引きこもり14歳女子の異世界デビュー ─変わり者いじめられっ子の人リスタート─
34話 ヒーロー剣士とアイドル騎士
「──あのにぃちゃんが剣聖様の生まれ変わりだからなんじゃないかって、思っちまったんでさぁ。……いや、生まれ変わりなんてもんオレはこれっぽっちも信じてねぇんだよ?だけれども、あんだけの強さと、しかもあんなもん見ちまうとなぁ……。」
リヒトは1年ほど前に異世界から来たはずなので、剣聖の生まれ変わりというのはまずあり得ない。
異世界にいたころは運動も苦手だったと言うし、そういう力を得たのは生まれつきではなく、こちらへの転移時点からのはずだ。
だが、事情を知らないハーデスがそういう感想を持つこと自体はごく自然なこと。
リヒトの許可も得ずに、「リヒトは異世界から来た」なんて噂を広めるのも失礼な話なので、ここはハーデスに話を合わしておくことにする。
……まあそもそも、リヒトの力が生まれつきのものであれ、最近得たものであれ、俺にとってはどちらでもいいことだ。なぜなら──
「剣聖の生まれ変わり……確かにあり得る話かも知れないな。……でもな、俺は負ける気なんてこれっぽっちもねーぜ。剣聖だろうが何だろうが、ただ全力で立ち向かうまでだ。」
相手が誰であれ、何であれ、恐れる必要などどこにもない。
恐れは剣を鈍らせるだけだ。
もし相手が自分より強いと言うのならば、いかにしてそれを乗り越えるかを考え、実行する。
それが俺の戦い方だ。
まず自分に負けないことが大前提……幼い頃から何度もマーヤに教わってきたことだ。
自分自身に打ち克った時にこそ、成長の鍵があるのだと。
深刻な顔で語っていたハーデスが、俺の言葉を聞いて一気に笑顔になる。
「がはははは!よく言ってくれた、それでこそ『魔女の弟子』ガイストだ!アイシアも……おっと、アイシアってのは俺の娘なんだけれども──」
そう言いながら、ハーデスは鞄から取り出した写真を俺に見せた。
11か12歳ぐらいの、カチューシャを付けたやや勝ち気そうな女の子が写っている。
整った顔立ちに小柄な体で、ハーデスとは似ても似つかない。
が、ちょっと高そうな杖を持っているところから、魔法の才能はしっかりと受け継いでいるのかも知れない。
「──ほら、娘のアイシア。かわぇーだろー?俺にはこれっぽっちも似なくてほんに良かったなぁって……がはははは!……あぁそうそう、そんでそのアイシアがな、去年からガイストのあんちゃんの大ファンでなぁ。だから今年の決勝、オレら一家もあんちゃんのこと全力で応援してるだでな。」
「それは頼もしいな……明日の決勝も見に来てもらえるのか?ぜひ娘さんにもよろしく伝えておいてくれ。」
さっき店主の息子も俺のファンだと言ってたように、なぜか俺には子どものファンが多いらしい。
街中でしばしば握手を求められたりもするが、大抵は子どもだ。
一方のリヒトは、あの容姿と華麗な戦い方からか、やはり女性のファンが多いらしい。
まあリヒトは剣術大会でファンがついたと言うより、最年少の騎士ってことで元からファンが多かったようだが。
その後またしばらくハーデスと世間話をしたところで、時間も時間ということで解散となった。
試合中は野蛮そうな印象しか受けなかったが、実際話してみるとやたらと気のいいおっちゃんだったな。
思わぬところで良い気分転換になったし、ハーデス一家の期待に応えるためにも、ますます全力で挑まねば、という気分にもなれた。
後はただゆっくり休んで、明日の決勝に備えるのみ。
リヒトは1年ほど前に異世界から来たはずなので、剣聖の生まれ変わりというのはまずあり得ない。
異世界にいたころは運動も苦手だったと言うし、そういう力を得たのは生まれつきではなく、こちらへの転移時点からのはずだ。
だが、事情を知らないハーデスがそういう感想を持つこと自体はごく自然なこと。
リヒトの許可も得ずに、「リヒトは異世界から来た」なんて噂を広めるのも失礼な話なので、ここはハーデスに話を合わしておくことにする。
……まあそもそも、リヒトの力が生まれつきのものであれ、最近得たものであれ、俺にとってはどちらでもいいことだ。なぜなら──
「剣聖の生まれ変わり……確かにあり得る話かも知れないな。……でもな、俺は負ける気なんてこれっぽっちもねーぜ。剣聖だろうが何だろうが、ただ全力で立ち向かうまでだ。」
相手が誰であれ、何であれ、恐れる必要などどこにもない。
恐れは剣を鈍らせるだけだ。
もし相手が自分より強いと言うのならば、いかにしてそれを乗り越えるかを考え、実行する。
それが俺の戦い方だ。
まず自分に負けないことが大前提……幼い頃から何度もマーヤに教わってきたことだ。
自分自身に打ち克った時にこそ、成長の鍵があるのだと。
深刻な顔で語っていたハーデスが、俺の言葉を聞いて一気に笑顔になる。
「がはははは!よく言ってくれた、それでこそ『魔女の弟子』ガイストだ!アイシアも……おっと、アイシアってのは俺の娘なんだけれども──」
そう言いながら、ハーデスは鞄から取り出した写真を俺に見せた。
11か12歳ぐらいの、カチューシャを付けたやや勝ち気そうな女の子が写っている。
整った顔立ちに小柄な体で、ハーデスとは似ても似つかない。
が、ちょっと高そうな杖を持っているところから、魔法の才能はしっかりと受け継いでいるのかも知れない。
「──ほら、娘のアイシア。かわぇーだろー?俺にはこれっぽっちも似なくてほんに良かったなぁって……がはははは!……あぁそうそう、そんでそのアイシアがな、去年からガイストのあんちゃんの大ファンでなぁ。だから今年の決勝、オレら一家もあんちゃんのこと全力で応援してるだでな。」
「それは頼もしいな……明日の決勝も見に来てもらえるのか?ぜひ娘さんにもよろしく伝えておいてくれ。」
さっき店主の息子も俺のファンだと言ってたように、なぜか俺には子どものファンが多いらしい。
街中でしばしば握手を求められたりもするが、大抵は子どもだ。
一方のリヒトは、あの容姿と華麗な戦い方からか、やはり女性のファンが多いらしい。
まあリヒトは剣術大会でファンがついたと言うより、最年少の騎士ってことで元からファンが多かったようだが。
その後またしばらくハーデスと世間話をしたところで、時間も時間ということで解散となった。
試合中は野蛮そうな印象しか受けなかったが、実際話してみるとやたらと気のいいおっちゃんだったな。
思わぬところで良い気分転換になったし、ハーデス一家の期待に応えるためにも、ますます全力で挑まねば、という気分にもなれた。
後はただゆっくり休んで、明日の決勝に備えるのみ。
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