⇄ チェンジ  腐女子⇄ゆうた

はる

進展と期待と疑問

(やっぱり情報が少なすぎるんだ!!)
今更な事実を知った翌日、私はそう思い立った。そして、私はゆうたを見に行くことに決めた。
(今回はBL漫画とか不安要素もないし、ゆっくりゆうたを観察できる!!)
そう思ったのだ。しかし、この計画はあっさりと破れる事となった。
「は!?いないの??」
「うん。朝から出掛けてったよ。」
「マジで!?」
留守と言う予想外の事態が起きたのだ。
私に留守だと告げた翔真は悪くないのに申し訳そうにしていた。
どうしようか、とは思ったものの居ないなら仕方がない。
私は気持ちを切り替え、翔真に言った。
「よし、翔真、デートしよっか」
「え・・・うん。・・・ん?えっ・・・ちょっ・・・えっ・・・///」
最初は普通に返事したものの、みるみる赤くなっておどおどし始めた。
可愛いな、おい。
「どこ行きたい?」
「えっと・・・じゃあ・・・遊園地、とか・・・」
(ベタベタのベタだな・・・)
そう思ったが、そう言えば翔真と遊園地に行ったことなどなかった事を思い出した。
(いや、そもそも翔真と行った場所なんて・・・)
『翔真!!新刊発売するから付いて来て!!』
『よし、翔真!!今日は新しい推しを発掘しに行くぜ!!』
『やっば!!グッズ発売だよ!!翔真ーっ』
いつもこんなだった。
思い出すと罪悪感が襲ってきた。
(すまん、翔真。今日は・・・ってか、これからは翔真が行きたい所にとことん付き合うから許してくれ!!)
そんな事を思っていると翔真が恥ずかしそうに言った。
「・・・あの・・・手、繋ご・・・」
(うおっ、可愛い。いや、マジでとにかく可愛いんだけど)
「勿論」
ニコリと笑いながら、今現在我々がホモカップルとして注目を浴びている事は言わないでおこうと思った。






遊園地に着いた。
相変わらず注目を集めている。が、翔真はそんな視線には気づかずにこっちに夢中だ。
私も特に周りの視線を気にする質でもなく、堂々と歩いていた。
だが、この後、恥ずかしくなって手を離すべきだった・・・と、思うことになるのだった。
理由は簡単。友人と出くわしてしまったからだ。
「翔・・・真・・・?」
その言葉を聞き、振り向くと居たのは、私のもう一人の親友、柿谷公だった。
私は慌てたが、慌てるべきなのは私ではなかった。
(今、私はゆうたなのだから公とは赤の他人だった!!慌てたら逆におかしい!!・・・だが、翔真、お前は慌てるべきだと思うよ。)
そんな私の心の内は露知らず、翔真は
「あ・・・公?珍しいな、休日会うなんて」
と、言っている。
「お・・・おう」
しかし、翔真と男(私)が手を繋いでるのを見た公は動揺を隠せないようだ。
なのに翔真はそれに気づいてない。
(おーい、翔真くーん、公くん戸惑ってるよー)
と、心の中で思っていると、公の後ろからひょこっと小さな子達が現れた。
「かほが遊園地、行きたいゆったんだよー」
「にいにとデート」
「でっどコースター乗るのー」
柿谷家の三つ子ちゃん。かほちゃん、絢くん、りくくんだ。
(ウルトラスーパー可愛い。が、りくくん、デッドコースターって言うのはやめよ、不吉だから)
三つ子ちゃんは6歳。つまり、公の9つも下の弟妹達。そりゃ、公も当然可愛がっている。そのせいか、三つ子ちゃんはブラコン気味。中でも、真ん中の絢くんは、『にいにと結婚する』って、一華時代(って何だ(笑))に本人から聞いた程だ。
個人的には年齢差・兄弟カップルOKだから将来期待している。
(公には言えないけど・・・って、今はゆうただからどっちみち言えないな・・・)
「って言うか・・・翔真、さっきその男の人と手・・・繋「でっどコースター!!」
公が言いかけたが、りくくんが被せた。
りくくんは子供のジェットコースターに乗りたいようだ。
(それにしても公が途中まで言いかけたのに翔真はまだ気づかないんだな・・・)
「かほはクルクル!!」
(クルクル・・・コーヒーカップか空中ブランコか・・・って所かな?)
「観覧車!!にいにと二人で乗るー」
(二人で・・・意味深・・・)
「なあ、絢くん、何で二人で観覧車に乗りたいんだ?」
私は気になってしまい、こっそりと聞いた。
絢くんは、ニコリと意味ありげに微笑んだ。
(えっ、ちょっ、密室で襲う気か!?わぁ・・・二人っきりにしてみたい・・・けど私達もデート中だから無理だなー)
少し残念だけど私達も楽しまないと。
「よーし、俺らも行くか」
「・・・え?」
「デート。しないのか?」
「・・・します!!」
「じゃあ行くぞ。翔真。じゃあな、公。」
「え・・・」






