幼女で建国しちゃいます!

終末の処刑人

ぷろろろ~ぐ 俺は平凡に生きたい



3時間だ........


これはとある時間のことを表す

俺がゲームをしている時間?
カラオケに行っている時間?
または、映画を見ている時間だろうか

すべてちがう。ならばなんだと言われるだろう
この電子機器が発達し、娯楽も増え、他国よりも充実し治安がまだいい日本で何をして3時間という長い、なが~い時間を消耗しているのか


それは................



↑↑→↓→←↑↓



『4月』この言葉を聞いて皆は何を想像するだろうか
出会いの春?リア充精製期?浪人1年目の春?
それは人それぞれだろう
桜が生い茂る中嬉しそうにスキップで地を奏でる人もいれば、憂鬱そうに顔を暗くして春休みのゲーム三昧の日々を振り返りながら学校に訪れるものもいる
こういう感情や行為は人それぞれだ

人とは感情を持つものであり皆が皆、考えることが一緒なんてあるはずがない
むしろ、そんな世の中は嫌だね
全員が戦闘狂だったりしたら戦争やいざこざが後を耐えないだろうしそんな面倒臭い日常はお役御免だ


そんなことを考えながら俺は1人桜の生い茂る道........ではなく、年がら年中変わることのない道路沿いの道を1人、本を読みながら静かに歩く

俺はこの静かな道のりが好きなのだ
高校に入って早1年経つ今でも俺はずっとこの道を通り続ける
女子みたく桜の花をみるだけでキャーキャーと騒ぎ立てることなど、やったことないし、したいとも思えない
それに、俺はリア充でもないし非リアでもない
中学校では友達も致し決してぼっちなんかではなかった。しいていうなら女友達がもう何人か欲しかったところだが

高校でも空手部に入り人並みに努力しクラスでも地位をしっかりと得ている
たまに、女子から尊敬の眼差しや色っぽい視線が当てられるような気がするでもないが、俺にとってそれは全てがゴミ・・の視線に見えてくる


そう言えば、今まで忘れていたがここで自己紹介をしておこうと思う

俺の名前は羽間   大清はざま たいしん
ごく普通の高校に通う、陰と陽の間くらいに位置する普通の生徒だ
身長は160センチくらいと低めだが、それは小さい頃からしっかりと運動をしてきて子供に必要な睡眠などをあまり取れていなかったから........という設定にしている
髪は長すぎず短すぎず、あまり弄ると先生に切れられるから今は弄らない
顔は自分で言うのは恥ずかしいが中の上くらい
幼稚園の頃はモテていた
今は?なんて野暮な質問するなよ?


そんなこんなで俺はいつもの道をいつも通り何気なく通っていた。だが、ここで今まで起こったことのないイベントが発生してしまう

「あ、あの........!大清くん!」

突然聞こえる声に俺はビクンと肩を揺らしてしまう。女子とも気兼ねなく話せる俺が何故ここまで動揺するのか........それには理由がある

「な、なにかなA子さん?」

俺の後にぽつんと立つ一人の女性
実はこのA子さん眉目秀麗、運動もそこそこでき家はお金持ち、性格も良いという、一端のボンボン娘っていうやつであって
平凡に暮らしたい俺にとってもA子さんは気兼ねなく話してくれる。そこまではいいのだが、どうにも周りの視線が痛い........あまり自分から話さないA子さんが自分から話す唯一の相手、それが俺だ

正直迷惑極まりない
接点などなかったはずなんだがな........
接点って言ったら以前、強盗に財布すられてたからその強盗ぎったんぎったんにボコったことならあるけど、それくらい普通のことだしな
ここまで話される道理はないはずなんだが


   でもって、そんな完璧な美人が俺に声をかけると桜を見ている男子衆がギロりとこっちを睨んでくるわけ
ひぇぇぇ........怖かぁ~怖かぁ~


「じ、実はね........今日、大清くんにどうしても言いたいことがあって」

そういって手を前でくみ、腰を少しクネクネしながら頬をじわじわと朱色に染めていくA子さん

........んん??     トイレかな?

「言いたいことって?」

「うっ........うぅ~」

そんな喘ぎ声?出しちゃって漏れそうならトイレに行きなよ!トイレは君のすぐ後ろにあるんだから!ぼっとん便所なんだけど........

「緊張しなくていいよ、自分のペースで言ってみな」

そういって肩をぽんぽんと叩いてやると
その火照っていた顔はさらに真っ赤になり自然とA子さんの体が熱くなり
同時に男子衆から向けられる視線もバチバチと熱いものになっていく

「.......です」

「ん?」

さっきの3分の1くらいにまで小さくなった声は非常に聞きずらかったが男子が聞いていたらキュンキュンものだろう

「........好きです」

「んん??」

俺は自分の耳を信じたくなかった

「だから........うぅ~....大清くんのことが好きです!私と付き合ってください!!」

緊張を捨て去るためか気合を入れるためか、理由は不明だったがA子さんの告白は見事にこの場に響き渡った
桜を楽しむ高校生や職場に向かう大人、蟻んこを続いて楽しむ子供や犬のポチまでもが、こっちに視線を集めてくる
 
ひ........ひぇぇ~   怖かぁ怖かぁ

てか、トイレじゃなかったのか
そんなことを考えながらふと周りに視線を移す
頬に手を宛て今にも『Oh my God!!』と叫びそうな男子衆
桜を楽しんでいた顔から一気に恋愛ごとを話す時のうれしそ~な顔に変わる女子達
ニコニコと微笑む大人達........
1つ言わせて下さい


さいっあくだっ!!!


この状況でもし、断ろうものなら俺はこれからの高校生活2年間男子には非難の眼差しで向けられ女子からはいじめられ、周りの大人達からは蔑まれて........あぁぁぁ俺の平凡がァ


俺の足腰はもう、ぷるぷる状態だ
横に生まれたての子鹿を用意すれば恐らくいい勝負をするだろう
それくらいぷるぷるしている
くっそぉ........どうせ壊れる平凡ならもぅ徹底的にぶち壊して、今だけでもいい気持ちになろう

「ふぅ........」

たっ1つの深呼吸、されど1つの深呼吸........
俺の何気ない呼吸は春とは思えないこの静けさに良く響いた
それに連なるようにA子さんの肌は更に朱色に染め上げられていく

「俺はっ........!!」

攻めてもの償いとして目を合わせて言ってやる
そういう気持ちで俺は勢いよく目を開いた


「ロリコンなんだぁぁぁァ........あ゛ぁぁぁぁ???」


目の前にいたはずのA子さんは消え失せ
周りのギャラリーも消えてしまっている........
っていうか!色すらも消えてるじゃねぇかよぉぉぉぉぉぉっ!!




俺を見ている神様はどこまでも平凡には生かしてはくれないらしい

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