ATM~それが私の生きる意味~
オーディション当日 二次審査
Aグループの審査が全て終り、一次審査の結果が発表された。
クロナは無事に合格することができ、二次審査へと駒を進めた。二次審査ではダンスの技術、魅せ方などが審査される。単に上手いだけでは合格はできない。例え技術が乏しくても、人を魅了する何かがあれば、合格へ近いのは後者だという。
「それでは、二次審査を始めたいと思います。二次審査は、課題曲に合わせてダンスをしていただきます。技術も大事ですが、アイドルとしては人を魅了する踊りでないと、ファンを増やすことはできません。なので、技術よりも将来性を重視したいと思います」
将来性。
ダンスやアイドルに限らず、何事にも必要なものだ。
今は大した実力でなくても、いずれ力をつけてトップに立つであろう人材を欲している。この事務所は、早熟な人間よりも大器晩成型の人間を手に入れたがっているように思える。
「では早速参ります。名前を呼ばれた方は前へ出てきてください」
二次審査が始まった。
一次審査である程度人数は絞られたとはいえ、まだ半分近くのアイドル志望が残っていた。彼女たちのダンスの実力はというと、クロナと比べるとどこか拙い。中にはクロナが上手いと思った人もいるが、それでも実際にはクロナよりも実力は落ちる。これならば、クロナがよほどの失敗をしない限り合格は間違いないだろう。
「それでは次の方お願いします」
「はい」
いよいよ出番がやってきた。
クロナは立ち上がり、ステージへと向かった。
ステージの上からは、椅子で座っていたときとは違う景色が見える。アイドル志望たちの緊張した表情や、審査員たちの険しい表情など、まさに十人十色だ。
だがクロナの頭に緊張という文字はない。曲が流れ始めると、いつも練習するかのように踊りだした。
不思議と足や体全体が軽く感じる。いつも以上の力が出せているのが目に見えてわかる。信二や明佳が懸念していた要素は、クロナにとっては無駄な心配だったようだ。
結局、クロナは曲の終わりまで一つのミスもすることなく踊り終えた。クロナは静かに礼をし、ステージから降りて席に着く。
その後も様々なアイドル志望たちがダンスを披露したが、いずれもクロナを凌駕するものはなかった。
もはや、二次審査合格の結果発表を聞くまでもなかった。
案の定、合格者はクロナだった。
これでAグループの審査が全て終わった。クロナは一室に呼び出され、そこで時間まで待機することになった。
「ふう。次で最後だ、頑張ろう」
あと一歩で、ついにアイドルデビューとなる。
流石のクロナも、体がこわばる。ここで落選してしまったら、半年間の努力は全て水の泡だ。何としても合格しなければ。
とはいっても、今やることなど何もない。最終審査に向けて、気持ちの整理をしておくぐらいしかできないだろう。クロナは深呼吸をし、ざわつく心や強張る体を落ち着かせた。
「それでは時間になりましたので、最終審査会場までご案内します」
スタッフの一人の言葉で、ついに最終審査が始まる。
心に不安を残しながらも、その先にある夢を見据え、クロナは会場へと歩き出した。
クロナは無事に合格することができ、二次審査へと駒を進めた。二次審査ではダンスの技術、魅せ方などが審査される。単に上手いだけでは合格はできない。例え技術が乏しくても、人を魅了する何かがあれば、合格へ近いのは後者だという。
「それでは、二次審査を始めたいと思います。二次審査は、課題曲に合わせてダンスをしていただきます。技術も大事ですが、アイドルとしては人を魅了する踊りでないと、ファンを増やすことはできません。なので、技術よりも将来性を重視したいと思います」
将来性。
ダンスやアイドルに限らず、何事にも必要なものだ。
今は大した実力でなくても、いずれ力をつけてトップに立つであろう人材を欲している。この事務所は、早熟な人間よりも大器晩成型の人間を手に入れたがっているように思える。
「では早速参ります。名前を呼ばれた方は前へ出てきてください」
二次審査が始まった。
一次審査である程度人数は絞られたとはいえ、まだ半分近くのアイドル志望が残っていた。彼女たちのダンスの実力はというと、クロナと比べるとどこか拙い。中にはクロナが上手いと思った人もいるが、それでも実際にはクロナよりも実力は落ちる。これならば、クロナがよほどの失敗をしない限り合格は間違いないだろう。
「それでは次の方お願いします」
「はい」
いよいよ出番がやってきた。
クロナは立ち上がり、ステージへと向かった。
ステージの上からは、椅子で座っていたときとは違う景色が見える。アイドル志望たちの緊張した表情や、審査員たちの険しい表情など、まさに十人十色だ。
だがクロナの頭に緊張という文字はない。曲が流れ始めると、いつも練習するかのように踊りだした。
不思議と足や体全体が軽く感じる。いつも以上の力が出せているのが目に見えてわかる。信二や明佳が懸念していた要素は、クロナにとっては無駄な心配だったようだ。
結局、クロナは曲の終わりまで一つのミスもすることなく踊り終えた。クロナは静かに礼をし、ステージから降りて席に着く。
その後も様々なアイドル志望たちがダンスを披露したが、いずれもクロナを凌駕するものはなかった。
もはや、二次審査合格の結果発表を聞くまでもなかった。
案の定、合格者はクロナだった。
これでAグループの審査が全て終わった。クロナは一室に呼び出され、そこで時間まで待機することになった。
「ふう。次で最後だ、頑張ろう」
あと一歩で、ついにアイドルデビューとなる。
流石のクロナも、体がこわばる。ここで落選してしまったら、半年間の努力は全て水の泡だ。何としても合格しなければ。
とはいっても、今やることなど何もない。最終審査に向けて、気持ちの整理をしておくぐらいしかできないだろう。クロナは深呼吸をし、ざわつく心や強張る体を落ち着かせた。
「それでは時間になりましたので、最終審査会場までご案内します」
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