声の神に顔はいらない。

ファーストなサイコロ

112 絡みつく蛇の様

 あれから二日が経った。布団から転がって冷えたからもぞもぞと再び布団を目指す。けどその時、スマホがなってた。私はスマホに手を伸ばした。

「うーああああ」

 朝っぱらから奇声を出してをしまう。イヤだって、体がバキバキで……冬となるとね。凍えそうである。それにそろそろ三十路も見えてくる頃合いだし……十代の時みたいに朝から元気いっぱい……

(そんな事十代の時からなかったな)

 思い返すと十代の時から何も変わってない。悲しくなってくるから、あんまり深く考えないようにしてスマホを見る。一体こんな朝っぱらから何だというのか……どうせお母さんか何かだろうと思う。だって友達なんて数える程しかいないし、こんな朝早くからスマホをならす常識知らずは……居ないこともないが、今は私よりもかまう相手が彼女にはいるだろう。

 最近はずっとメール爆撃とかしてるとかいってるし……先生ご愁傷様です。だからあいつでは無いと思う。そうなると……

「お母さん?」

 とか予想してみる。けど違った。

「マネージャー?」

 こんな朝っぱらからマネージャーから連絡が来るとは……珍しい。一応あの人は常識人だ。それにそんなに仕事がない私には朝っぱらから連絡する事なんか無かったはずだけど……でも今はその可能性に自分自身心当たりはある。

「もしかして……」

 私の頭はさえていた。さっきまでの眠気眼はどこかへと行ってた。姿勢を正して、自然と正座して私は画面を見る。送られたメールを緊張しながら開く。そして目を通した。それは簡素な物だった。

『愛西さんから簡単な構成の案が届いたから目を通してくれ』

 とかあった。どうやら画像が添付してある。それを開いてみる。なんか手書きのノートを写真で撮った物みたいだけど……正直見にくい。どうやら一回のラジオで三人くらいのキャラを出して、面白おかしくアニメの裏側とか、リスナーのメールとかを紹介とかしてく感じになってる。

 初っぱならリスナーがいるの? とか思うが、そこはどうとでもなるかな。あんまり一回にキャラがいっぱいだと収集がつかなくなるし、このくらいが無難だとは思う。てか……愛西さん、引き受けてくれるんた。あのボーリング勝負のあと、考えてみるっていってた。

 一応プロデューサーにその話をしたらあいつからも接触してみるとかいってたが、正直心配で仕方なかった。だってこのアニメのプロデューサーはあいつだからね。せっかく考えてくれてた愛西さんが白紙にするんじゃないのかと思ったが、構成まで考えてくれてるってことはきっとやってくれるって事だよね。
 よかったよかった。するとまたメールが届いた。目を通した確認と、そして問題が一つある――との事だ。

「問題?」
『進行が別でいる』

 ああ、確かにこの愛西さんの案ではそうだね。私はキャラを演じるからね。キャラの中で進行役に慣れそうなやつが居ないわけでもないけど、どうやら愛三さん的には皆進行よりも役者にするみたいだ。ってなると、確かにもう一人必要だ。私がやれないわけもないけど……流石にそれは負担がありすぎるとマネージャーは思ってくれたんだろう。

「一体誰にしましょう?」
『一応、協力的な奴はいる』
「そうなんですか? 誰ですか?」
『…………浅野芽衣だ』
「なんで、あの子が?」
『手伝うってお前にいったんじゃないのか?』
「そんなこと……あっ」

 浅野芽衣の腹黒さをしってるし、そんなことをあいつが言うわけ……とか思ってると、思い出した。ちょっと前に事務所で会ったとき、確かにそのとき言われたかもしれない。いや、マジだったの? 感謝よりも、何考えてるの? っていう疑いが真っ先に浮かんできた。

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