俺の耳かきスキルで世界救っちゃいます!

砂浜

第2章2話 これぞ我がクラス

この修羅場をどう乗り切るか、それが問題である。
さて、もはや見慣れたこの2人の言い争いだが……、ここは学校である。転校生への興味、葱のメンヘラ的言動(よくあるが)に対しての質問が尽きない。そして俺もーー。

「無門くぅん、良かったらリーニャちゃん紹介してくれないかい?」
「なぁ頼むっておい」
「パネェ、リーニャちゃんマジパネェって」

と、陽キャ集団からうざく絡まれる。こういう輩の処理は困るなぁ……。

「なぁ無門」
「もしかして……もしかしてだけど……」
「お前の妹とかそういうオチはないよな?」
「何?妹だと!?お義兄さん、妹を僕にください!!」

「誰がお前らにやるかよバーカ」

俺のグループ(というか陰キャ組)からは問い詰められる。というか、お前らのそのノリはなんだよ。……割と好きだけどさ。

その後も暫く色々話しかけられていたが、ついにひとつの爆弾が投下される。

「なぁ、無門とリーニャさんってどういう関係なんだ??」

静寂の後、視線が俺に集まる。い、陰キャに視線を向けないでくれ……。

「あのなぁ……俺とリーニャはただの家族ーー」

と、言いかけて気づいた。

(……葱もめっちゃこっち見てるやーん!!)

はぁ……やるしかないよなぁ。

「家族ーーよりも遥かに深い愛で結ばれたらぶらぶな恋人どうしだよ!!」

「「キャーーー」」
「「はああああ!?」」

さらば、俺の平凡な学校生活。ハロー、リア充(笑)の生活。

「ちょっと葱ちゃんの魂抜けてるんだけど!?」「しっかり!まだチャンスはあるって!」「所詮無門だから大丈夫よ!リーニャちゃんが乗り気じゃないに決まってるでしょ!」

なんか女子陣から傷つけられた気がする。距離が遠くてあんまり聞こえないけど、気になるな。

「ん?呼びました?」

「あ、リーニャちゃん!……率直に聞くけど、無門くんのこと、どう思ってるの?」

ちょっとリーニャが近づいてくれたおかげで話が聞こえてきた。あぁ、関係性を疑われてるのね。そりゃ陰キャと美少女は釣り合わないもんな。……。………泣いていい?

「勿論、愛してるに決まってるじゃないですか」

「「うわああああああ」」
「嘘だと言ってくれリーニャさん!」
「なんで無門とだよぉぉぉ」
「家族内で恋愛なんて不健全よ!?」

「いやまず家族っていうか従姉妹ですし」

「従姉妹は結婚できるんだよおおお」
「それはずるいよ!ギャルゲーの世界並にずるいよ!」
「ちくしょう無門ぃぃい……」
「ちょっと後で校舎裏……な?」

「ひぃん……」

流石我がクラス、結束力が高いっすね……。というか俺の身が危ないんだけど。

(キーンコーンカーンコーン)

と、ここでチャイムが鳴った。

「はーい、皆仲良くなってくれて何よりでーす!次は全校集会だから、遅れないように来てくださいね!」

そういえば、今日はまだ学校初日だから、まともな授業がないのか。もう初日の疲れじゃないくらいには疲れてるんだが。

「ほら行くわよ海凪」
「行きましょうミナギさん」

おっと2人から誘われたぞ。……これがハーレム系主人公の気持ちか……。うん、確かにどうすればいいのか分からんな。

「2人とも!行こうぜ!」

「はぁ?なんでこの女が必要なのよ」
「何言ってるんですか、私と一緒に行きましょうよ」

き、厳しい……。俺にはハーレムエンドは無理みたいですね。狙ってないけど。

「待ちたまえ無門氏」

「はっ、その声はドランゴ!」

唐突にドランゴに声をかけられた。さっきの盛り上がりの中で、こいつは妙に静かだったんだよなぁ。逆に怖い。

「お主、リーニャ嬢の彼氏であるのか?」

「いかにも」

「問答無用!」

「ちょ、流石に酷いっt…おげええええ」

ドランゴ(デブ)の理不尽フルパワーパンチを頂いた。教室のドアの方まで吹き飛びました。……いつもの事だけど、この痛みは相変わらず慣れない。

そして吹き飛んだ俺をよそに、ポカンとしているリーニャの元にドランゴが駆け寄った。

「リーニャ嬢、初めまして。拙者、林龍之介と申します。気軽にりゅー♡とお呼びください」

お前一度もそんな呼ばれ方したことねぇだろおぉぉお!しかもキャラもブレッブレやん!

「あ、ハイ、よろしくお願いしますね、リュー君」

「ズキュウウゥゥン!!」

擬音を自ら発しながら、ドランゴは逝ってしまった……。あぁ……オタクは優しくしてくれる美少女に弱いんだぞ……。

「あーあ、こりゃしばらくリーニャちゃんにつきまとうな」
「まぁ害はそんなに無いし、慣れてもらうしかないかな」
「リーニャちゃん!私たちがついてるからね!」

……ドランゴ、もしかしてお前の評判低すぎ……?ちょっとドランゴが可哀想になったのか、リーニャが話題を変える。

「と、ところでミナギさん大丈夫です!?」

そういや俺吹き飛んでたし、教室のドアも壊れちゃったな。……そろそろ修繕費を払った方がいいかもしれない。

「ああ大丈夫だよ、腹痛いし身体痛いし吐きそうだけど元気元気」

「全然元気そうじゃないんですけどぉ!?」

ドランゴに限らず、色々な人から暴行をくらうせいで、痛みこそあっても身体に大きな損傷はない事が多い。つくづくコメディ系主人公に向いてそうだよなぁ、俺。

「ま、こいつは丈夫だから、なんとかなるわよ」

さすねぎ。俺の事をよくご存知で。

「そういうことだ。じゃあいい加減行くぞ」

割とマジで全校集会に遅れそうだし。原因は俺にもあるんだけどね!
ぶっ倒れたドランゴを放置して、俺たち2-Cは体育館に向かって走り出すのであった。

……なんだかんだ、ドランゴのおかげでリーニャと葱と2人で集会に向かえそうなので、感謝してるぞ。
放置したけどな☆

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