ATM~それが私の生きる意味~
事務所にて
「それはずいぶん運が良かったんだねえ」
クロナの話を聞いた明佳が言った。
「はい。でも、私だけこんな形でデビューしてよかったのかなって思います」
予想外のケースでアイドルデビューできることになったクロナは戸惑っているようだ。
「オーディションで落ちてもどこかの事務所からスカウトされるなんて話は結構あるし、気にしなくていいと思うぞ」
「そうでしょうか……」
「ああ」
少し申し訳なさそうにしていたクロナに、信二は諭すように言った。
「それで、いつから事務所に入るの?」
「早い方がいいと言っていたので、今週中には。あ、それと……」
思い出したかのようにクロナは発言した。
「どうしたんだ?」
「信二さんと明佳さんにも来てほしいって言ってました」
「え?」
クロナの言葉を聞いた二人は顔を見合わせた。
「どうして俺たちを?」
「私がオーディションで披露した曲と踊りは誰が作ったのかを聞かれたので、お二人の名前を言ったら、できれば二人とも連れてきてほしいって」
「……どうすんの、信二」
「うーん。まあ行くだけ行ってみればいいと思うけどな。特に何かさせるわけでもないだろうし」
突然のことに頭を悩ませる明佳に、信二は安易に答える。
「まあ、行くだけ行ってみるか」
あまりにも安易な考えだが、明佳も信二の意見に同調した。
「じゃあ日にちは後日伝えますね。当日はよろしくお願いします」
クロナはぺこりとお辞儀をした。
数日後、信二と明佳はクロナと共にHNプロダクションへと訪れた。
「ここか……」
「駅ビルの一室に事務所を借りてるのね」
「まあ大手以外はそんなもんだろ」
エレベーターで4階まで昇り、受付で社長とのアポイントメントがあることを述べる。
しばらく待つと、初老の男性がクロナたちの前に現れた。
「お待たせ、クロナさん。そちらのお二方が件の人たちかね?」
「はい。信二さんと明佳さんです」
クロナは社長に信二と明佳を紹介した。
「初めまして、平野信二です」
「初めまして、喜多明佳といいます」
「よろしくお願いします、お二方。私は社長の飯田と申します」
飯田は二人に一礼をし、
「早速本題に入りたいと思います。今回、お二人を呼んだのは他でもありません。是非我がプロダクションで働いてほしいと思い、お誘いしました」
「……え?」
信二と明佳は顔を見合わせた。
「どうして俺たちを?」
「クロナさんの歌とダンスを見て、素晴らしい曲と振り付けだと思った。ただそれだけです」
「……どうする、明佳?」
信二はヒソヒソと明佳に耳打ちした。
「私はともかく、あんたは迷っている状況じゃないんだし、受けた方がいいんじゃないの?」
「……そうだな」
信二は決心し、
「俺はその申し出を受けようと思います」
と飯田に言った。
「ありがとう。喜多さんはどうですか?」
「……私は少し考えさせてください。嬉しい申し出とは思いますが、即断即決はできません」
「わかりました。良い返事をお待ちしています」
明佳の回答に、飯田は納得しているようだ。
「それではクロナさん、本日からよろしくお願いします。早速我が事務所を見て回りましょうか」
「はい。こちらこそよろしくお願いします」
「お二方もどうぞご一緒に」
飯田に連れられ、三人はHNプロダクションを見て回ることにした。
クロナの話を聞いた明佳が言った。
「はい。でも、私だけこんな形でデビューしてよかったのかなって思います」
予想外のケースでアイドルデビューできることになったクロナは戸惑っているようだ。
「オーディションで落ちてもどこかの事務所からスカウトされるなんて話は結構あるし、気にしなくていいと思うぞ」
「そうでしょうか……」
「ああ」
少し申し訳なさそうにしていたクロナに、信二は諭すように言った。
「それで、いつから事務所に入るの?」
「早い方がいいと言っていたので、今週中には。あ、それと……」
思い出したかのようにクロナは発言した。
「どうしたんだ?」
「信二さんと明佳さんにも来てほしいって言ってました」
「え?」
クロナの言葉を聞いた二人は顔を見合わせた。
「どうして俺たちを?」
「私がオーディションで披露した曲と踊りは誰が作ったのかを聞かれたので、お二人の名前を言ったら、できれば二人とも連れてきてほしいって」
「……どうすんの、信二」
「うーん。まあ行くだけ行ってみればいいと思うけどな。特に何かさせるわけでもないだろうし」
突然のことに頭を悩ませる明佳に、信二は安易に答える。
「まあ、行くだけ行ってみるか」
あまりにも安易な考えだが、明佳も信二の意見に同調した。
「じゃあ日にちは後日伝えますね。当日はよろしくお願いします」
クロナはぺこりとお辞儀をした。
数日後、信二と明佳はクロナと共にHNプロダクションへと訪れた。
「ここか……」
「駅ビルの一室に事務所を借りてるのね」
「まあ大手以外はそんなもんだろ」
エレベーターで4階まで昇り、受付で社長とのアポイントメントがあることを述べる。
しばらく待つと、初老の男性がクロナたちの前に現れた。
「お待たせ、クロナさん。そちらのお二方が件の人たちかね?」
「はい。信二さんと明佳さんです」
クロナは社長に信二と明佳を紹介した。
「初めまして、平野信二です」
「初めまして、喜多明佳といいます」
「よろしくお願いします、お二方。私は社長の飯田と申します」
飯田は二人に一礼をし、
「早速本題に入りたいと思います。今回、お二人を呼んだのは他でもありません。是非我がプロダクションで働いてほしいと思い、お誘いしました」
「……え?」
信二と明佳は顔を見合わせた。
「どうして俺たちを?」
「クロナさんの歌とダンスを見て、素晴らしい曲と振り付けだと思った。ただそれだけです」
「……どうする、明佳?」
信二はヒソヒソと明佳に耳打ちした。
「私はともかく、あんたは迷っている状況じゃないんだし、受けた方がいいんじゃないの?」
「……そうだな」
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「俺はその申し出を受けようと思います」
と飯田に言った。
「ありがとう。喜多さんはどうですか?」
「……私は少し考えさせてください。嬉しい申し出とは思いますが、即断即決はできません」
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