・・・・・・
・・・
(ああああーっ!!)
(そう言えば最後に普通に公とか言っちゃった!!大失態だ!!普通に公、戸惑ってたし!!私までやらかすなんて!!・・・でも、ま、いいか・・・ただの馴れ馴れしい奴だとでも思うでしょ・・・まあ、最悪は・・・)
「大・・・丈夫?」
「ああ、うん。大丈夫、大丈夫。」
「本当か?」
「本当。それより早く行こう。まあ、まずは」
「そりゃな、」
「「ジェッおトばコけーやスしターき」」
(・・・ん?んん??)
「「何て言った?」」
「ジェットコースター。遊園地と言ったらジェットコースターだろ」
「えー、お化け屋敷でしょ!!翔真がビビってブルブルしてる姿が見たい!!」
「俺が怯える前提かよ・・・」
(あ・・・)
鋭いツッコミを入れられてハッとした。
翔真とは友達時代こんなノリだった。
私は特にその頃となんら変わらない感じだったが翔真は口調とか気にしていたのかもしれない。
「口調、昔みたいだね」
「ご・・・ごめん」
「私こそごめん、変えてくれてるの気づかなくて。でも昔みたいので良いんだよ、可愛いし」
「え・・・う、うん?・・・分かった。いや、ちょっと意味は分かってないけど・・・。・・・それならお前も・・・いつもみたいにもっとBLの話していいよ」
「・・・え?マジで?付き合ってるのに!?」
「だってそういうところ、含めてお前だから・・・お互い、素でいいじゃん。」
「本当?じゃあ話しちゃうよ?」
「うん」
(いいんだ・・・じゃあ・・・)
「・・・公ってさ、三つ子ちゃん大好きだよね?三つ子ちゃんも公大好きだけど私、昔、絢くんから公と結婚するって聞いたのね。それに今日は2人っきりで観覧車に乗りたいって言ってたじゃん?いや、襲う気か!?っての!!いや、マジで襲われるかもしれないよ?絢くんにさ、何で2人っきりで乗りたいの?って聞いたんだけどさ意味ありげな不敵な笑み!!いや、襲う気でしょ、襲うんだろ!!って思っちゃうよねー。いや、本当に将来2人付き合ってたりするかもよ?いや、もう願望。付き合って欲しい!!・・・あ、引いた?」
「べ・・・別に・・・それもお前だから・・・」
「それもお前だから、って、引いてたんじゃん」
「うっさい」
「あ、ごまかした。・・・ま、この際だからさ私も他にも言いたいことあるから言っていい?」
「うん」
「翔真って私のこと、お前って言うよね。呼べばいいか分かんないんでしょ。」
「うん。まあ・・・うん。」
「ゆうた・・・だと被るよねー。夕田?」
「口に出すと同じじゃねぇ?」
「うん・・・だね。ゆう・・・ゆう・・・ゆーた?」
「口に出すとほぼ同じ」
「Uーた」
「それも。てか、ダサい。」
「ゆう・・・ゆう・・・ゆう?」
「え・・・うん。」
「いや、ちょっと待てよゆうたとゆう、紛らわしい。カタカナにしよう。」
「了解。ユウな。・・・この際、俺も言いたいこと言って良い?」
「うん」
「お・・・ユウは自分のこと、私とか言ってさ、男になる気あんの?」
(うっ、辛辣・・・でも確かに!!)
「・・・ごめん。ちゃんと頑張ります。」
「うん。・・・これからはちゃんと言い合おうな」
「分かった。・・・じゃあ俺はお化け屋敷が良いです!!ってことで並びに行こーっ!!」
「えっ・・・ちょっ・・・待てよ。まだお化け屋敷にするなんて・・・ちょっ、ユウ!!」
・・・
・・・・・・






・・・・・・
・・・
「つっかれたー」
「え?そうなの??大丈夫?」
結局まずはお化け屋敷で翔真の可愛い姿を堪能し、その次にジェットコースターにも乗った。
「なんでお前は元気なんだよ、夕!!」
「俺が元気だと何か問題あるの??てか、逆になんでそんなに疲れてんの?」
体力は俺よりある筈なのに、と聞くと不服そうな顔をされた。
「は?お前がアトラクション制覇したいって途中で言い出したからだろうが!!」
「うん。けどさ、なんで翔真だけが疲れてんの?」
「それをこっちが聞いてんだよ!!なんでお前は疲れてねえんだよ!!」
「楽しいと疲れないじゃん。」
「いや、おかしいだろ!!」
「えー」
「何がえー、だ!!ばか…」
「うわっ、ヒド!!・・・てか、翔真は楽しくなかった?」
「楽しかった。楽しかったよ!!でも疲れんの!!」
(ふ~ん)
楽しかったと言いながら怒っている。
おかしくて可愛い。
怒っている翔真くんにプレゼント。
「翔真」
「・・・ん?」
チュッ・・・
「!?」
「よし、じゃあ帰るわ。バイバイ」
「・・・っっ///」
「またな」
「・・・っ///バ、バカ///」






家に着いたころは7時を過ぎていた。
(部活に入っていないゆうたがこんな時間に帰ることはないだろうからゆうた母に変に思われないかな・・・)
若干の不安を抱えながら家に入ろうとした。  
その時何故か・・・何気なく隣の家の方に目をやった。
(・・・っ!?)
その時、私が・・・俺が見たもの、俺が見た人物は間違いなく、元の姿の自分・・・すなわちゆうただった。
(何でここに・・・!?)


楽しかったデートは疑問と共に終わった。

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