引きこもり14歳女子の異世界デビュー ─変わり者いじめられっ子の人リスタート─
36話 時間と空間
大振りな攻撃は、攻撃後の隙を突かれて一撃で狩られる恐れがある。
なので、最初俺は様子見に軽い攻撃をいくつかリヒトに浴びせた。
そこでわかったことは──
リヒトの動きは特別速いわけではない。
だが、そこには一切の隙が感じられない。
それはなぜか。
リヒトの動きは、攻撃、回避、防御など、戦闘に必要な動作が全て並列に、つまり同時に行われているように見える。
つまり、無駄がない。
そして、同時に動作しているから、1つひとつの動作がいい加減なものになっているかというと、そうでもない。
重さを感じさせない、優雅な動きの中で、それらは全て完璧に行われていた。
さらに、あたかも川が延々と流れ続けるように、それらの動作は一切の切れ目なく連続しているようにも見える。
前の動作の間に、すでに次の準備動作が行われているのだ。
まるで、展開の数手先まで全て読み切っているかのように。
さほど速さを感じさせないにもかかわらず、攻撃の頻度が高く、隙を感じられないのはこのあたりに理由がありそうだ。
時間という万人に平等な条件で与えられたリソースを、並列動作と連続動作によって、リヒトは最大限に活用している。
これこそが、リヒトの強さの秘密と言っていいのかも知れない。
──だが、これは決して絶望的なほどの実力差ではない。
ハーデスはリヒトが剣聖の生まれ変わりではないかと言ったが、恐らくリヒトの強さは剣聖そのものの強さとは程遠い。
なぜなら、マーヤを相手に戦う時のような絶対的な力の差というものは全く感じられないからだ。
剣聖の強さは魔女であるマーヤの強さと拮抗していたと聞く。
幼い頃からマーヤと稽古してきた俺だからこそ、よくわかる。
剣の素人が1年やそこらでこれ程までの実力を得たこと自体は驚嘆に値するが、実力自体は俺とそこまでの差はないように思える。
つまり、勝機は十分にある。
「どうしたんだい?君の実力はこんなものじゃないだろう?」
攻撃しつつも、余裕な感じで話しかけてくるリヒト。
無駄のない動作は、体力の消耗も最小限に抑えるようだ。
そう言うリヒトもまた、まだまだ本気を出していないように見える。
これは詰まるところ、そろそろ本気でやり合わないか?というリヒトからの提案だろう。
「すまんな、見た目に似合わず慎重派なもんでね。……が、そろそろ本気でいかせてもらうぜ。」
この決勝では、1つ試してみたいことがあった。
「心」で戦うということについて、昨晩考え、思いついたものだ。
エリザとの戦いの中で、俺は感覚の拡大によって闘技場全体の大気の流れを手に取るように把握できるようになった。
これは、今まで俺は回避にしか使って来なかったのだが、逆に攻撃に使ってみるのはどうかということ。
これまでは、剣にのみイメージを込めて切りつけていたのだが、拡大した感覚に乗せるように闘技場全体にイメージを込めて攻撃するのはどうか?ということだ。
リヒトの剣が時間を支配する剣とするならば、さながら俺の剣は空間を支配する剣と言ったところか。
なかなかに燃える展開じゃないか。
俺はバックステップでリヒトから距離を取ると、さっそくそれを試すために感覚を研ぎ澄まし、意識を拡大した。
なので、最初俺は様子見に軽い攻撃をいくつかリヒトに浴びせた。
そこでわかったことは──
リヒトの動きは特別速いわけではない。
だが、そこには一切の隙が感じられない。
それはなぜか。
リヒトの動きは、攻撃、回避、防御など、戦闘に必要な動作が全て並列に、つまり同時に行われているように見える。
つまり、無駄がない。
そして、同時に動作しているから、1つひとつの動作がいい加減なものになっているかというと、そうでもない。
重さを感じさせない、優雅な動きの中で、それらは全て完璧に行われていた。
さらに、あたかも川が延々と流れ続けるように、それらの動作は一切の切れ目なく連続しているようにも見える。
前の動作の間に、すでに次の準備動作が行われているのだ。
まるで、展開の数手先まで全て読み切っているかのように。
さほど速さを感じさせないにもかかわらず、攻撃の頻度が高く、隙を感じられないのはこのあたりに理由がありそうだ。
時間という万人に平等な条件で与えられたリソースを、並列動作と連続動作によって、リヒトは最大限に活用している。
これこそが、リヒトの強さの秘密と言っていいのかも知れない。
──だが、これは決して絶望的なほどの実力差ではない。
ハーデスはリヒトが剣聖の生まれ変わりではないかと言ったが、恐らくリヒトの強さは剣聖そのものの強さとは程遠い。
なぜなら、マーヤを相手に戦う時のような絶対的な力の差というものは全く感じられないからだ。
剣聖の強さは魔女であるマーヤの強さと拮抗していたと聞く。
幼い頃からマーヤと稽古してきた俺だからこそ、よくわかる。
剣の素人が1年やそこらでこれ程までの実力を得たこと自体は驚嘆に値するが、実力自体は俺とそこまでの差はないように思える。
つまり、勝機は十分にある。
「どうしたんだい?君の実力はこんなものじゃないだろう?」
攻撃しつつも、余裕な感じで話しかけてくるリヒト。
無駄のない動作は、体力の消耗も最小限に抑えるようだ。
そう言うリヒトもまた、まだまだ本気を出していないように見える。
これは詰まるところ、そろそろ本気でやり合わないか?というリヒトからの提案だろう。
「すまんな、見た目に似合わず慎重派なもんでね。……が、そろそろ本気でいかせてもらうぜ。」
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コメント
さんじゅーすい
バトル描写は厨二全振りです笑
美浜
時間を支配する剣と空間を支配する剣の戦い。
名前がめっちゃカッコいい。