命改変プログラム

ファーストなサイコロ

1596 校内三分の計編 206

 「スオウも……どうなるかわからないって思ってる?」

 日鞠の話を聞いた摂理が上目遣いでそんな事を言ってくる。やめてくれないそのアングル。めっちゃぐっとくるから。摂理ほどの美少女にやられたら、クラっと来ない男子はいないだろう。
 それだけ破壊力すごいから。潤んだ瞳に、迷う視線。でも時々かちあって……キュンキュンみたいな? でもここで惚けてると、またコメント欄があれるからな。僕はだらしない顔を見せないように気を付ける。

「実際、日鞠に言われるまでそんな事考えなかったけど……先がどうなるかなんかわからないからな」
「無難な答えデスね」

 そういって隣で肩をすくめるのはクリスの奴だ。うるさい。だってそうじゃん、今はそういうしかなくない? だって肯定したら、この間付き合ったばっかりなのに――ってなるじゃん! でもこれを否定したら、「んな馬鹿な」――とか思われるわけだよ。つまりどっちに転んでも詰んでる質問なわけだ。
 だからあいまいに返すのが正解だろう。

「摂理、だから言ったじゃないデスか。まだ終わりじゃないって」

 何やらクリスは事前に同じような事を摂理に言ってたようだ。

「いちいち付き合ったとかどうとか気にする必要ないんデス。そこらへん日本人はとっても気にするけど、今まで通りにしてたら、こっちのほうがいいかもって男は思うものデス」
「なるほど……」

 ちょっと復活してきた摂理だが、そのなるほどはやめてほしい。なにそのキープしてるみたいな位置でいいわけ?

「それでいいの摂理は?」

 鈴鹿が僕と同じような心配をしたんだろう。クリスを睨みながらそういった。鈴鹿は前からだけど、クリスにあんまり良い印象をもってないよな。まあ騒がしいクリスと、静寂とかを好む鈴鹿とは根本的にあってないんだろうけど。

「いきなり追い出されてもいくところなんてないし……」
「摂理ちゃん! 大丈夫だよ! 私もスオウも、何も変わらないし。だっていままでと変わる要素なんてないよ」

 日鞠の奴が慌てて、食い気味にそういった。ナイスである。なにせ一瞬の摂理の「追い出される」的な発言にコメント欄では「うん?」とか「何今?」っとかちょっと疑問に思ってる奴らがわいてる。それは駄目な奴だよ。

 僕と日鞠が一緒に住んでるなんてばれたら……日鞠と付き合ってるのに摂理と一つ屋根の下に住んでる? どんなうらやまけしからん奴だよってなる。闇討ちされても文句言えないじゃん。だって実際、僕と同じような状況の奴がいたら、自分自身許せないもん。
 だから自分の身を守るためにも、その情報を拡散されるわけはいかない。

「日鞠は何も変わらなくていいんデス?」

 おい、クリスの奴がまた爆弾投げやがったぞ。こいつ、もうひっかきまわす事しか考えてない気がする。

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