令嬢は呪術師 〜愛しき名に精霊は宿る〜
10.第一章 デジャンタン術式学院⑩
レオニード主幹教諭は部屋の隅へ行き、クローゼットを開いた。未使用の制服が収納されているクローゼットだ。いよいよ制服の色が決まる。
(最下位クラスだろうけど、何色でもいいわ。ここの制服かわいいから)
    女生徒の制服はすとんとしたワンピースドレスで、白い襟にリボン。ふくらんだ肩には学院の紋章が刺繍されたワッペンがついていて、カフスや裾模様やボタンなど、各所に金色があしらわれている。
しかし、主幹教諭が取り出したのはただの赤いマントだった。丈は短く、マントというよりケープに見える。装飾は、胸元に簡略化した学章が刺繍で入っているだけ。
「えーと、これは? 制服ではないのでは」
「君はなにもできないので、とりあえず仮入学者の身分を与える。一ヶ月後までに水を操る術式を体得できなかったら、入学許可は出せないよ」
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