ATM~それが私の生きる意味~
デビュー決定
その後もATMのメンバーは、デビューする日を夢見て日々レッスンや営業に明け暮れていた。
そしてATMが結成されてから一年が経過したある日。
「皆、ついにデビューすることが決定したぞ!」
信二の突然の言葉に、四人は驚きと喜びの表情を浮かべた。
「え……、私たちデビューできるんですか!」
「ああ」
信二は力強くうなずいた。
「やっとかー。一年も待たされちゃったよ」
「皆の実力がバラバラなんだし、調整するためにそれぐらいの時間がかかってもしょうがないよ」
「それで、いつデビューできるの?」
時雨が信二に尋ねる。
「2か月後にファーストシングルをリリースする予定だ」
「2か月後か」
具体的な期日を言われると、本当にデビューするという実感が湧いてくる。
「もう曲の制作は進んでいるぞ。三日後には完成する」
「え、もう!?」
「レコーディングは二週間後に行うらしいから、それまでに曲をしっかりと覚えておくんだぞ」
予想外の流れに、戸惑う四人。
「何か、私たちの知らないところで結構進んでたんですね」
「お前たちが努力しているんだから、俺たちだってしっかり仕事しなきゃだしな」
「曲の完成が楽しみだね!」
「ダンスの振り付けはどうなるんだろう」
恵未が言った何気ない言葉をきっかけに、クロナはあることを思い出した。
「そうだ、信二さん。明佳さんの件はどうなったんですか?」
「……それは、後でわかるんじゃないかな」
信二は答えをはぐらかした。
「……?」
気にはなったが、深く詮索しないようにした。
「ついにこの時雨ちゃんが日本中に名前を轟かせるときがきたのか……。苦節14年、とうとうこの日が来ました……」
「相変わらずだね時雨。私も思いっきり目立てるようにしなきゃね!」
時雨と彩希はデビューが決まったことに喜び、意気込んでいるようだ。
「……これで、幸香に一歩近づけたのかな」
恵未も目標に向かって一歩進めたことに喜んでいる。
そしてクロナは、
「やっと、ここまで来た。けど、まだ私は何もやっていない」
胸にある思いを抱いていた。
三日後、事務所に四人のもとにデビュー曲が届いた。
曲を聴き、各々の感想を述べた。
「爽やかな明るめの曲なんですね」
「デビュー曲からマニアックな方向に行っても人は興味を持ちにくいからな。まずは大衆を掴むことが大事だ」
最初が肝心なので、信二は一般受けするような曲を制作した。特にデビューシングルとなると長く活動をすればするほど大切なものになってくるので、力を入れて制作したのだ。
「うん、そうだね。後はこの時雨ちゃんの美貌で……」
「いやいや、私のダンスとこのアニメ声で……」
「どっちも必要だよ」
お互いに自己主張する彩希と時雨を、恵未は上手くコントロールした。
「それで、この曲の振り付けはどうなっているんですか?」
「それについては、振付師から聞くのがいいだろう」
信二がそう言うと、部屋のドアを開けて一人の女性が入ってきた。
クロナにとっては見覚えがある顔だ。
「明佳さん!」
「クロナちゃん久しぶり。そしてATMのメンバーは初めましてだね。私は喜多明佳。皆の曲の振り付けを担当することになりました。これからよろしくね」
「「「よろしくお願いします!」」」
明佳とメンバーたちはお互いに挨拶を交わす。
「明佳さん、来てくれたんですね。嬉しいです」
「そう言ってもらえるとこっちも嬉しいよ。これからよろしくね」
「はい!」
クロナは元気よく返事をした。
そしてATMが結成されてから一年が経過したある日。
「皆、ついにデビューすることが決定したぞ!」
信二の突然の言葉に、四人は驚きと喜びの表情を浮かべた。
「え……、私たちデビューできるんですか!」
「ああ」
信二は力強くうなずいた。
「やっとかー。一年も待たされちゃったよ」
「皆の実力がバラバラなんだし、調整するためにそれぐらいの時間がかかってもしょうがないよ」
「それで、いつデビューできるの?」
時雨が信二に尋ねる。
「2か月後にファーストシングルをリリースする予定だ」
「2か月後か」
具体的な期日を言われると、本当にデビューするという実感が湧いてくる。
「もう曲の制作は進んでいるぞ。三日後には完成する」
「え、もう!?」
「レコーディングは二週間後に行うらしいから、それまでに曲をしっかりと覚えておくんだぞ」
予想外の流れに、戸惑う四人。
「何か、私たちの知らないところで結構進んでたんですね」
「お前たちが努力しているんだから、俺たちだってしっかり仕事しなきゃだしな」
「曲の完成が楽しみだね!」
「ダンスの振り付けはどうなるんだろう」
恵未が言った何気ない言葉をきっかけに、クロナはあることを思い出した。
「そうだ、信二さん。明佳さんの件はどうなったんですか?」
「……それは、後でわかるんじゃないかな」
信二は答えをはぐらかした。
「……?」
気にはなったが、深く詮索しないようにした。
「ついにこの時雨ちゃんが日本中に名前を轟かせるときがきたのか……。苦節14年、とうとうこの日が来ました……」
「相変わらずだね時雨。私も思いっきり目立てるようにしなきゃね!」
時雨と彩希はデビューが決まったことに喜び、意気込んでいるようだ。
「……これで、幸香に一歩近づけたのかな」
恵未も目標に向かって一歩進めたことに喜んでいる。
そしてクロナは、
「やっと、ここまで来た。けど、まだ私は何もやっていない」
胸にある思いを抱いていた。
三日後、事務所に四人のもとにデビュー曲が届いた。
曲を聴き、各々の感想を述べた。
「爽やかな明るめの曲なんですね」
「デビュー曲からマニアックな方向に行っても人は興味を持ちにくいからな。まずは大衆を掴むことが大事だ」
最初が肝心なので、信二は一般受けするような曲を制作した。特にデビューシングルとなると長く活動をすればするほど大切なものになってくるので、力を入れて制作したのだ。
「うん、そうだね。後はこの時雨ちゃんの美貌で……」
「いやいや、私のダンスとこのアニメ声で……」
「どっちも必要だよ」
お互いに自己主張する彩希と時雨を、恵未は上手くコントロールした。
「それで、この曲の振り付けはどうなっているんですか?」
「それについては、振付師から聞くのがいいだろう」
信二がそう言うと、部屋のドアを開けて一人の女性が入ってきた。
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「クロナちゃん久しぶり。そしてATMのメンバーは初めましてだね。私は喜多明佳。皆の曲の振り付けを担当することになりました。これからよろしくね」
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