声の神に顔はいらない。

ファーストなサイコロ

128 男が見栄を張ると搾り取られる、それがカジノって場所だ!

「がっはっは!!」

 両手に花とはこのことか。俺は今、美女を二人抱えてる。俺はあいつみたいにカジノが目的じゃない。女あさりが目的だ。意外だとよく言われるが、俺はそこまでギャンブルに興味があるわけじゃない。なにせ俺は人生のギャンブルをやってるんだ。
 まあ嫌いな訳ではない。寧ろ好きだが……俺はギャンブル運がないと言うことを知ってる。そのせいで何度、この街から夜な夜な逃げ出したか……だが、やはりここにはイイ女いるな。今、俺が両腕に抱えてる女はどっちも胸元が大きく開いたドレスを着てる。
 はっきり言おう、零れそうだ。尻もでかい。やはり女はこうでなくてはならない。しかもここはVIPルーム。居る女のレベルも高い。

「ねえねえ、次は何をしましょうか?」
「次こそはバッシュ様の大勝ちするところを見てみたいですわ」
「ははは! まあ俺なら、一夜でビルを築くくらい設けるくらい訳ないがながははは!! いや、この再このラスベガスでも買える位勝つか? 勝っちまうか?」

 美女の前で弱気な発言なんてしない。それが俺の座右の銘だ。

「それでは一体どれにしましょう? ブラックジャックかポーカーかクラップスか……まあバッシュ様ならどれでも良いですよね?」
「まあ、俺ほどになると、ゲームを選びはしないからな」

 その全部不得意だけどな!! だが、そんな事を美女には言わない。弱気な姿なんて男はみせない。だが、今は俺だけじゃなく、あいつにも迷惑掛ける事になるからな。だが俺は自分でいうのも何だが、女の扱いには慣れてる。
 物心がついたときから、近くにいた女に迫ってたくらいだからな。俺はこれまでの人生、女が尽きた事がないのが自慢でもある。だからこそ、女の扱いにも慣れてるというもの。

「だがそうだな、ゲームの間中お前等を手放すのも……な? それにどうせなら、俺がカジノのイロハを直々に教えてやるぜ」

 彼女達はなかなかにこんな場所になれてないのか、どれもおっかなびっくりと言う感じてやってた。少し賭けて、少し儲けてそして止めるみたいなものばっかりだ。大きく賭けた事などないんだろう。まあそっちのほうが良いがな。

 それにここはVIPルーム。下手に掛け金を大きくすると、直ぐに財布はスッカラカンになるだろう。まあここに居る奴らでそこまで財布の中身がない奴なんて……俺くらいかもしれないが。あのクソジジイ、俺にはカード渡してないんだ。
 確かに、俺なら一夜でカード使用不可にまで持って行く自信があるが……どうせ有り余った金があるんだろうし、死蔵しておくくらいなら、俺に使わせろと思う。まああいつからスってもいいんだが……どうせわからないだろうし。日本人と言うのは警戒心がなさ過ぎる。
 まあだが、あいつはビジネスパートナーだからな。関係が悪化する様な事は出来ればしたくない。それに案外くそ真面目なあいつと気が合う。大体、俺に監督のオファーしてくる奴らなんて、上から目線だし、わかってない指示を出す奴らばかりだったが、あいつとはなかなかに意見が合う。

 俺もあいつの作品なら映像にしたいと思ったのも大きいかもしれない。オファーは沢山あったが、結局最後まで録れた奴なんてなかった。今までは途中で下ろされてからな。だが、今回はいけそうな気がするから、言い関係で居たいとこころがけてる。だからあいつの迷惑になることはしないさ。

 これでも動画配信サイトではかなりの人気がある。収入はそれでも十分だ。まあ撮影に予算ぶっ込んでるから万年金欠だが、今は余裕はある。とりあえずこの二人の美女と今晩ベッドにいけるくらいまで持って行きたい。彼女達の興味を俺から外させる訳にはいかいな。
 それにこのままゲームをしないんじゃ、俺の器を疑われる。女とは大きい男にコロッと逝く生き物だ。それを最小限の金で最大限にみせる手段……

「おい、ちょっと場所を貸してくれないか? それに一人わかってる奴を頼む」
「かしこまりました」

 こういうVIPルームでは少人数、または個人でやれる場所がある。その場合、カジノのスタッフをつけて、不正がないかとかを証明もしてもらえる。まあここに居るのはVIPだからな。商談とかをギャンブルで決める道楽者もいるんだろう。
 今回はそれを使わせてもらおう。なにせ俺も今はVIP。使える物は使う主義だ。それに三人で個人的な賭けならお遊びみたいな物である。カジノだから掛け金がないなんて事は出来ないが、三人で個室でイチャイチャしながらやるのはもう、ギャンブルというか、新しい何か……かもしれない。

「な……んだと?」

 俺の口からはそんな声がついてでていた。それなりに豪華な個室に三人でトランプを持ってる俺たちに甘い雰囲気なんて物は……ない。いや、美女二人はとてもあまあまだが、俺にはそれはなかった。

「これでまた、私たちの勝ちですね。さて次に行きましょうか?」
「いや、俺は……そろそろ……」
「いやですわバッシュ様。私たち、まだ何も教わってませんわ」

 逃げられない。俺はそれを悟った。

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