毒手なので状態異常ポーション作る内職をしています

桐生 舞都

side:ブラッド_2


 レイラを先頭として、ブラッド達の一行はとある山岳地帯にある洞窟の前まで来ていた。

 レイラが前を向いたまま言う。

「この洞窟を超えれば、ウタがむかし使っていた小屋の、山の麓だ」

「今回もハズレ引きでは無かろうな」

 ブラッドはそう言ってふん、と鼻を鳴らした。
 黒染の森、遺跡、ランプリット、どこかの田舎町。
 レイラの案内に従って、全員でウタがいそうな場所を捜索したが、すべて成果なしに終わっていたからだ。

 パーティーを先導するレイラは、松明を灯しながら答える。

「かもしれない。だが、心当たりはもう、ここしかない。むかし、ウタにその小屋を貸したことがあってな」

「なにか、事情があるのか?」

「……ほんとうはわたしの旧友をかくまっていた場所なんだ」

「レイラ――まだあの時のことを……」

 カティアが何が言おうとするのをさえぎり、レイラは言葉を選ぶようにして言った。

「これ以上はノーコメントよ、お姉ちゃん。ただ、私には、あの山で隠れるようにして住んでた旧友がいて、それが最後の手がかり。できれば行きたくない場所。それだけよ」


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