⇄ チェンジ  腐女子⇄ゆうた

はる

ゆうた、早くね?

ゆ・・・う・・・た・・・
ゆうた!?
マジで!?
いや、いずれは現れるとは思ってたよ?
でもさ!!
早すぎる!!
展開早すぎるよ!!
まあさ、向こうが家電分かってたなら朝にだってかかってきててもおかしくなかったんだから遅いくらいでしょうよ。
でも!!私は電話というものの存在をすっかり忘れていたのだよ。
心の中で少しだけ電話の開発者をディスり、私はふう・・・と息を吐いた。
一華、ここが正念場だ。
いずれ乗り越えなければならない壁、ゆうた。その壁は今であろうとなかろうといずれ私の前に現れて行く手を阻む。ゆうたを倒さない限り、私は前に進めない。
「私はゆうたになる。邪魔はさせない。」


・・・・・・
・・・
「・・・分かりました」
(え、ちょっ、ええっ!?)
短い沈黙のあと、私の一大宣言はあっさりと了承された。
(いや、ちょっと簡単すぎないですか!?)
焦る私に対してゆうたは冷静に言った。
「これから入れ替わった姿で生きていくと言うのは賛成ですから・・・」
(マジか!!つまりは私達の利害が一致していたから神様が入れ替わらしてくれたって事か!!)
私はゆうたは敵として現れるものかと思っていたけれどよくよく考えてみれば神が一方の願いだけで理不尽にもう一方を巻き添えにするなんて事はありえない。
(うーん、よく考えなかった私の思い込みだったんだなー・・・にしても、ゆうたが同じ願いを持っていたとはねー、割と仲良くなれるかも!!)
「但し、我々は他人という事にして頂きたいのですがよろしいでしょうか?」
「あ、うん・・・」
(これまたあっさりと・・・)
「では・・・さようなら」
「はい・・・」
(はー、残念)
受話器を置いて私はガックリ肩を落とした。
(ゆうたになっての友達第1号になるかと思ったんだけどなー)
「ゆうた?電話どちら様だったの?」
気が抜けていたところへの突然の問いに私は慌てて答えた。
「え?あ・・・友達だよ。」
(友達!!)
自分で言った言葉でハッとなった。
私はさっきの電話で全く友人関係の事を聞いていなかった。情報を得る絶好のチャンスだったと言うのに。
(ほんっと、私のバカ!!!)
「あらそう。明日からまた学校ですものね」
「・・・え??」
(あ・・・)
そう言えば昨日は8月30日だった。
・・・という事は今日は夏休み最終日だ。
(夏休み・・・宿題・・・)
“私”は夏休みの宿題を7月中には終わらせていた。でも果たしてゆうたはどうだ!?
私は嫌な予感を感じ、慌ててゆうたの部屋に駆け込んだ。
探し出した課題一覧には殆ど線が引かれていた。・・・が、一番上の人権作文のところには何も引かれてなかった。
「ゆ・・・うた、良い度胸じゃないか」
私はゆうたを脳内で殴り、ペンを取った。
さあ、何をかこう。
人権作文も、私のこれからの物語も。









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