俺の耳かきスキルで世界救っちゃいます!

砂浜

第2章3話 あ!野生のロリが飛び出してきた!

さて、他のクラスより少し遅れて到着した俺たちだが……、いつにも増して、体育館が騒がしい。

「さ、流石に並ぶ気なさすぎじゃないの……?」

「い、いつもはもうちょいマシなんだぞ、リーニャ」

この学校はあまり賢くもないし、部活動が滅茶苦茶強いというわけでもないが、生徒的には程よく緩さなんだよ。だから、悪いイメージを持って欲しくはないな。

「ええ、分かってますよ。それに今回の騒動の原因、ちょっと想像がつくので……」

と苦笑いするリーニャ。え?なんでお前が察してるんだ?

「え、なんであんたに分かるのよ?」

葱に先に言われてしまった。

「まぁまぁ、とりあえず前のステージの方まで行ってみたら分かりますよ。……ま、お子様にはちょっと刺激が強いかもしれませんが」

「だーれがお子様よ!ふんっ、いいわ、行ってやろうじゃない!」

挑発に乗りやすすぎるだろお前……。とはいえ、俺も気になるところだし、着いていこう。
しばらく3人で歩き、人波をかきわけ、ようやくステージの景色が見えた。

そこにはーー。

「な、ななななななななななな……」
「ははは…やっぱりこうなるんですか……」
「こ、校長…あんた…あんた……!」

俺は一呼吸置いて叫ぶ。

「校長がロリに耳責めされてるぅううう!?」

そこには衝撃の景色が待っていた。ひんひん喘ぐおっさん(60)とそれを弄ぶ、真っピンクな髪のロリ(推定10歳)の姿が。
そりゃあ全校集会どころじゃねぇわな!!むしろお前が警察に出頭して、教育委員会に集会されてこい。

「だれがロリじゃああああいい!!」

ロリに叫ばれた。あ、なるほど、その口調も加味して考えると……。

「そうか!お前はロリババアか!!」

「口調と見た目で人を判断するでない!!童はイアーゴ研究の第一人者、クリス=イルミアの誇り高き娘であるぞ!!」

頬を怒りで紅く染めつつ、ぷるぷる震えながらの発言である。可愛い……じゃなくて!イアーゴ研究の第一人者……?もしかして、これがリーニャがこの事故を予期してた理由なのか……!

「おい待て、これはどういうことなんだ!」

そう俺が事情を聞こうとすると、何故か校長が立ち上がった。

「ち、違うんだ!別にワシは幼女に籠絡されてなどいないからな!!ワシが校長なんだぁ!!」

なんでお前復活したの!?あと質問相手はお前じゃないから!……その上、勝手に自爆してるな。完全に葱じゃねぇか。

「海凪、後で集合ね」

「だから人の心読まないでくださいお願いします……」

いつの間にかフリーズしていた葱も元気になっていた。こいつはタイミングよく復活しやがって……。

「変態はすっこんでおれ」

「あぁん……ミムーちゃん好きい……」

俺と葱が話してるうちに、校長は恍惚の表情を浮かべて倒れていた。
……あんた、去年までは凛々しい校長だったのにな……。もう誰も信じらんない><

「さて、説明をしてやりたいのは山々じゃが……今日は忙しいし、それに大分注目されておる。詳しくはまた後日話してやろう」

こんな大騒動をしていたら、そりゃあ大半の生徒は注目するわけで。仕方ないところはあるな。……というか、あれ?この場面で陰キャが目立って良かったのか!?
あ、明日からは陰キャライフさせてくれよな……?

「ミナギさん、後で詳しくお話してあげますから」

リーニャがそう言ってるんだし、尚更掘り下げる必要はなさそうだ。
……にしてもあいつ、何をしにここまで来たんだろうな……。そう思い、ステージの方に目をやると、ミムー(?)はマイクを取ろうとぴょんぴょんしていた。……あ、疲れて諦めたぞあいつ!

……ちょっと可哀想だな。そう思った俺はステージに上がって、マイクを手渡す。

「はい、ミムーちゃん」

「童の名前を気安く呼ぶでない!で、でも……少年よ、あ、ありがとう」

うむ可愛い。我ながらイケメンな行動をした甲斐があるってもんよ。
……もう目立っても良い気がしてきたわ……。

「あー、あー、オホン!……さて、全校生徒の者に告ぐ。今日を持って校長はあの男……えーっと名前なんだっけ……ま、いっか。変態に代わって、童、ミムー=イルミアが務めることとなった!」

…………………………………。

「「「「ええええええ!?」」」」

ツッコミどころしかねぇぇぇぇ!!この娘ちょっと面白いけど!お前が校長やるんかーい!!
まだざわめいてはいるが、ミムーは話を続ける。

「教育方針が大きく変わることはないが……、耳かき法の制定、及び施行により、今年度から耳かきの授業を取り入れることとなった。そこは留意しておくように。以上!」

簡潔かつ濃厚な挨拶が終わった。終わると同時に教師陣は集まって、話し合いを始めた。話した内容についてか、それとも校長が変わった事なのか、まぁどちらにせよ予想外だったのだろう。
……にしても俺得すぎるぅ!何耳かきの授業って!頭おかしいだろありがとう!!

「ちょっと海凪!早くこっちに来なさい!」

あ、そういやステージに居たままだったわ。邪魔になるよな。それに、うちのクラスの状況も気になる。
俺はステージから降りて、葱とリーニャの下へ駆け寄る。

「海凪、あんたは耳かき法についてどう思ってるのよ?」

唐突に質問を浴びせられた。まぁこんな法案、すぐに受け入れられる訳がないわな。

「正直、日本がおかしくなったか、俺の脳と同レベルになったのかと思ったな」

そう冗談めかして言うと、葱が駆け寄って抱きついてきた。

「だよね!!!良かった、あたしがおかしいわけじゃないのよね……!」

葱の大袈裟なリアクションにちょっと驚く。俺は事情を知っているから適応できてるだけで、もしかしたら他の人も同じように不安になってるのかもな。

「っ…!まさかネギさんも……!?」

「ん、リーニャどうした?」

リーニャは何か思い詰めた表情でブツブツ呟いていた。まだまだ想定外な事が起こってるのか……!?

「い、いえ、なんでもありませんよ。多分、私の誤解だと思いますから……」

「そうか?それならいいんだが……気になる事があったら言えよ?」

何かを隠しているような気はするけれど、深くは追求しない。必要となれば向こうから言ってくるだろう。

「ありがとうございます。じゃあそろそろ、クラスの集団の方に戻りましょうか」

ということで、集まったはいいが、1度荒れた集会は中々収まることはなく。結局、今日の授業は、全校集会と大掃除だけで終わるのだった。

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