ATM~それが私の生きる意味~
好きなアイドル・おすすめのアイドル
「じゃあ次の議題に移ります!」
ささらは足元に置いてあるフリップを取りだした。
「続いては、『皆の好きなアイドル、おすすめのアイドルを紹介~!』」
わーっとささらは手拍子するが、他の二人は何の反応も示さない。
「で、これは何をするの?」
「そのまんまだよ。自分の好きなアイドルと今最もおすすめするアイドルを紹介するの。じゃあ手本としてまず私が紹介するね」
ささらは先陣を切って番組をスムーズに進めようとする。
「私の好きなアイドルは……、じゃん! 祀ちゃんと幸香ちゃんでーす」
「……」
「うーん、さすがにそれはウケを狙いすぎかな」
ささらの見え透いたお世辞に、あきれた反応をする二人。
「ちょっとー、私本当に二人のこと好きなんだけど。さっちゃんの地下アイドル時代のCDだって持ってるし、まっちゃんのジュニアアイドル時代のIVや写真集だって持ってるんだから。ほら」
まるであらかじめ用意していたかのように、ささらは自分の席の後ろに置いてあった鞄からグッズを取り出した。
「どうせオークションか何かで買ったものでしょ」
「さっちゃん酷い……。そんなに私を信じてくれないんだ」
「そのCDってさ、ライブの時にしか販売してなかったものなんだよね。私は地下アイドル時代にささらをライブで見かけたことがないから、一発で嘘ってわかるわよ」
「お客さんの顔、覚えてるんだー、意外」
「当たり前でしょ。一度でも私のイベントやライブに来てくれた人の顔は覚えてる。ささら、あんたもしかしてファンとの距離が近いアイドルとか謳っておきながらファンの顔を覚えてないの?」
「そ、そんなわけないじゃん!」
「怪しい……」
二人から疑惑のまなざしを向けられる。
「……はい! 話を戻しましょう。次は私のおすすめするアイドルなんだけど」
強引に話を切り上げ、次の話題に移る。
「私は主に関西で活動しているから、関西のおすすめアイドルを紹介するね。最近一緒に仕事をした子なんだけど、神内天満ちゃんって言ってさ、いい子だったよー」
「最近名を上げてきてるよね。私も聞いたことがある」
「あ、そうなんだ。ローカル人気はあるみたいだけど、全国ではまだ知られてないって聞いたから」
「じゃあ次は私が言うよ」
祀が名乗り出た。
「といっても、私は好きなアイドルもおすすめするアイドルも同じなんだよね」
「へー、誰なんだろ」
「徳永柚香ちゃん」
その名前を聞いた他の二人の表情が固まった。
「……久しぶりに聞いたなー、その名前」
「ささらちゃんと私にとっては懐かしい名前だよね」
「あの人今なにやってるの?」
「相変わらず、復帰に向けて頑張ってるみたいだよ」
「ふーん。さっちゃんは柚香さんのことどう思ってるの?」
ささらは幸香に話を振った。
「……別に」
「私としては聞いてみたいなー。だって柚香さんは元アイドル・トリニティーンだったし、柚香さんがいなくなってからさっちゃんが入ったんだもんね」
「嫌らしく説明するわね」
誤解を招きそうな説明の仕方をするささらに、嫌悪感を抱く幸香。
「あの人は何度も何度も怪我を重ねた結果、体が耐えられなくなったから活動休止したんでしょ。実力は申し分なかったけど、怪我をしやすい体質ってことは、元々アイドルに向いてないってことになるわ。スポーツ選手と同じで、怪我をしやすい人よりもしにくい人の方が評価される世界よ。特に実力があるなら尚更」
「厳しいね」
「同情しても誰にも得はないからね」
幸香は淡々と言ったが、その言葉には侮蔑の感情は入っていないように思えた。
「ふーん。まあさっちゃんはツンデレさんだから、内心では結構心配してるんでしょ」
「あ、ささらちゃんもそう思ったんだ」
どうやら二人の幸香に対する感想は同じのようだ。
「じゃあこの流れでさっちゃんの好きなアイドルとおすすめのアイドルを聞いちゃおうか」
「私の好きなアイドルは決まってるわ。木場綾女よ」
「まあ綾女さんだよね。幸香ちゃんは小さい頃に綾女さんから歌やダンスを教わったんだっけ?」
「そうね、結構長い付き合いよ」
幸香は昔を思い出すように言った。
「それで今は綾女さんが所属している事務所に入ってるんでしょ。これはもうコネを疑うしかないねー」
「好きに言ってなさい」
茶化すささらを、幸香は相手にしない。
「で、おすすめするアイドルだけど……」
幸香は少しだけ考え、言葉を発した。
「私はATMというアイドルかな」
「ほう、何かお金をたくさん持ってそうなアイドルだね」
「私も初めて聞いたかな。どんな子なの?」
ささらと祀の二人も興味を示した。
「んー、4人組のアイドルで、デビューはまだしていないんだけど、いい素質を持ってると思うって感じかな」
「へえ。さっちゃんがそう言うんだから、当然歌とダンスも上手いんだよね」
「それはわからない。でも、見た感じだと今は多分上手くはないと思う」
「将来性に期待って感じなんだね」
幸香は頷いた。
