命改変プログラム

ファーストなサイコロ

1646 前に進む為のXの問い編 8

(さて、どうするか?)

 この毒の霧自体を吹き飛ばすのは簡単だ。ちょっと風を操ればいける。でもある意味でこの霧を利用して視界を防ぐってこっちにも有用かもしれない。
 これでも僕には見えるしね。僕の目は本当に見えすぎる位だから……まあけど、向こうだって自分の罠にかかった獲物を狩るすべがあるはずだ。だから向こうも僕の姿は見えてるだろう。

(なら、ちょっと演技でもするか)

 僕の力は大体バレてるだろうけど、この目の性能は多分大丈夫だと思う。バレてない。いや、バレててもスキルとかではないからな。リアルでも使えてるし、性能まではわからないはずだし、スキルでもないものを予測するは難しい筈。

 ここで僕がうろたえるような演技をすれば……もしかしたら風を操るのにもクールタイム的な何かがあるのかと思わせられるかも。実際ないけど。そもそもが風を操る……掴むこれもスキルで明文化されてないしね。
 まあだからこそ、祝福を得られる奴ってのがあんまりいないんだろうけど。あんまりというか、今のところは僕と会長だけだし。とりあえずはわざとキョロキョロとしてみえてませんアピールでもしておく。そんな折り、なぜか足下から小刀が競り出てきた。

(多彩な奴だな!)

 これ、僕じゃなかったら避けられてなかったぞ。てかこれでバッチリみえてるのばれてるじゃん。しまった! ここは「うわっーあぶねーなんだこれ!?」的な演技で偶然避けられましたアピールしとくんだった。まあけど今更だ。それにそろそろ本当に落ちたいし、下手な演技も様子見もここまでだ。

「風帝武装」

 僕はそうつぶやくと同時に、自身を中心に暴風をまき散らす。強力な風の吹きざまに迫ってた足が止まる刺客達。そこに僕は近づき、一瞬で六人を切り刻む。そして風が収まったとき、その場にたってるのは僕だけだった。

「やっぱり感触がなかったな……」

 多分だけど、あの刺客……分身か何かだったんだと思う。だからこそ皆同じ格好だったし、似た動きをしてて、更に装備まで同じだったんだ。
 でも……それじゃあ最初に僕にダメージを与えた奴が本体だったかと言われると……謎だな。もしかしたら武器や罠は実態があるものだっただけで、分身にもちゃんとした攻撃をさせることでミスリードをさそってたのかも? 

 まあけどそれよりもなによりも……

「今の刺客、僕が今組んでる裏世界の奴らよりもよっぽど裏にいるよね」

 実力が違ったぞ。いや、僕が組んでる奴らも弱くはない……でも今の刺客は頭一つ違っただろう。なんでこう、厄介ごとが増えていくかな……とりあえず僕はログアウトして眠りについた。

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