命改変プログラム

ファーストなサイコロ

1850 前に進む為のXの問い編 223

沼地へとコースが変わった。実際沼地に脚をとられる……なんて事はないからヴァレル・ワンはすいすいと進んでいく。岩が無くなって進みやすくなって、スピードもグイグイと上げていける。とりあえず障害物はなくなったし、いつもの状態に戻ってる。

 なにせいつも集中状態じゃ疲れるからね。風を大量に取込んでの操縦も長くやってると、それだけ機体に負荷がかかってる。ギシギシ言い出すからね。なにせ耐久性無視して穴開いてるから……

 後ろから迫ってた集団も沼地に入ってきてる。あいつらは派手に重火器を使用してるからな。なるべく距離を開けておきたい。それなりに離れてはいるが……どうだろうか? 沼地に入った時にけっこう固まってたあいつらも広がって、スピードを上げてるようだ。

 岩礁地帯だったから近くてモタモタするしか無かったから、あいつらも打ち合いをしてたのかもしれない。ここは広くて、障害物もほぼ無い。時々水柱が噴き出すが、それに巻き込まれたら運が無かったとしか言いようがない。

 だからスピード勝負になってるのかもしれない。でもそれなら僕は追いつかれることはないという自信がある。なにせこっちは色々と省いて、更に機体に穴を開けてまで軽量化してる。装備だって僕のヴァレル・ワンは本当に最低限だけだ。エンジンとフレームとボディと後はそれを支える機構だけ。

 それに対して後ろの奴等はどうかいうと、色々とつけてる。それこそ武装だってそうだし、エンジンだって一つじゃ無くて三つ、四つとつけてたりね……うん……

(四つや五つって)

 ――そんな事を思ってるとめっちゃ熱い熱気が横を通っていった。そしてそれを運転してる奴は「ひゃっはあああああ!!」とか「よっしゃあああああ!!」とか「みたかおらああああ!!」とかいって先に進んでく。

 うん……重装備のくせに直線では僕の機体よりもスピード出せるとかズルい。重さなんてエンジンを何個もつけて無理矢理解決ってか!! 実際そんな事は危険すぎるからリアルではやれない手法だろう。めっちゃ早くなるけどそれは一時的だし、行き成りの超加速は本当なら人体に悪い。内蔵とか骨とかに影響がある可能性がある。

 けどここはLROだ。そんな影響は無視出来てるからこそ、何個もエンジンを積んでる重量級が多いんだろう。寧ろ軽量化してる機体のほうが全然少ない。これは選択ミスったのか? とか思うけど、もうレースは始まってる。自分の選択を信じるしか無い。

 そもそもが他のプレイヤーから奪ったパーツで組み立てるって言う罪悪感を少しでも減らすために最低限にしてるってのもある。それにこれならやれるって目処もあったんだ。確かに直線ではそのエンジン性能を存分に発揮できるだろう。

 でもリスクも完全に無いわけじゃ無い。それだけゴテゴテしてたら、機体は大きくなるから、被弾の可能性は高まる。シールドが守ってくれているだろうけど、機械とかどんな些細なことで調子を崩すかなんてわかんない物だ。

 それにデカいエンジンを同調して制御するって案外難しい物の筈。その同調が少しでも崩れたら……機体がバラバラになる……なんて事も起るかもしれない。それにさっきの岩礁地帯のように走りにくい場所だってあるだろう。小回りがきいて軽いメリットはきっと生きる!

 何機かに抜かれたが、それでも僕は焦らずにレースを進めるよ。

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