「ふむふむ、デビュー前のアイドルにもしっかりと目を向けているなんて、さっちゃんはやりますなあ。じゃあそろそろ次のコーナーに行きましょう!」
ささらは次のフリップを取り出した。
ささらは足元に置いてあるフリップを取りだした。
「続いては、『皆の好きなアイドル、おすすめのアイドルを紹介~!』」
わーっとささらは手拍子するが、他の二人は何の反応も示さない。
「で、これは何をするの?」
「そのまんまだよ。自分の好きなアイドルと今最もおすすめするアイドルを紹介するの。じゃあ手本としてまず私が紹介するね」
ささらは先陣を切って番組をスムーズに進めようとする。
「私の好きなアイドルは……、じゃん! 祀ちゃんと幸香ちゃんでーす」
「……」
「うーん、さすがにそれはウケを狙いすぎかな」
ささらの見え透いたお世辞に、あきれた反応をする二人。
「ちょっとー、私本当に二人のこと好きなんだけど。さっちゃんの地下アイドル時代のCDだって持ってるし、まっちゃんのジュニアアイドル時代のIVや写真集だって持ってるんだから。ほら」
まるであらかじめ用意していたかのように、ささらは自分の席の後ろに置いてあった鞄からグッズを取り出した。
「どうせオークションか何かで買ったものでしょ」
「さっちゃん酷い……。そんなに私を信じてくれないんだ」
「そのCDってさ、ライブの時にしか販売してなかったものなんだよね。私は地下アイドル時代にささらをライブで見かけたことがないから、一発で嘘ってわかるわよ」
「お客さんの顔、覚えてるんだー、意外」
「当たり前でしょ。一度でも私のイベントやライブに来てくれた人の顔は覚えてる。ささら、あんたもしかしてファンとの距離が近いアイドルとか謳っておきながらファンの顔を覚えてないの?」
「そ、そんなわけないじゃん!」
「怪しい……」
二人から疑惑のまなざしを向けられる。
「……はい! 話を戻しましょう。次は私のおすすめするアイドルなんだけど」
強引に話を切り上げ、次の話題に移る。
「私は主に関西で活動しているから、関西のおすすめアイドルを紹介するね。最近一緒に仕事をした子なんだけど、神内天満ちゃんって言ってさ、いい子だったよー」
「最近名を上げてきてるよね。私も聞いたことがある」
「あ、そうなんだ。ローカル人気はあるみたいだけど、全国ではまだ知られてないって聞いたから」
「じゃあ次は私が言うよ」
祀が名乗り出た。
「といっても、私は好きなアイドルもおすすめするアイドルも同じなんだよね」
「へー、誰なんだろ」
「徳永柚香ちゃん」
その名前を聞いた他の二人の表情が固まった。
「……久しぶりに聞いたなー、その名前」
「ささらちゃんと私にとっては懐かしい名前だよね」
「あの人今なにやってるの?」
「相変わらず、復帰に向けて頑張ってるみたいだよ」
「ふーん。さっちゃんは柚香さんのことどう思ってるの?」
ささらは幸香に話を振った。
「……別に」
「私としては聞いてみたいなー。だって柚香さんは元アイドル・トリニティーンだったし、柚香さんがいなくなってからさっちゃんが入ったんだもんね」
「嫌らしく説明するわね」
誤解を招きそうな説明の仕方をするささらに、嫌悪感を抱く幸香。
「あの人は何度も何度も怪我を重ねた結果、体が耐えられなくなったから活動休止したんでしょ。実力は申し分なかったけど、怪我をしやすい体質ってことは、元々アイドルに向いてないってことになるわ。スポーツ選手と同じで、怪我をしやすい人よりもしにくい人の方が評価される世界よ。特に実力があるなら尚更」
「厳しいね」
「同情しても誰にも得はないからね」
幸香は淡々と言ったが、その言葉には侮蔑の感情は入っていないように思えた。
「ふーん。まあさっちゃんはツンデレさんだから、内心では結構心配してるんでしょ」
「あ、ささらちゃんもそう思ったんだ」
どうやら二人の幸香に対する感想は同じのようだ。
「じゃあこの流れでさっちゃんの好きなアイドルとおすすめのアイドルを聞いちゃおうか」
「私の好きなアイドルは決まってるわ。木場綾女よ」
「まあ綾女さんだよね。幸香ちゃんは小さい頃に綾女さんから歌やダンスを教わったんだっけ?」
「そうね、結構長い付き合いよ」
幸香は昔を思い出すように言った。
「それで今は綾女さんが所属している事務所に入ってるんでしょ。これはもうコネを疑うしかないねー」
「好きに言ってなさい」
茶化すささらを、幸香は相手にしない。
「で、おすすめするアイドルだけど……」
幸香は少しだけ考え、言葉を発した。
「私はATMというアイドルかな」
「ほう、何かお金をたくさん持ってそうなアイドルだね」
「私も初めて聞いたかな。どんな子なの?」
ささらと祀の二人も興味を示した。
「んー、4人組のアイドルで、デビューはまだしていないんだけど、いい素質を持ってると思うって感じかな」
「へえ。さっちゃんがそう言うんだから、当然歌とダンスも上手いんだよね」
「それはわからない。でも、見た感じだと今は多分上手くはないと思う」
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