。




「頭がさえてるな。その通りだ。だからこの戦いは音が洞窟内に響かないので誰にも気づかれん。我が負けてもお前が負けてもだ。」




頭がさえてる?俺の知識も多少あるかもしれないが、なんたって俺の特殊スキル……おっと、だめだ。俺の心は今完全に龍ドラゴンに伝わってたのだった。

危なく自分の情報をさらすところだった。もう完全に戦いの準備はこちらも向こうもできた。自慢の剣さばきで一気に決める!



容赦なく斬りかかる俺。今までに溜めた力を手の筋肉すべてに与え、放出のスキルで解放して。剣を縦に振る!



「スラッシュ!」



バキっ!龍ドラゴンは見た目によらず体が硬い。硬いっていうことには驚いてはいな。今少し変な音がしたような……剣を確認してみよう。ん?

折れとる!やばいよ。だって戦うものが無いんだもん。よしここは日本人らしく素手で戦うしか……ってなるわけない!



素手で言ったら腕が壊れるような気がする。いや、でも俺再生のスキルあるからワンチャン剣再生できるのでは?

スキル「再生」を剣にも常時発動!ってできるかわからないがやってみる。お願い!




するとみるみる剣が元の形に戻っていく。哲人がちゃちゃっとやってくれたのだ。今解析などで忙しい哲人さん、ありがとう。

もう一回、龍ドラゴンに攻撃だ!今度は放出などのスキルが使えない。だってさっきの攻撃で、吸収ストックした分を使い切ってしまったのだから。




バキっ!いや、また折れたのかい!だめだ。二回の攻撃であきらめるのは早いと自覚はしているのだけど、何度やっても剣が折れる気がする。剣はすぐに再生するのだけど。

しかも龍ドラゴンは無傷。かすり傷一つもついていない。すると、龍ドラゴンが、



「おや?その程度の攻撃で終わりかな?次は我の番だな。」



その程度の攻撃ってそりゃ人間ですから!そうなりますよ!しかも我の番って勝手に決められたし。攻撃しにくい雰囲気じゃん!もう、だるい。

すると龍ドラゴンの口から赤黒い炎が漏れる。俺は今まで見たことのない光景に多少は興奮したが、龍ドラゴンにとってはいつものようなことなのだろう。




「再生の力を持っているようだがこの炎は燃え尽きるまで消えない炎だぞ?黒炎の息!」




再生の力を持ってもだめな攻撃か!そんなこと考えている間に俺は赤黒い炎に包まれた。もう熱い……




「飯にはならなかったが久しぶりの戦いに我も興奮してきたわ。まだ力は衰えちゃいなかったぞ。」

「……おい。どこを見ている?戦いはまだ終わっちゃいないぜ?」




今ここまで読んできて物語は終わったのかな?って思った人もいるんじゃないか?まだまだ物語は始まったばかりだ。

で、なんで生きているのかっていうと、炎に包まれる瞬間に右手首を斬り、炎に包まれている方向とは違う別の方向に飛ばした。




そして活躍したのがまたまた登場、再生の力。瞬時に手首から再生して服や剣を取り戻した。でも、せっかく一緒に転生したスマホは燃えてしまった。今は灰になっている。

なぜ手首しか斬り飛ばしてないのに服や剣が再生したのかはわからない。ま、そんなことはさておいて龍ドラゴンの反応を見るとするか。




お、動揺しているぞ。なんかあの厳つい龍ドラゴンが怖がってるのを見るのは面白いしなんか可愛い。ま、分身体だけど。

今の攻撃でかなり力を吸収ストックしてるぞ。あと、今の攻撃でわかったことがあった。ブレスを吐くとき喉元が赤くなってた。




次にブレス吐くときそこを斬って喉を爆発させれば大ダメージを与えられること間違いなしだ。よしそうとなれば……



「ハッハッハッハッ!俺の攻撃を耐えたぞ!人間なのに初めて耐えやがった!よし気に入った。降参だ。我の負けでいい。」




次の瞬間、分身体が消えた。そして俺を覆っていたバリアみたいなものも消えた。今の戦いは勝ったけど、スマホが……ま、いっか。別にここでソシャゲとかできるわけではないし。

でも三つのお願い聞いてくれるのかな?



「三つの願いは聞いてやるぞ。それは約束だ。」



これは人生で大事なポイントだ。この選択をミスれば第二の人生は終わる。しばらく考えさしてと龍ドラゴンに伝えた。

俺はあれこれ考える。ちなみに前世に戻してという選択肢はまず無い。でも友達とか心配してないかな?とふと思ってしまった。


ん?友達?友達……そっか!俺の曇っていた顔が晴れた。もうバハムートと友達になろう!そうすればあと二つの願いを叶えやすくなるかも。でも、親しき中にも礼儀ありか。



「あの、あんま怒らないで聞いてほしいんだけど……」

「なんだ一つ目のお願いは決まったのか。随分慣れ慣れしい言い方だな。」

「ああ、一つ目の願いは、バハムートが俺と友達になってほしい。」



その言葉を発してから長い沈黙が続いた。ちょっとやばいこと言ってしまったかな?と思ったけど、その心配はすぐに無くなった。

バハムートは俺の顔をジーと見つめた。そして、



「面白いことを言うではないか。龍と人間が友達、新しい発想だ。いいだろう今日からお前は俺の唯一の友達だ。なにか友達の証があるといいんだが……」

「一緒の名前とかはどうだ?ちなみに俺の名はユウト。でお前はバハムートだ。で、終末を意味するラグナロク。を合わせるとかはどうだ?」

「終末はラグナロクというのか。じゃあ、俺の名前は今日からバハムート・ラグナロク!で、お前はユウトではなく、ユウト・ラグナロクと名乗ろうではないか!」


そしてこんなスピーディーな感じで俺とバハムートは友達になった。第二の人生初めての友達が龍なんてかっこいいだろ。なんか誰かに自慢したいが、誰もいないんだよな。

スチールスパイダーとかに自慢しても言葉伝わんないし……



『龍の解析が終了。弱点は無し。今となっては必要ありませんね。また、龍は龍神玉となることができます。それは持っているだけで最強になれます。』



そういえば哲人解析してたんだった。でも龍神玉か。少しいいことを聞いた。そのことをバハムートに話してみるか。



俺はしばらくして龍神玉のことをバハムートに話すと、喜んで引き受けてくれた。今の形から玉の形に変わるだけらしい。だから意識などは失われない。

そしてバハムートは龍神玉となり、俺の手のひらサイズに収まった。俺は考えたことがある。俺の心臓と龍神玉を合わせることができるんじゃね?



『それには危険が伴いますが実行しますか?』



哲人さんの言うことは守らないといけないが、でも!最強になるためには危険なんか気にしない!俺はその瞬間猛烈な眠気に襲われた。



何分か経過して俺は目を覚ました。転生はしてないから安心して。俺の体は何も失われていない。結果はどうなったんだ?



『成功しました。それに対してレベルも上がりました。』



よし、いいぞ。ところで、バハムートの声はどうやって聞くんだ?



「我はここにいるぞユウト。心臓らへんから喋ってる感じになるな。」



これも哲人みたいに話かければいいのか。あと最後のお願いだ。

最後はずっと前から決まってた。




それは何なのかというとバハムートのスキルを俺に継承してほしいというお願いだ。

さあ、これで俺も最強になったんじゃね。まあ、最後の願いは後にして、今は洞窟の外を目指す。



こうして俺は転生して初めての友達バハムートができたのであった。



龍ドラゴンが友達ってのも悪くないね。









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